廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

Transition はなぜ値段が下がらないのか

2014年01月13日 | Jazz LP (Trasition)
後にボブ・ディランのレコードプロデューサーとして名を馳せることになるトム・ウィルソンが地元ボストンの当時のジャズ・シーンを
「ボストン・パノラマ」という一連の心象風景として録音したトランジションは、若い青年の想いがレコード作りに素直に反映されていて、
誰からも愛されるとてもいい内容になっていますが、なぜか昔から値段が高い。



Byrd's Eye View ( Transition TRLP 4 )


確かに昔は滅多に見かけることがなくて、幻の~、と言われても仕方なかったと思いますが、現在はあちこちで頻繁に見かける普通のレコードに
なっているのに、どうも値段が下がらないです。 CDのお蔭で内容は誰でも聴けるんだし、そもそもこれだけ中古市場に出回っているいるんだから
もう少し値段が下がってもよさそうなものなのに、不思議です。

演奏自体は50年代中期のアメリカのハードバップで「名演」とか「名盤」というような風格があるわけではありませんが、ざらっとした粗削りな肌触りの
演奏で、あー、ジャズを聴いたなあ、という深い満足感が味わえるところが最大の魅力なんだろうと思います。

Hank Mobley の調子が今一つなのは気になりますが、演奏中のメンバーたちの唸り声や互いの掛け声がきちんと聴こえるし、Doug Watkins のギシギシと
軋みながらノシノシと進んでいくベースの音が気持ちいいし、とにかく Donald Byrd は澄んだ音で吹きまくっています。 この時代だけの、
このメンバーたちだけにできたブルースの演奏がきちんを録れているのが何より嬉しい。

相場感がよくわかりませんが、これは去年の梅雨の時期に買ったもので、42,000円。 盤面は疵やスレ1つない状態で、いまでもこんなきれいなレコード
が買えるんだなあと驚きましたが、bookletが欠落していて、これが値段にどう影響しているのかわかりません。 ただ、あんな紙切れがあるせいで
値段が跳ね上がるんだとしたら、私にはないほうが全然いいです。 あっても邪魔なだけですしね。 でも、内容がいくら良いからと言っても、
出せるのはこのあたりが限界ではないでしょうか。 このシリーズは時々10万円を超える値段がついているのを見かけることがありますが、
時代錯誤も甚だしいと呆れてしまいます。



コメント
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