廃盤蒐集をやめるための甘美な方法

一度やめると、その後は楽になります。

もちろんGWセールには行かない

2014年04月27日 | Jazz雑記
DUのGWセールが始まったみたいですが、もちろん、私は行く予定はありません。 面倒くさいからです。
せいぜいブログを見て、あーとかうーとか言うくらいです。 

今回リストアップされた内容を見た限りでは、パッとしない内容のような気がします。 少なくとも、これは欲しいなというものはありません。
まあ、まだ全てが公開されてる訳ではないようなので断じるのは拙速なんでしょうが、でも当事者にもその自覚はあるようで、今回は美品比率が
これまでになく高いとか(じゃあ、今まではそうじゃなかったのか?)、海外買付け品の入荷が遅れていて間に合わないとか、いろいろ説明に
忙しいようです。

セールには広告価値の高い目玉商品が必要ですが、今回はそれにも苦労している跡が見られます。 その中で驚いたのは、新宿店のブルーノート
セールの筆頭に置かれていたのがこれだったということです。



John Coltrane / Blue Train ( Blue Note 1577 )


完オリでもないのに18万円というのだから、驚いてしまいます。 そしてこれを先頭に置かなきゃいけないくらい品層が薄いのか、ということにも
驚きます。 で、こんな値段つけたりして売れるわけないよな、と思っていたら、ちゃんと売れているということに更に驚いてしまいます。

その他、Warm Woods が10万円、Quiet Kenny が29万円・・・・・ ようやるなあ、という感じです。


昔が懐かしい、と思うのはきっと私だけではないと思います。 いつ何が出るかわからないから、と足繁くお店に通っていたあの頃が懐かしい。
廃盤漁りの楽しさの半分以上が、そういうワクワク感にあったのは間違いない。 今のセールという形態は、あまりに即物的過ぎます。
ネットショップもオークションも、一緒です。 物欲が後退した現在、探す愉しみまで奪われてしまっては、積極的にレコードを買おうという
気持ちに中々なれなくても仕方がないよな、と思うわけです。

埃まみれの床に置かれた、レコードが無造作に突っ込まれた段ボール箱が懐かしい。



コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今週の成果

2014年04月26日 | Jazz CD
今週もぼちぼちとCDを摘まみました。





■ Richard Boone - Bent Jaedig Quintet / Make Someone Happy ( Storyville STCD 8282 )


1977年、コペンハーゲンのスタジオでの録音で、こういうのがあるとは知りませんでした。 
時代を反映してか、エレピやムーグ、クラビネットのような電子楽器やエレベを使った楽曲もありますが、ジャズの魂がしっかり込められた
見事な内容です。 この時代になるとレコードで買う意味も全くないので、こういう安い中古(600円)で聴けるのはありがたいです。

tbのBooneは確かデックスのアルバムでも名前を見かけたことがありました。 ベイシー楽団での活動が知られる人ですが、まあ、これと言って
特徴があるわけではなく、無難に伸びやかに吹いています。 一方、Jaedig は相変わらずの気持ちいい吹きっぷりで、よくもまあ、これだけ
長いセンテンスをこんなに強いトーンで延々と吹き切るなあ、と感心します。 よほど肺活量が強かったんでしょうね。

70年代はジャズにとっては不遇の時代だったにもかかわらず、こういうメインストリーム系の良質な演奏が地道に残されているのは
素晴らしいことです。 長く愛聴できそうです。 私はこういう古き良き70年代のエレピなんかが入ったジャズが大好きです。


■ Henning Wolter Trio / Voyager ( EMA BOS.REC.19.3 )

1996年オランダ録音のピアノトリオで、3曲のみテナーとトランペットが入ったクインテット構成。
何者か全く知りませんが、ジャケットに惹かれたのと、「廃盤」のコメント入りなのに900円とお安いので買ってみました。

なかなか闊達で元気のいい演奏で、割といいなあと思いました。 ピアノもくっきりと綺麗なタッチでかなり聴かせます。
管入りの曲もストレートなハードバップで、もうちょっと多めに入っていればいいのになあ、と思いました。

ただ、収録されているオリジナルの楽曲がどれも魅力に乏しく、これで大きく損をしています。 2曲の有名曲( I'm Old Fashioned、
Nefertiti )は悪くない出来なので、もっとスタンダードの比率を高くすればよかった。 そうすればきっと人気盤になったのに、残念。






■ Phil Woods / Live From The Showboat ( RCA / SONY SICP 3992-3 )

中期の大傑作で、これは本当に素晴らしい演奏。 ライヴなのに全員がとても丁寧でデリケートな演奏をしています。
全編ワンホーンでウッズの輝きに満ちたアルトを堪能できます。 音質も抜群で、とにかく不満なところが何一つない稀有な名盤。

最近安い値段で再発されたので、こういうのは本当にありがたいです。 レコード会社さん、頑張ってください。
こういうのはちゃんと売れるし、大手レーベルなのにこういう痒い所に手が届く仕事ぶりを愛好家はきちんと見ていて、高く評価してますよ。


■ Julian Arguelles / Circularity ( CAM JAZZ CAMJ 7872-2 )

ハードバップ推薦コーナーの群れの中に置かれていて視聴可能だったので聴いてみて、一発でブッ飛びました。
初めて知るテナー奏者ですが、すごい腕です。 Jaedig のように延々と吹き続けるスタイルですが、Jaedig はフレーズに陰影がなく、
同じ音圧で吹き続けますが、この人はもっとサックスらしい音で吹き続けていきます。 上手い人というのは、いるところにはいるものです。

でも、このアルバムの真の立役者は、デイヴ・ホランド。 私はこの人が昔からあまり好きではないのですが、この神がかり的なベースの
腕前だけは認めざるを得ない。 このベースがなければ、このアルバムの成功は無かったでしょう。 
ドラムも凄腕で、このペアがたまらん。

しかし、DUさんは一体どうやってこんな凄い音盤を見つけ出してくるんでしょう?  その秘密を教えて貰いたいです。
だって、この田舎の農夫の同窓会みたいなジャケットから、この内容はとても想像つかないでしょ、普通。

とにかく、いいから黙って聴け、という感じです。 サイコー。 鼻血、ブー。


DUの店頭での視聴システムは、本当にありがたい。 これがなければ、このアルバムなんかは絶対買うことはなかったでしょう。
もっとたくさんの音盤を視聴可能にしておいて欲しいです。 そしたら、CDはもっとたくさん売れると思います。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今週の成果

2014年04月19日 | Jazz CD
今週も相変わらず中古CDをモソモソと探して、少し買いました。




■ Daniel Scannapieco ( 仏 Midnight Sun MSCD 010 )

これは去年の夏ごろから探していたCDで、High Five Quintet のテナー奏者のおそらく初ソロ名義のアルバムです。 ファブリッツィオ・ボッソが
入っているし、曲によってはステファノ・ディ・バチスタも加わっていたりと、その演奏は聴く前から容易に想像つきますが、まあ、その通りの
内容でした。 卸したての上等なスーツのような、とても品のいい、それでいてしっかりと音鳴りもするとてもいいテナーを吹くのですが、
このアルバムは意外に楽曲が地味です。 色々凝ったアレンジもされていますが、ちょっと考え過ぎ? という印象です。
初めての自己名義のソロだったせいもあったのかもしれません。 その後の活動を見ても、ボッソはソロを出しまくるは、客演はしまくるは、と
派手に動き回っているのとは対照的に、ソロをポツリポツリと残しているに過ぎず、ひょっとしたら前へ出るのが苦手なのかもしれません。
せっかくスジのいいテナーを吹くのに、もったいないなあ。 ジャズは、やはり「情」の部分で演ることも大事なんだと思います。
何かで一皮剥けるといいですね。


■ Harry Verbeke Quartet / Stardust ( 蘭 Timeless CD SJP 334 )

The Diamond Five のテナー奏者の、おそらく70~80年代に同レーベルに録音された音源の編集盤のようです。 欧州盤ブームの頃に、欧州盤なら
何でもよく売れるということで中古市場ではたくさん流通していたようですが、今はどういう扱いになっているのかよくわかりません。
こうやってソロで聴くと、こんなに貧弱なテナーだっけ?と訝しく思います。 テナーの音は所謂ゲッツやズートの系統で芯の抜けたような音色。
ただ割と重心の低い質感なので、悪くはないと思います。 フレーズが細切れになるのがクセのようで、これがちょっとよくない。
ワンホーンでスタンダードを吹いているものばかりを集めたCDだし、録音も悪くないので、部屋で流しておく分にはちょうどいいです。
音楽的には見るべきところは何もないので、正対して聴こうとは思いません。






■ Abraham Burton Quartet / Cause And Effect ( Enja 9377 2 )

Steve Davis のクインテット盤がすごくよかったので、探しました。 あいにくどの店舗にも在庫が無かったのですが、アマゾンに中古が
安く出ていたので購入。 全曲メンバーのオリジナル曲でワンホーン。 余計なギミックは無し、真っ向から実力勝負した内容で、
これは最高にいい内容でした。 とにかく、この人のテナーの音は最高に好きです。 ワンホーンなので、初めから終わりまでバートンの音を
堪能できます。 演奏もとても硬派なハードバップで、50年代のロリンズやコルトレーンたちがやろうとした本物のジャズの現代版、という感じ。
こういう人に、きちんとした評価とリターンをあげて欲しいです。 でなければ、ジャズは枯れていってしまう。


■ Abraham Burton / Closest To The Sun ( Enja 8074 2 )

こちらも同様にアマゾン購入。 94年のドイツ録音のワンホーン。 上記のCDは硬派で一本気な内容でしたが、こちらはスタンダードや
バラードを取り込んだヴァラエティに富んだ内容。 でも、こちらも内容は最高にいいです。 Left Alone をやっているのにはビックリしました。


偶然テナーの音盤ばかりを入手しましたが、こうして続けて聴いてみると、テナーサックスという楽器で音楽的にいいものを作るというのは
きっと想像以上に難しいんだろうな、ということを実感します。 我々は安易に良いとか悪いとか好き勝手なことを言う訳ですが、
楽器1つ1つが微妙に音が違うだろうし、リードの種類や硬さでも音は違うし、喋り方が人それぞれ違うように吹き方も違う。
和音を出せない単音楽器で音楽的な豊かさを出すのは本当に難しいだろうと思います。 そういうことを常に頭の隅に置きながら愉しむことを
忘れないようにしたいです。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

感想をきちんと述べるということ

2014年04月14日 | Jazz CD
私がこのブログで音盤の内容に関する駄文を書いているのには、実は理由があります。

1つは、レコード買いを再開した際に、買うかどうか迷った時に参考にするべきディスクレビューがほとんど見当たらなくてとても困ったから、
というのがあります。 

15年のブランクの間にマニアによって眠っていた様々な音盤が次々に再発見されたのは素晴らしいことですが、そこに刻まれた音楽が一体
どういうものなのかについては、ほぼ誰も教えてくれないという現実がありました。 値段が恐ろしく高いのですから、買ったはいいが
内容が気に入らない、ではまずい訳です。 ネットの発達のおかげで、それなりに個人のHPやブログの中に登場するのですが、残念ながら
内容に関する情報は皆無に近い状態。 私もマニアなので、レコードに関する四方山話は大好きでどれも楽しく拝読させて頂くのですが、
こと自分が買うにあたってはそういう話は直接の判断材料にはならない訳で、これには本当に困りました。

最近はCDもよく物色するのでCDに関する情報も欲しくていろいろ探したりしますが、レコードに比べるとこちらは内容への言及が比較的多い
ように思います。 まあ、CDはオリジナルの音がどうとかマトリクスがとかそういう話は関係ないので、内容に関する話になりやすいからという
だけのことですが、数年前に更新が途絶えてしまったブログが多く、現在進行中のブログは随分少なくなっています。

ディスクレビューは所詮は主観なので役に立たない、と悪く言う人もいますが、それは間違っています。 人間はどうあがいてみても、
主観でしか世界を語れないのです。 大事なのは、その主観をたくさん積み重ねることで、対象の実像が少しずつ見えてくるということでしょう。
でも、現状はとにかく数が少なすぎて、さっぱりわからないのです。


もう1つは、単に私が持っている音盤の枚数が少なすぎる、ということです。 同一レコードのモノとステレオとか、U.Sプレスと欧州プレスとか、
初版と再版とか、のような買い方ができていないし、単純に枚数も少ない。 レコードは70枚もないし、CDは300枚あるかどうか・・・ 
これでは、物へのこだわりを書きようがありません。 ま、これはどうでもいいことですけどね。


前振りが長くなりましたが、なんでこんなことを書いたというと、このCDを買うのに随分迷って困った、ということがあったからです。





Alastair Laurence という英国のピアニストによるピアノ・トリオの録音です。 CDはほぼ私家録音に近くて、極端に流通枚数が少なかったので
すぐに廃盤となったようですが、最近になって再プレスされてDUに並びました。

普通ならこの手のCDは買わないのですが、左側のCDには Time Remembered や Skating In Central Park という大好きな曲が入っていて、
買うかどうかを大変迷ったわけです。 

で、ネットで調べてみたのですが、出てくるのは「オークションで5ケタで取り引きされた」というようなどうでもいい話ばかりで、
内容に関する情報が何一つ出てこないのです。 DUのブログですら、代理店が用意した販促文を流用するだけで、しかもそこで書かれた
録音年は間違っている有様です(これはのちに判明)。 値段が3,600円と高いし、困ったなあと迷っているうちに最初の販売ロット分は
売り切れて、数か月後に再入荷された最近になってようやく手を出しました。 レコードを買わなくなっておこずかいが余っていたし、
いつまで経っても内容に関する情報がアップされないからです。

まず驚いたのは、これがライヴ録音だったということ。 そんな基本的なことさえ、どこにも書かれていませんでした。

そして、録音は1999年9月12日で比較的新しいのに、録音状態があまりよくないこと。 会場の最前列にいた観客の1人がテープレコーダーか
ICレコーダーで録ったのか?と思うようなバランスの悪さ。 演奏の音よりも観客の拍手や笑い声のほうが遥かに大きな音で録音されている。
全体的に残響感もゼロで、ろくな機器ではなかったのでしょう。

1曲目のピアノの音がまるでお琴のような、チェンバロのような音で、古くて調律のされていないピアノを使ったのか?という感じです。
聴き終えた後にライナーノート(ほんの形だけのものですが)を見ると、1曲目は1795年製のフォルテピアノを弾いていたことが判りました。
これでは、名曲も台無しです。 もう1つの愛聴曲も、アレンジがよくないです。 

何より、このピアニストはあまり演奏の腕がよくありません。 英国のベテランピアニスト、と紹介されていたのですが、私にはプロの腕には
聴こえません。 趣味が高じて長年仲間うちで演奏を続けているので、素人の割には上手いでしょ?というところなんじゃないでしょうか。
写真を見る限り、まあ確かに年を喰っている感じですが。

と、散々悪口を書き連ねましたが、実は私、このCDが気に入りました。 このトリオの演奏には、何かがあります。
ピアニストは腕はイマイチですが、この人の弾くピアノには往年のビッグネームたちに共通する何かがあります。 最期まで飽きずに
聴き通せるのです。 ドラムスのブラッシュワークも、ポール・モチアンのように気持ちがいい。 何なんでしょう、この感じは。


そういう訳で、同時に再プレスされた右側の Age Before Beaty も在庫が無くなる間際に滑り込みで買い求めたのでした。

こちらは2006年11月、ノルウェーのスタジオ録音です。 こちらも綺麗な録音とは言いがたい、低予算感がプンプン匂う感じです。
All Blues、Gentle Rain、Nardis などの選曲は相変わらずいいのですが、アレンジはやっぱり冴えません。 演奏も特に上手くなった
という訳でもありません。

でも、やっぱり、こちらも私は気に入りました。 やっぱり、この演奏には何かがあります。 巷に溢れる激レア盤には感じられない、
どこか惹かれるものがあります。 ただ、まだ上手く説明できません。 言葉にするには、もう少し時間がかかりそうです。



こんな風に、凡人のディスクレビューというのは曖昧でいい加減なものです。 でも、何もないよりはいいと思うのです。



コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

文物としてのハードバップ

2014年04月06日 | Jazz LP (Europe)
不完全燃焼な欧州のハードバップは先週のCDに限った話ではない。 昔から顕著に見られることです。



Georges Arvanitas Quintet / Soul Jazz ( 仏Columbia FPX 193 )


ハードコレクターにはよく知られたレコードで、稀少盤であることは間違いないですが、当初は再発されないされないと騒がれ、
再発されればされたされたと騒がれ、セールやオークションに出れば出た出たと騒がれ・・・・ でも、肝心の音楽はさほど騒がしくありません。

革新的な実験音楽だったビ・バップはそのトリッキーさ故にあっと言う間に人々を惹きつけはしたが、飽きられるのも早かった。
そこでR&Bやソウルミュージックのメロディーとハーモニーを取り入れ、アドリブの際の音数を減らし、より音楽的に仕立てたのがハードバップです。

このレコードはビ・バップの巨人が作ったオリジナル曲をハードバップとしてリアレンジして演奏しているところに大きな特徴があります。
このアルバムを褒める人が多いのは、本来は単純なリフのみの音楽的には退屈なビ・バップの曲をリッチ・ハーモニーでコーティングした甘味豊かな
口当たりの良さに驚いたからです。 こういうやり方はハードバップが生まれた経緯と重なるところがあるので方法論としては正しいわけですが、
その素材をビ・バップの曲に求めたのがユニークで、当時のアメリカの演奏家がやらなかったことです。 アメリカのミュージシャンたちはビ・バップから
脱却するんだという目的があったから当然違う曲を演奏するんですが、ジャズが輸入品だった欧州ではそういう感覚がなかったのでしょう。

アルバニタがバド・パウエルやセロニアス・モンクに心酔していたのは当然だろうし、収録された曲の半分以上が彼らの曲になっているのは不思議では
ないのですが、ハードバップのアルバムでこういう構成のアルバムは珍しいわけです。

このアルバムを聴いていて強く思うのは、60~70年代に日本で作られたジャズアルバムと雰囲気が似ているなあ、ということです。 
ただ、日本ではハードバップが単にコピーされていただけなので、双方の知性には随分と開きがあった。

このアルバムが奇しくも "Soul Jazz" というタイトルが付けられたのは偶然ではないのです。 それは、"ハードバップ"と同義語として使われている。
彼らの耳にはハードバップは "ソウルフル" に聴こえていた。 ただし、それは文物としてのハードバップだったので、アメリカのジャズとは少し違う
音楽にならざるを得なかったんでしょう。



同じフランスのレーベルに、同じようにハードバップを志向した別のアルバムがあります。



Roger Guerin / Benny Golson with Bobby Timmons ( 仏Columbia FP 1117 )


でも、これは失笑を買うことが多いレコードです。 だって、明らかに反則技を使っているんですもんね。

メンバーが違うだけでこんなにも濃厚なハードバップになるなんて、ジャズというのはある意味怖ろしい音楽だなあと思います。
おかげで、一体誰のリーダーアルバムなのかよくわからないことになっています。 レコード会社はしめしめと思ったんでしょうが、
ロジェ・ゲラン本人は内心おもしろくなかったんだろうなあ、と気の毒になります。



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

現代のハードバップたち

2014年04月05日 | Jazz CD
慌ただしい3月があっという間に過ぎ去りました。 やっぱり、レコードは1枚も買うことなく終わりました。
CDも1~2月のような新作&再発ラッシュも収まり、中古CDの新入荷も在庫切れ気味なのか、数もあまり多くない感じでした。

そんな中、DU新宿ジャズ館2Fで「マイナー管モノ」特集と言う企画があり、平日のヒマな時間を利用して見てきました。
マイナーを表するだけあって、ほとんどが知らない音盤ばかりです。 先の週末でめぼしい所は既に売れてしまっているんでしょうが、
まあ、別にいいです。 週末の各種セールって行ったことがないんですけど、一時ほどではないにせよ、それでもいろいろ凄いことになってるらしい
とは聞きます。 日本中の物欲お化けがここに集結したのか、という感じなんでしょうか・・・ 

知らない音盤を見るというのは、嬉しいものです。 どんな感じなんだろう、とあれこれ想像するのが楽しい。 
廃盤レコードでは、もはやこういう愉しみはあり得ないです。 それが私をCD狩りに走らせる一番の理由です。

今回のこの企画は、お値段も大変良心的です。 ほとんどが千円台でした。 中には三千円を超えるようなものも数枚ありましたが、そういうのは
買わないことにしています。 枚数も新着の棚の片面だけの量で、じっくり見ることができました。





■ The Art Of The Message ( KONNEX KCD 5230 )

これ、どっかで見た記憶があるなあと思って手に取りました。 どこかのブログだったか・・・思い出せませんが、かなり褒めていたような気がします。
2007年にケルンで結成された3管セクステットだそうです。 ライナーノートがドイツ語でよく判りませんが、メンバーの写真を見るとみんな若い。
アート・ブレイキー&ジャズ・メッセンジャーズを現代に再現するべく生まれたようで、アメリカの One For All のことも意識しているようです。

例によって「直球ハードバップ、強力推薦盤」とのことで、1,600円。 聴いてみると、なるほど、とても素直で伸びやかなハードバップです。
One Foot In The Gutter みたいな、スタジオライヴの形式です。 如何にも現代の演奏らしく、みんな上手いです。 楽曲も好印象。
重奏も重量感があって、録音も綺麗に録れてます。

ただ、欧州らしいというのか、思ったよりも大人しくてファンキーさのかけらもなく、スマートでインテリな感じ。 
これが評価の分かれ目になるんでしょう。


■ Josephine Davies / Perspective ( Trio Records TR586 )

女性テナー奏者による2管クインテット。 「UKハードバップ良盤」のコメント付きで、1,500円。 
UKジャズでハードバップの良盤なんてホントにあるの? とかなり疑わしく思いながらも、買ってみました。 

全曲オリジナルで固めていて、かなり力が入っていますね。 そういうまじめさは好ましいです。 聴き手にもしっかり伝わります。
丁寧なアレンジといい、上手い演奏といい、やっぱり英国人らしい真面目さが印象的。 ハードバップですが、そういう形式よりも
自分たちのオリジナリティーをしっかり前に出そうとした楽曲と演奏です。 でも、ちょっと地味で大人しいかな・・・・ まあ、悪くないです。


どちらもハードバップとしては不完全燃焼かなという印象で、欧州ジャズらしいといえばらしい。 でも、いつぞやの「オークションで数万円の」
とかいう枕詞で再発されるような音盤とは違い、適価で買える中古なので嫌な感じはありません。 楽しい買い物でした。
で、新品も少し買いました。






■ The Spinning Quintet / Nice If You Can ( Notami Jazz NJ002 )

「NYのクラブの匂いが立ち昇るようなハードバップ」とのことで、数年前によく売れたCDなんだそうです。 それが再入荷したとのこと。
素直に信じてみましたが、私にはハズレでした。 ハービー・ニコルズの曲をやったりしてるせいもあるかもしれませんが、どうもイマイチ
ハジけていない感じで、ハードバップという感じではなかったです。 印象に残るところもほとんどなく、どこがいいの? という感じ。


■ Steve Davis / For Real ( Positone PR8116 )

これ、すごくいいです。 大当たり。 私は One For All のCriss Cross録音が結構好きで(VENUS盤は嫌い)よく聴きますが、そこでの
この人は地味であまり印象がないのですが、このクインテットでは前面に出た演奏です。 全曲オリジナルで、どれもいい曲が揃ってます。
テナーの Abraham Burton はプレスティッジ時代のコルトレーンに音色がよく似ていて、これがいい。 カーティス・フラーのような
ぼやけた音のトロンボーンが私は嫌いですが、この人のクッキリとソリッドな音はとても好きです。 ブルーノート1500番台の正当な後継者、
という感じのサウンドと演奏で、いろんな人が現代版ハードバップの音盤を推薦しますが、その中でこれがクローズアップされないのは不思議です。


まだまだいい演奏が見つかります。 追及しがいがありますね。 楽しいです。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする