Duke Jordan / Live In Japan ( デンマーク Steeplechase SCS-1063/4 )
特に期待もせず拾った安レコだったが、これが予想外に良くてちょっと驚いている。 全部聴いた訳ではないが、それでもこれまで聴いたデューク・ジョーダンの
スティープルチェイス盤の中でも、これは群を抜いた出来の良さだと確信している。
お得意のレパートリーをずらりと並べてただいつも通り弾いているだけなのだが、ピアノの音に深みと輝きがあり、スタジオ録音とは別人が弾いているような
生き生きとしたピアノ音楽が流れてくる。 どの曲も良く似たテンポで弾かれていて、構成としての変化には乏しく、普通なら飽きてもよさそうなところだが、
これがダレるところが全くない。 日本人が愛する彼の哀愁溢れるオリジナル曲が並び、全体がある一つの統一したカラーに染められていく。
技術的には決して上手い人ではないけれど、音楽を魅力的に奏でているこの演奏を聴いていると、ピアニストとしての筋の良さが痛いほどよく分かる。
その音は揺らぐこともなく、まっすぐに聴き手に届く。 楽器の演奏はこうでなくてはならないけど、それができる人はそう多くはない。
ウィルバー・リトルのベースの音は深く重く、ロイ・ヘインズのブラシはデリケートで、この2人の演奏も素晴らしい。 トリオとしてのバランスもとてもよく、
理想的なピアノ・トリオに思える。 観客の反応も良く、3人のご機嫌も上々で、それが演奏にすぐに現れていく。
極めつけは、録音の良さ。 ホール全体に音が響き渡っている様子が非常に上手く録られていて、自然な残響感が心地いい。 楽器の音もきれいに録れている。
音楽が生きている様子が生々しく再現される、見事な録音だと思う。
値段の安さに惹かれて買っただけだったのに、ここまで惹きつけられるとは思いもしなかった。 こうして自分だけの名盤が増えていく。
安レコ買いは愉しい。