「うつろ庵のブルーベリー」は、遅咲きの花が残っているが、殆どは既に小さな実に変身した。夏になれば、小粒の濃い紫に実が熟すので、摘み取るのが愉しみだ。
孫のキャメロン君や璃華ちゃんが、小さな手で摘んでお口に入れたのが、昨日の事のように想い出される。
ブルーベリーの花を観ていたら、よく似た花を何処かで見たことを思い出した。
記憶力がメッキリ衰えた虚庵居士だが、程なくして「どうだんつつじ・満天星躑躅」がよく似ていることに、思い至った。
双方とも小さな壺型の花だが、ブルーベリーは小さいとはいえ果実を付けるので、蔕もあって若干だが逞しさが備わっているようだ。とは言え、なんとも可愛い花だ。
ブルーベリーを植えて未だ経験の乏しかった頃は、小鳥に花を啄ばまれる被害にあったものだ。それ以来、小さな風車を傍に置いて、小鳥よけにしているが、風車の効果には目を瞠る。
風車は、ビール缶をカッターナイフで切り裂いて作ったものだが、散歩の途中で目にして、物珍しげに覗いていたら、そこの住み人が「よかったらお一つどうぞ」と下さったものだ。ステンレス・ワイヤを上手に丸めて、ビール缶の上下を支えた簡単な風車だが、大変よく回る優れものだ。
うつろ庵のブルーベリーは、小さな風車のお蔭で小鳥の被害を免れ、量は僅かだが、毎年小粒を堪能させて頂く虚庵夫妻だ。
稚けなき小壺の花はお互いに
頬寄せあいて咲きにけるかも
耳よくば小鈴触れ合い幽けくも
奏でる調べを聴かまほしけれ
稚けない指先伸ばして孫の摘む
笑みを偲びぬブルーベリーに
白妙の小壺の花の多ければ
今年も孫と摘む日を夢みし
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