「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「筍のオットセイ」

2013-05-05 11:39:58 | 和歌

 4月半ば、「ずんぐり・むっくり」の太くて短い筍が手に入った。

 さっそく天麩羅にしたが、絶品であった。
薄味で炊き、じっくり間をおいて、薄味が筍に含まれるのを待ってから、天麩羅に揚げ、熱々をそのまま食べた。余りの美味さに、虚庵夫人はご近所の知人にお裾分けをお届けした。

 翌日、「筍のオットセイ」がテーブルに飾られた。
筍を料理した際の、先端部分の切り落としを、デンと据えただけのお飾りであるが、どことなくオットセイを連想させるから愉快だ。外側の皮一枚が外れて隣に置いたら、何と番いのオットセイになった。

 それ以来、ほゞ半月の間、外側の皮が乾燥して外れるので、オットセイは次第にダイエットしたが、たっぷりと愉しませて貰った。

 昨日、大紫の手入れをしていたら、後ろからご挨拶の声がした。
過日、筍の天麩羅をお裾分けした虚庵夫人のお友達が、にこやかに近づいて来て、
「筍の天麩羅、美味しかったわ。あんな美味しい天麩羅は初めてでした」と、深々と
頭を下げられた。

 「筍のオットセイ」にも改めて、「ご馳走さまでした」と囁く虚庵夫妻であった。

 


           筍の天麩羅旨し薄味の

           あの味わいと歯触りも佳し


           筍の頭の残りをデンと据えて

           オットセイよとうそぶく妹かな


           ひと皮がハラリと剥けて傍に置けば

           夫婦なるらしオットセイはも


           天麩羅をお裾分けにし奥方ゆ

           賛辞をたまひぬ 「美味しかったわ」と







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