「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「金盞花・きんせんか」

2013-06-05 22:04:08 | 和歌

 毎日の散歩を欠かさぬように努めてはいるが、会議や雑用に追われて、虚庵夫妻の散歩はサボる回数が意外に多いようだ。正直なもので、散歩の回数が減り、或いは歩く距離が短い散歩が続くと体は安きに慣れて、一寸タフな散歩コースを選ぶと、たちまち脚は音をあげる。

 「うつろ庵」周辺の散歩コースに、A・B・C コース等と勝手に名前を付けて愉しんでいるが、海岸の平地から丘陵地帯へのコースでは、何かの愉しみを見つけて体を鼓舞することにしている。既にご紹介した「椎の樹・どんぐりの花」や「水木の花」などは、それらの愉しみの一端だが、今回は「金盞花・きんせんか」をご紹介する。

 「うつろ庵」を出て、1キロ半ほどの長い坂道を登る。
息絶え絶えに、やっと丘陵の上に辿り着いた。住宅街の一画に、かなり大きな畑があって、道路に沿って沢山の金盞花が満開だった。切り花として商売にするのでもなく、これ程の金盞花の花壇は殆ど見かけたこともないが、花壇の主にはそれなりの思い入れがあるに違いない。

 


           いや長い坂道登れば息切れて

           振り返りつつ汗を拭いぬ


           見下ろせば遥かに靄る海原は

           猿島浮かぶ東京湾かな


           一息の休みをせんと坂道を

           登れば迎えぬ金盞花かな


           これ程の花壇に満る金盞花に

           託す思いの程を偲びぬ