「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「ブルーベリー」

2012-05-01 14:35:06 | 和歌

  「うつろ庵」の庭先のブルーベリーが、可愛いほっぺを膨らませて咲いた。

 背丈は1メートル足らずだが、それぞれの枝先に、まさに鈴なりの花数だ。細長い莟のうちは、横一列に並んだかと思わせる風情だったが、開花を迎えると頬を「ぷくっ」と膨らませて、お互いに押し合いへし合いして賑やかになった。可愛い子供たちが顔を寄せ合って、「きゃっきゃ」とじゃれ合っているかの様だ。

 ブルベリーの開花を待っていたのは、虚庵夫妻だけではなかった。いつの間にか蜜蜂が開花を知り、花蜜を求めて盛んに飛んで来ている。たった二株ではあるが、彼らは何処でどの様に察知するのか知らないが、その探知能力は大したものだ。
花蜜を提供しつつ受粉を援けて貰う、ブルーベリーと蜜蜂の自然のコラボレーションにも感服させられる。
 
 日が経つと、一つ二つと花が散って、後にはブルーベリーのごく小さい実が、チャンとすまし顔で生っている。やがて丸々と成長した実が、濃い紫に色づき黒色に熟すのが待ちどうしい。孫のりかちゃんやキャメロン君が、小さな手を伸ばして一つづつ摘み取って、お口に入れる日を夢みる虚庵夫妻だ。

 ブルーベリーは小鳥たちにとっても、またとないご馳走なので、住宅地の庭先と雖も油断できない。昨年はヒヨドリにずいぶん啄ばまれて、悔しい思いをした。今年は、お花が咲くのを待って、風車を設えた。回転する風車が、ブルーベリーを守ってくれることを願っているのだが・・・。


 

          おさな児のほっぺを思わす開花かな

          顔を寄せ合いきゃっきゃと笑み居り


          おちょぼ口を揃えて歌うや頬よせて          

          ブルーベリーの歌を聞かなむ


          遅咲きのムスカリの花をいたわるや

          ブルーベリーは雨傘代わりに


          まろき実のやがて熟せば孫たちと

          摘むを夢みる爺と婆かな