「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「塀越しの野牡丹」

2011-11-10 13:31:20 | 和歌

 隣街の銀行まで、散歩を兼ねて遠征した。
その途上で、「塀越しの野牡丹」に出会ったので、思わずパチリと写した。塀は虚庵居士の背丈ほどだが、それを乗り越える高さゆえ、自ずと仰ぎ見る姿勢であった。


 
 「仰ぎ見る」のは言葉のイメージもあるが、首をあげて観る姿勢では「尊い花を拝見する」、そんな感じになるから不思議だ。沢山の莟の中で数輪の花が咲いていたが、色濃い紫の花びらと釣り針の様に曲った蕊が印象的であった。

 写真に写すと花だけではなくて、莟も葉も総てが一緒に写されるが、人間が花と対峙する時には、意識が花だけに集中するから、印象としてはもっともっと気品が漂っていたのだが・・・。


 

          見上げれば塀越しに咲く野牡丹の

          濃き紫の呼びかけ聞くかも


          仰ぎ見てひと言ふたこと囁けば

          野牡丹の花こたえる気配ぞ


          背伸びしてカメラ構えるその脇ゆ

          ばば様の手のびて 花近づきぬ


          往き帰り塀越しなれども野牡丹と

          言葉を交わす遠出なるかな