湖畔の草叢を歩いていたら、黄色の小花が身を寄せ合って咲いていた。
草丈二・三十センチの頂部に、五弁の小花が沢山集っているので、遠目にも存在感がある。うろ覚えの「麒麟草」とよく似ているが、麒麟草のような多肉質の葉でもなければ、葉の形も遥かにスマートだ。
自然の世界の草花は、姿を色々に変化させて目を愉しませてくれるが、その様な見方は花を愉しむ人間の勝手であって、それぞれの草花にはそれぞれの事情があるに違いあるまい。
後日、「山野草」の図鑑のお世話になって調べたら、「細葉の麒麟草・ほそばのきりんそう」だと知れた。
麒麟草は薬草、山菜としても重宝がられている野草であるが、多肉質な草ゆえに頷けるところだ。
「細葉の麒麟草」は多肉質とは言い難いが、どこか逞しさが感じられるのは何故であろうか。
高原や寒冷地に自生するには、多肉質では自然の厳しさに耐えられないのであろう。
自然の環境に合わせて自らの身をそれなりに変化させ、厳しい種の保存の原則を体現する逞しさには、目を瞠る思いだ。
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小柄なれど私はここよと身を寄せて
会図を送るや黄色の小花は
幾重にも小花を重ねて託すらし
あつき思いを君に届けむ
高原の厳しさに耐え己が身を
そぎてなお咲く小花ぞいとおし