日頃からカメラなど手にしない虚庵夫人だが、京都旅行から持ち帰ったバカチョン・カメラを覗いたら、
感激的な作品が撮影されていて、息を呑んだ。
檜皮葺の屋根を背景にして、錦織り成す紅葉からの木漏れ日が、神々しいまでの光の束を放って
いた。
源氏物語の心ときめく光源氏と藤壺とのあの時から、幾世代を経たことであろうか。
当時の藤壺の住い「飛香舎」から朔平門の脇の辺りに、この柿紅葉の大木が当時を偲ばせている。
光源氏は柿紅葉の色の移ろいに、おのれの恋心を重ねて観たのであろうか・・・。藤壺は身ごもった情念を柿の葉の紅葉に託し、桐壺帝は生まれくる児と青柿の実を重ねたのかもしれない。
織りなすそれぞれの想いが七色の光の束となって、現世に蘇ってきたのであろうか?
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綾錦 織り成すもみじ葉突き刺して
光の「ツルギ」は神の御業か
百重なす錦の木の葉は陽に透けて
檜皮の屋根に浮き出でにけり
ちはやぶる神の御業か木漏れ日の
光の筋は七色にして
柿の葉の綾なすもみじはそれぞれの
託すこころの想ひなるかも