「源氏物語」のお勉強を続けている虚庵夫人が、お仲間と一緒に「源氏の郷」を訪ねる京都旅行を楽しんできた。
このたぐいの「お勉強会」は、圧倒的に女性軍団が席捲するのは何所も同じだが、彼女たちの京都旅行も賑やかであったに違いあるまい。普段からカメラなど全く手にしない彼女であるが、折角の機会だからと嫌がる虚庵夫人に、バカチョン・カメラ持たせた。
「源氏の郷」探訪の京都旅行はどの様なルートであったか、物語との接点は等々旅の顛末はさておき、彼女の視線が捉えたごく一部分をシリーズで辿ってみたい。
嘗ての帝を始め、やんごとなき際の人々や女御・更衣、下々の女官らの雅の世界の究極は、やはり御所にあったのだろう。そのように虚庵夫人が捉えたか否かは判らないが、カメラに収まっていたのは殆どが御所のものだった。
見事な息をのむような御池庭とその州浜(すはま)だ。
樹木は殆どが枯れて、植え替えられたものに違いあるまいが、贅を尽くして築き、営々と管理され、入念な手入れが続けられて来たであろうことを思えば、この庭園の醸す雰囲気は源氏のころとさして違いあるまい。
若君のこころと、思ひをうけたひとの心の変化を、庭の木々や水面はどの様に見て来たのだろうか。
二人の思ひを、そっと慮れば・・・。
梢より吹きくる風を衣手に
悩めるこころをさらす君かも
秋立てば木の葉のもみじも際立つに
思ふこころの色を告げまし
さざ波のにわかに乱るるこの思ひ
しずめる術をたれに訊ねむ
岩走る水に託さむこのおもいひ
水辺の木の葉もしぶきに濡れるに