「虚庵居士のお遊び」

和歌・エッセー・フォート 心のときめきを

「滾る 蘇鉄」

2009-07-12 01:13:07 | 和歌
 
 「蘇鉄」の若芽が、命の滾りを見せて、一斉に伸びていた。

 一昨年の葉は既に切り取られて、さっぱりと身支度を整え、「いざ出発!」との掛け声が聞こえてくるようだ。40枚ほどの葉が、一斉に天に向かって伸びあがる姿からは、蘇鉄の逞しい生命力が感じられる。

 「うつろ庵」の門辺にも、蘇鉄を大鉢に植えて置いてあるが、卵ほどの大きさの脇芽を掻いて来て植えたのは、30年ほど前になる。幹の丈がまだ20センチ程の子供ゆえ、新芽の数は10余枚程度だ。まだ固い新芽は成長の兆しもないので、一斉に伸びるのは来春になるのであろうか。逞しい生命力ではあるが、背丈の成長には決して無理をせず、人間どもに「スローライフを見習え」と訴えているかの様だ。





             たまきわる命の滾りを葉に託し

             ヘしあい伸び立つ小暑の蘇鉄は


             陽を受けて葉先の丸みも背筋をも

             伸ばさむとする 蘇鉄の心は?


             何事もせき立つこの世の風潮に

             蘇鉄は諭すや 「倦まず 弛まず」