今年は柚子に花が付き、実がなった。
昔からの言い伝えでは、『桃栗 三年、柿 八年、柚子の大馬鹿 十八年』と言う。ことほど左様に、柚子は実がつくのが遅いので知られているが、「うつろ庵」の住人になってからでも既に5年余、今年は初めて花が咲いた。木丈の生育も殊のほか遅く、枝を剪定したこともあるが、5年でやっと5・60センチ程度か。
幾とせを待ちにけるかな白妙の
気高き五弁の柚子の花ぞも
大馬鹿と人は勝手に云うならめ
柚子の憶ひを はかり難くば
子を守る思ひならむや 柚子の棘は
いとど鋭く 誰から守るや
黄柑に育つを待ちなむ孫たちを
見守るじじの思ひに重ねて