川端裕人のブログ

旧・リヴァイアさん日々のわざ

タミフル対策、あなたの考えは

2007-03-29 14:23:57 | 喫煙問題、疫学など……ざっくり医療分野
リヴァイアさん、日々のわざ: 不都合なタバコの真実@週刊東洋経済(読了して追記)
こちらのコメント欄にて、はからずも、タミフルと異常行動の因果関係について、津田さんを中心に熱心なやりとりがありました。
そこで、最後に津田さんから示唆があった通り、それぞれの「対応」を、自分が知り得た範囲の情報から導いてみませんか。

ちなみに、津田さんからの問題提起は下記の通り。

皆様、
 そろそろここまで来ましたので、質問ばかりでなく、以下の点について皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

1 タミフル服用と因果関係はあるという推論は妥当か?妥当でないとすればなぜか?
2 何らかの対策は取るべきか?取るべきとすればどのような対策が妥当か?対策を取らないとしたら、どのような調査をするべきか?対策も調査もしないというオプションはあり得ないと思います。なお、現段階は対策を取らないとしたら、このままタミフルが使われ続けるということです。もしくは、10代以外は使われ続けるということです。

 タミフルの問題は、皆さん関係する問題です。ですから皆さん自分の問題、あるいは自分の子どもの問題として考えられると思います。もちろん厚生労働省食品医薬品局長の立場で考えてくださっても良いです。今の時点で言えるベストのことを自分の言葉で言って頂けると幸いです。ハンドルネームですから、少し気楽でしょう?疫学は、血で論じるものだというのが本にも書きました私の意見です。


出張帰りのぼくは、まだコメントをしっかり読み込んでいないのですが、ぼくも自身も、なにか考えます。
みなさんも、厚生労働省のお役人になった気分になって、あるいは、親として、とりうる対策を考えてみてくださいませ。
ある研究をめぐってデザインがどうのといっているのももちろん大事なのですが、データに充分語らさせたなら、足りない部分を無い物ねだりするのではなく、その情報の範囲内で、合理的と思える当面の結論を探し、今後の方向性を策定するのはさらに大事なことでありますがゆえ。

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57 コメント

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1 タミフル服用と因果関係はあるという推論は妥... (北二十四条)
2007-03-29 19:43:30
妥当。因果関係を否定出来ないから。
否定出来ないから、副作用にあげている例は数多くあり、
副作用あるものとして、処方されるべきだと思うから。

2 何らかの対策は取るべきか?
取るべき。
医師・薬剤師が処方する際に、きちんと説明をする。
薬のついての説明だけでなく、インフルエンザそのもの、
安易に解熱剤を使用しない(脳症の事など)も含め。

その上で、使用するか否かを患者さんに選択して貰う。
勿論、アマンタジン、リレンザなども紹介する。
薬を服用しない選択時は、注意点(脳症・水分補給等)も説明する。

個人的には、副作用の面だけマスコミ先行していますが、
(鳥インフルの時は、タミフルしかないと偏向報道でしたが)
有効性と安全性のバランス、パンデミックも考慮すると、
有効性は高いと思うので、安易な処方を控えるのが
1番ではないかと思います。
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どうも、しつこく訊いてすみません (きくち)
2007-03-29 19:47:42
あちらにも書いたのですが、あれは本来タバコのエントリーなので、こちらに(東洋経済、探したら、次の号になってました・・・)。
 
1.について横田報告書から何が言えるか、ですが、いろいろ計算したりしてみた結果として、僕は今、因果関係について保留です。

あのデータから、「第1病日朝にタミフルを投与された人が昼に異常行動率を示す率は有意に高い」というためには、「第1病日昼にまだタミフルを投与されていず、かつ発症している人」の数が必要だと思うのですが、第1病日のいつ発症したかについて調査票に書く欄がないので、データが足りないと思います。

津田さんの(そして、僕も)やった計算では、母数をだいたい2000人としているのですが、それは実は「その日(朝6時から翌朝6時まで)のいつかの時点で発症(発熱)して、タミフルを投与されていない数」なので、比較対象としては過大評価ではないでしょうか。仮に単純に2000人を時間で比例配分すると、1000人になっちゃうはずで、そうなるとタミフル投与との差は2倍に下がります。これはたぶん有意ではない。それ以前に、ここで今のような勝手なモデルを導入することは、あまり正当化されないような気がしますが。
一方、朝にタミフルを投与された人は九分九厘、朝の時点で発症しているはずですから、こちらは母数としても正しい。つまり、病気の進行度合いが、平均としては「投与された群」のほうが先に進んでいるのではないでしょうか
 
あちらにも書きましたが、要するにこのデータから「初日昼」の因果関係を推定することはできないのではないかということです。
 
どうなんでしょうか。僕はとんでもない勘違いをしているかもしれないので、すごく自信があるわけでもないです。
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2の対策もあちらに書きましたが、ここにもまとめま... (きくち)
2007-03-29 19:58:12
タミフルを飲んでも飲まなくても、最初の二日は異常行動の危険があるので、よく見ておくこと。
また、副作用の話とは無関係に、使わなくてもいい人にまでタミフルを使っているという現状はまずい。使用は老齢者や体力のない人に限るべき。理由は耐性株の発生を早めるからです。実のところ、このあたりの判断に副作用はあまり関係ないと考えています。その程度には安全な薬でしょう。
 
で、幼児についてはどうか・・・これは難しい。先日までは「使っていい」と考えていたのですが、今は悩み中。たいていの場合、使わなくていいのだろうなあ、とは思います。
最後に、パンデミックを念頭に置いて備蓄するのは必須で、タミフルでもっとも重要なのはこれでしょう。その意味では、「やたらと使わず、備蓄せよ」です
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たびたびすみません (きくち)
2007-03-29 20:18:20
1については、たぶん津田さんの院生のかたがやった「補正」というのがその対応なのだと思うので、それを見たほうがいいのかもしれません。ただ、どんなモデルなら正当化されるのか、今ひとつ想像がつきませんが
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がっつりと読みました。その上で、「親」の立場と... (カワバタヒロト)
2007-03-29 20:18:56
今、自分の子どもに対しては、タミフルは飲ませませんね。
ちなみに、6歳、9歳。
でも、ひょっとすると、卒業式の数日前になってしまったというような時には、使ってしまうかも。厳重注意の上で。
まだ、体力的には、押さえ込めますから。
あと一年二年すると、上の子厳しいですね。

今後の対策についての要望。
まず、横田研究は、公開された時点では、因果関係がないと言い切っているわけでもなく、むしろ、今後の研究の重要性を訴える内容です。
ですから、厚労省の「因果関係なし」のコメントは、即時撤回してほしいものです。
可能性は、ある、のですから。

その上で、横田研究を読み直すのは、元データがないかぎり、限度があるわけで(また、デザイン上も限度があるわけで)、新たな調査は大いに期待します。
その際、1万人規模の前向きコホートとやらにばかり期待するわけではなく、これまでに厚労省に報告されている飛び降り事例なども含めた、症例対照研究や、後ろ向きコホートなどもぜひ検討して頂きたいです。
とにかく、曝露している人は莫大な数です。ここから先、タミフルを慎重に投与するケースが増えるでしょうから、ますます過去に学ぶ必要は大きくなります。
いろいろな研究を合わせ考えて、疫学研究はrobustになっていくものでしょう。その点で、カネと時間がかかる前向きコホートをやってそれだけで足れりというのは、いつもながら疑問です。

そんなとこですかね。

新型インフルエンザ対応としては、流通在庫を確保、というようなイザとなったら意味が無くなるしもしれない施策ではなく、ちゃんと備蓄をすすめよ、というのが、今のところの考えです。
これは、パンデミックの危険を述べる人たちの意見をそのまま納得しているわけですが。
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きくち様、 (zusammen)
2007-03-29 20:46:33
 最大限過小評価して2倍なら、因果関係があると判断しますが。
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1→妥当 (sionoiri)
2007-03-29 21:07:37
2→注意喚起のみ

まず、因果関係の有無に捕われず、リスクベネフィットからは、タミフルによる異常があるとしても、例数が少ない。一方で、タミフルの有用性も不十分である。NNTとNNHを見比べれば、稀な事象に振り回されるだけ。
品薄と云えば刺され、パンデミックといえば刺され、異常行動だと云われれば刺される。
http://square.umin.ac.jp/pb165/mito/comp/2005flu2.html
リレンザで同様の問題が顕在化しない理由は判らないしかし、タミフル日本で触れたように。不要なのに防衛的に使わざるを得ない土壌そのものが問題ではなかろうか。脳炎で訴えられるか、異常行動で訴えられるかという些末な話でロシアンルーレット。
http://ttchopper.blog.ocn.ne.jp/leviathan/2005/08/post_9db5.html
審査報告書は古いので、予防効能の頃の話しか出て来ない。
http://www.info.pmda.go.jp/shinyaku/g0407.html

注意喚起のみなのは、作用機序そのもので死ぬ事もあるインスリンやスルホニル尿素薬に較べれば、大した副作用ではない。
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zusammen様 (きくち)
2007-03-29 21:33:09
 
二倍は「最大限過小評価」の結果ではないです。最も単純な比例配分に過ぎず、このモデルが正当であるとも「最大限のなにか」だとも思っていません(ただ、この数で二倍なら有意ではないだろうという気はしますが、どうでしょうか)

むしろ「初日昼は4倍という解釈はどの程度正当化されるのか」という質問だと思ってください。少なくとも、投与群と未投与群ではそもそも病状の進行度合いに「平均として」差があるのではないか、という疑問は提示してもいいはずです。
 
たとえば、以下のようなモデルも可能です。
単純に未投与群については「平均6時間遅れ」と考えて、比較対象を第1病日昼ではなく第1病日夜にすると、4-7-1から12時間で84人なので、6時間あたり42人。この時点で未投与の人は最大1900人ですから、発現率は最低でも2%となり、第1病日昼の既投与群と一致します。
だからどうだ、という意味ではなくて(一致はたまたまです)、こういう解釈もありえてしまうのではないか、ということです
 
まったくの素人考えなので、大間違いかもしれませんが、発現率の大きな差が初日だけに見られるのであれば、この疑問はシリアスなのではないでしょうか。
なにか標準的な計算法があるでしょうか。浜氏のには「生命表法」とかいう言葉が出ていますが、関係ありそうななさそうな。
 
もちろん、これは「もともとそういうふうにデザインされていない」せいなので、だから「因果関係はない」とかそういう話ではないです。単に、横田研究の再解釈から「初日は高い」とか「初日昼は4倍」とか言い切っていいのかどうか、確信が持てないということです。
 
また、  http://www.npojip.org/sokuho/061028.html
で浜氏は、データそのままでも初日は2倍であるとして、さらに母数の勘定についていろいろ議論しています。しかし、やはり僕が書いたような意味での過大評価については無視しています。
たしかに、データ上の「初日」はそうなるので、それ自体は間違いではないのですが、そこにどういう意味を見出すかは、「初日とはなにか」をきちんとしておかなくてはならない気がしました。
 
このデータを忘れて、「なんらかの因果関係があるのか」と問われれば、川端さんが書かれたとおり「なしと言うのは早計」だと思います。
現に薬には注意が書かれているわけですし
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きくち様、 (zusammen)
2007-03-29 23:07:45
 ご指摘ありがとうございます。
 「標準的な計算法」なんてないですよ。もともとこの報告書自体が全く非計画的なデザインで非定型的な分析を行っているからです。標準的なデザインと定型的な分析だったら、そもそも、補正など必要ないわけですから。
 ご指摘をしっかり理解したわけではありませんが、私は、あまりシリアスと考えていません。過小評価ぎみの医師のデータでその程度ですから。あと、この場合有意差はあんまり考えず、点推定値で論じています。
 それと例えば、国際がん研究機関IARCの受動喫煙と肺がんのモノグラフ(vol.83)を見てください。これ以外でも、色んな値のバラツキがあります。きくち様の推論を色んなデータでやっていたら、とても判断は下せなくなります。
 でも、きくち様は対策を打つことを先にやってしまうわけですから(こんなことが可能になるのは耐性を考えられるこの例だけですね)、因果関係の有無は当座はどちらでも良いことになり、ゆっくり更なる調査ですね。でも調査は新規症例に関しては不可能になり、過去の事例の調査になります。いつ頃までかというと、インフルエンザになってタミフルを飲んでケガや死亡をした人に、副作用ナントカ機構からお金を支払うか否かを判断する必要が生じた時になりますね。これからは、タミフルを服用したか否かに関わらず、インフルエンザで飛び降り情報が集まりますので、症例対照研究でも検証出来るかも知れませんね。これが可能になると通常とは逆の事態ですね。
 
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zusammen様 (hypereosinophilia)
2007-03-29 23:12:53
機能の質問に丁寧な説明ありがとうございました(別項目ですが)
臨床の論文は読んだことがないので解析法には疎いです
それもあってか横田報告書の見方が間違えていたことに気がつきました
投与前の患者は未使用に含まれているのですね

以下もう一度報告書を見直してみての感想です
現在薬の研究の立場ですのでそちら側にバイアスのかかった見方になってるかもしれませんが(ただし非臨床なので臨床のプロトコールの立て方、解析にはうといです)
タミフル初回服用時が医者にかかった時間とある程度近いと思われる(処方されてから服用まで時間を置くとは思えない。)
医者にかかってアンケートを入手したらその後はじっくり観察しますよね。特に異常行動なんて書かれてたら心配になって
でも医者にかかる前はそこまで注意していたんでしょうか
2日目に医者に来た人は前の日のことだし、昨日はただの風邪だと思って注意していなかったかもしれないし

何が言いたいかというとプロトコールが今一で未処置群の発症数の方に疑問が残る。計画段階で未処置の何時頃に異常行動が出るかの考察がされていなかった。(結果にも次回は1,2日目に限定してとあるように)それをふまえて

1.タミフルとの因果関係は
「否定はできない」白というほどのデータでもないし、黒というほど確かでもない。レッテルを貼られると何時までも引きずる国民性でもあるので今の段階の確定は...

2.対策は
医者から注意を促すくらいにしか考えられない
誓約書のようなものを書かせるというのも一つの手ではあると思うが
調査は医者にかかった後について調査、発症からの時間と診断時期を分けて。未使用例を何とかして増やす

まとまってなくてすいません
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