写真はどんより乱層雲。センサーにゴミがついているのが、空を撮るとよく分かる。通常のセンサークリーニングではとれないし、しかし、手作業でやる気にもなさず、どうすりゃいいんでしょ。
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で、本題、日本の空港などで行われている現在の検疫で、新型インフルエンザの流行が防げるとは、当局も考えてはいない。むしろ「時間稼ぎ」と説明されてきた。
だいたい、潜伏期間が最大7日あるかもしれない感染症で、国際空港の「水際」だけで防御できるはずがない。
だから、
・検疫をすり抜けたヒトヒト感染によっての感染拡大が国内で確認されたら、厳しい全頭検査のごとき機内検疫を維持するための意義(感染者のほとんどを捕捉して感染拡大を遅らせようとしても、既に国内に火種だたくさん)がなくなる。
・さらに、ヒトヒト感染によって蔓延状態になったら、検疫よりも国内対応に焦点が移る。
無限のリソースがあるならやる意味があるかもしれないが、ここから先、万全の検疫に費やしいてた労力を、国内向きに振り向けないと。
時間稼ぎした分、準備は万端(のはずですよね、マスゾエさま)。
我々の日常の中にある病気のひとつとして新型インフルエンザをとらえ、時間稼ぎして集めた情報をもとに最適な態勢をとっていただきたいもの。
そして、その「最適」は、常に新しい情報のもとに、かわっていくことに留意。
最初は超ウルトラ級のパンデミックに発展するかもしれないと恐れられた(その可能性も否定できなかった)今回の新型について、情報がつみかさなることで、それこそ「確率密度関数の雲がはれる」ようになってきたわけで、それに応じて、従来のマニュアルを修正しなきゃって時期でもあるのだ。
そして、もっと時間がたったら、今回の検疫態勢が、はたして、「時間稼ぎ」に有効だったかどうかも検討してほしい。
発生国からの旅客機を「すべて」水準で、機内検疫した国はほとんどない中で、はたして、その労力は見合うものだったのか。
ひょっとすると、新型の影で、季節性インフルや、ほかの重篤な感染症、さらには何かのリスク群で、常に気を配らねばならない人たちへのケアが手薄になり、実際に人的被害が出ている可能性だってある。
そのあたり、そろそろ(いや、ちょっと前から)心配する時期にきているんじゃないか。
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追記です。
にしうらさんが、最初のほとんどhate攻撃ですかってくらいな書き込みのあと、コメント欄にあるような真意を述べてくださる新しい書き込みをいただきました。
その一部を抜粋。
ご指摘もっともな部分があって、ぼくは今回のインフルエンザがらみのエントリを書く際に、自分の持てる力と使いうる時間の10分の1も使っていません。
「仕事」としても、いっさい、かかわっていないし(編集者がいるようなメディアに書いていない)、新聞テレビからの取材も受けていません。
というわけで、「できる水準までやっていない」ことは大いに認めざるを得ません。
それでも、関連する作品を書いたことがあるが故に、準専門家のように見てくれる「読者」がいるのも事実でしょう。
筆は凶器になるという件、最近いかに、自分の筆の力が「届かない」かということについて失望することが多く、あらためて指摘されますと、はっと身の引き締まる思いです。
それよりもなによりも、自分がこの事態にどのように相対そうとしているのか、という点で、にしうらさんに揺らぎを指摘された気がいたします。
目下、自分にとってトッププライオリティではないわけです。
それを、つまみ食い的に書いているとんじゃないか、と。
なら、たしかに、偉そうなこと言えません。
本当にこのエントリを書いた最初のところにある認識は、一時顕著だった「検疫万能」な閣僚の発言や、限界にきていると言われる空港検疫の現場の報道やら、感染症情報センターでのブリーフィングやらなわけで、そこから突っ込んで取材してませんから。
にしうらさんが「逆立ちしても合意できない」という部分を、空港検疫をぎりぎりまで最大規模で維持すべし、というふうに読むとすると、「なぜ?」と思いつつ(今回の新型インフルのみの被害を最小限にすることを社会の最大目標にすえるなら別ですが)、自分がその「なぜ」を深めていく状況にないことを白状いたします。
その点、肝に銘じつつ、今後、トッププライオリティの問題になったとき(遠からずそうなる気がします)のために、情報のキャッチアップ的メモは書いていこうかと思っているところです。
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で、本題、日本の空港などで行われている現在の検疫で、新型インフルエンザの流行が防げるとは、当局も考えてはいない。むしろ「時間稼ぎ」と説明されてきた。
だいたい、潜伏期間が最大7日あるかもしれない感染症で、国際空港の「水際」だけで防御できるはずがない。
だから、
・検疫をすり抜けたヒトヒト感染によっての感染拡大が国内で確認されたら、厳しい全頭検査のごとき機内検疫を維持するための意義(感染者のほとんどを捕捉して感染拡大を遅らせようとしても、既に国内に火種だたくさん)がなくなる。
・さらに、ヒトヒト感染によって蔓延状態になったら、検疫よりも国内対応に焦点が移る。
無限のリソースがあるならやる意味があるかもしれないが、ここから先、万全の検疫に費やしいてた労力を、国内向きに振り向けないと。
時間稼ぎした分、準備は万端(のはずですよね、マスゾエさま)。
我々の日常の中にある病気のひとつとして新型インフルエンザをとらえ、時間稼ぎして集めた情報をもとに最適な態勢をとっていただきたいもの。
そして、その「最適」は、常に新しい情報のもとに、かわっていくことに留意。
最初は超ウルトラ級のパンデミックに発展するかもしれないと恐れられた(その可能性も否定できなかった)今回の新型について、情報がつみかさなることで、それこそ「確率密度関数の雲がはれる」ようになってきたわけで、それに応じて、従来のマニュアルを修正しなきゃって時期でもあるのだ。
そして、もっと時間がたったら、今回の検疫態勢が、はたして、「時間稼ぎ」に有効だったかどうかも検討してほしい。
発生国からの旅客機を「すべて」水準で、機内検疫した国はほとんどない中で、はたして、その労力は見合うものだったのか。
ひょっとすると、新型の影で、季節性インフルや、ほかの重篤な感染症、さらには何かのリスク群で、常に気を配らねばならない人たちへのケアが手薄になり、実際に人的被害が出ている可能性だってある。
そのあたり、そろそろ(いや、ちょっと前から)心配する時期にきているんじゃないか。
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追記です。
にしうらさんが、最初のほとんどhate攻撃ですかってくらいな書き込みのあと、コメント欄にあるような真意を述べてくださる新しい書き込みをいただきました。
その一部を抜粋。
今回のような流行で新聞誌上とかの1次情報を流したい報道がパニっている感は否めませんが,できる限りの事実を流すための努力をしているように思われます.最も今回に個人的に問題視している日本での対象は,ニセ専門家(ウイルス学者と感染症の理屈をわかっていない公衆衛生・疫学者)と自由なライターであって,特に自由ライターでは,ジャーナリストと川端さんのようなパターンだと感じています.例えば,不要に「マイッタ」だとか「あらー」とだけでも書かれるのは,本心であろうとも単純に煽りになる気がしてなりません.筆は凶器ともなり得ることを最も理解していらっしゃる立場にある作家ならば,正しい情報の解釈を適切な知識に基づいて行うことを心掛けられることが必要に思います.研究レベルまで理解していなくとも,政府や国際機関のStatementのミスリーディングな細部くらいまでは見抜くことができるくらいのレベルで色々と書くことができると良いのではなかろうか,と.少なくとも,あなたならそれができるのではないかと思った次第です.
ご指摘もっともな部分があって、ぼくは今回のインフルエンザがらみのエントリを書く際に、自分の持てる力と使いうる時間の10分の1も使っていません。
「仕事」としても、いっさい、かかわっていないし(編集者がいるようなメディアに書いていない)、新聞テレビからの取材も受けていません。
というわけで、「できる水準までやっていない」ことは大いに認めざるを得ません。
それでも、関連する作品を書いたことがあるが故に、準専門家のように見てくれる「読者」がいるのも事実でしょう。
筆は凶器になるという件、最近いかに、自分の筆の力が「届かない」かということについて失望することが多く、あらためて指摘されますと、はっと身の引き締まる思いです。
それよりもなによりも、自分がこの事態にどのように相対そうとしているのか、という点で、にしうらさんに揺らぎを指摘された気がいたします。
目下、自分にとってトッププライオリティではないわけです。
それを、つまみ食い的に書いているとんじゃないか、と。
なら、たしかに、偉そうなこと言えません。
本当にこのエントリを書いた最初のところにある認識は、一時顕著だった「検疫万能」な閣僚の発言や、限界にきていると言われる空港検疫の現場の報道やら、感染症情報センターでのブリーフィングやらなわけで、そこから突っ込んで取材してませんから。
にしうらさんが「逆立ちしても合意できない」という部分を、空港検疫をぎりぎりまで最大規模で維持すべし、というふうに読むとすると、「なぜ?」と思いつつ(今回の新型インフルのみの被害を最小限にすることを社会の最大目標にすえるなら別ですが)、自分がその「なぜ」を深めていく状況にないことを白状いたします。
その点、肝に銘じつつ、今後、トッププライオリティの問題になったとき(遠からずそうなる気がします)のために、情報のキャッチアップ的メモは書いていこうかと思っているところです。
「国内におけるインフルエンザ様疾患等の集団発生(クラスター)を検出し調査する体制、および重症のウイルス性肺炎例などを確実に把握し検査する体制の構築が重要であり、準備を急ぐ必要がある。」
http://idsc.nih.go.jp/disease/swine_influenza/case-j-2009/090516case.html
不正確な更新は困り者です。
神戸の事案、コネで調べてもらったのではどうしようもありません。定点で系統的に調べるには週単位の誤差はありますが、今回の事案はそうでもないようです。
東京都は素っ気なく
「東京都福祉保健局では、新型インフルエンザ・鳥インフルエンザの発生を早期に発見し、ウイルスの封じ込め対策を的確に行うことを目的に、緊急検査システム『東京感染症アラート検査』による対応を行っています。この検査は、医療機関の協力のもと、保健所から健康安全研究センターに依頼して行う行政検査であり、一般の方から直接の検査依頼はお受けしておりません。」とは書いてありますが、インフルエンザ型決定は自費あるいは行政検査なので、一般診療(健保適応)では実施しません。
インフルBが減って薄まったのなら良かったのにね。うちは5/2の週のB型が最期。Aは2月から見てません。
政府と誘導されがちなマスコミによって、パニックムードが過大に盛り上げられていると感じています。この点、西浦さんの方が「外」にいらっしゃることになります。
と書きつつ、そこが論点ではないですね。
・ヒトヒト感染によって蔓延状態になったら、検疫よりも国内対応に焦点が移る。
・検疫をすり抜けたヒトヒト感染によっての感染拡大が国内で確認されたら、厳しい全頭検査のごとき機内検疫を維持するための意義(感染者のほとんどを捕捉して感染拡大を遅らせようとしても、既に国内に火種だたくさん)がなくなる。
というところでしょうか。
ますます、うっとおしくなりました(笑)。
で懸念したことが、まったく的を射ていないのでしたら、エントリこと削除するのもやぶさかではありません
sionoiriさん、いつもありがとうございます。
学童はカナリヤ。
学級閉鎖しても子どもを預かる学童保育はもっとカナリヤですね。
あーやだ、うちの娘、なんか咳してますよ。
そして、あおり立てるマスコミ情報がもっともうっとうしいので、まず繰り返して見ない。情報は必要最小限度のレベルで受け止める。
で、これまで季節性のインフルエンザが流行ると、真っ先にジジババちびっこの心配をしていたわけですが、新型はなんで若者ばっかり感染してる(もしくは判明してる)んですか?
それはまだわからへんのやっけ?
てか、このエントリ消えるんやっけ?
こちらでは、疑い症例の定義の中に、
健康だった65歳未満の人がインフル状症状で入院した場合
という項目があります。
これは、65歳以上が、かかりにくいと分かってきたから、というのでいいのでしょうか。
よしんば、罹患率が低くても、人工呼吸器や酸素投与など濃厚な医療が必要になる人数が、どう転ぶかは?
もともと濃厚な医療環境にあり、社会的に要求される水準が高い中、資源の配分という事では、予断を許しません。
それを実際に調べるのは、世界に冠たる高齢者社会となった日本の役割だと思います。
町田みたいなことがあれば判ります。
http://newinfluenza.blog62.fc2.com/blog-entry-344.html
結果責任だけ被せられるのでは、知りたくもないですが。
検疫ということでは、高校の部活より厳しいですけど。学童以上にデイケアでは、熱が出たら迎えのバスに乗せてもらえないし。
メキシコ(2004)の人口比率
0~14=31.6%,15~64=63.2%,65以上=5.2%
日本(2005)
15歳未満13.6%、15~64=65.3%、65歳以上=21.0%
病院には来ないで出歩かずに、家で寝ていて下さい。それだけがお願いです。
http://blog.m3.com/DrBlue/20090517/1
まぁ、メキシコシティーよりも、空気は奇麗で、高度が低くて濃いのが救い。
リソースの具体的な数・機能と検疫の具体的な有効性を理解できていない限りは判断することが難しい政策的Sentenceに読めます(そして,それら根拠がない段階では政策的にはエイヤーとやるものに思います).少なくとも,現時点で「蔓延状態」と思えず,また蔓延になるとは余り予測されず.かつ「蔓延」という単語が何を意味するものかも慎重に吟味されてから筆を動かされるべきではないかと思います.少なくとも関連する内容をかじったことがあって興味を持って内容に取り組んでいるのでしたら,と思うのです.
>> ・検疫をすり抜けたヒトヒト感染によっての感染拡大が国内で確認されたら、厳しい全頭検査のごとき機内検疫を維持するための意義(感染者のほとんどを捕捉して感染拡大を遅らせようとしても、既に国内に火種だたくさん)がなくなる。
感染拡大が観察されたとも思えず,また小規模の2次感染の連鎖が確認されたと言えども,検疫に少なくとも少しの有効性が期待されるならば,移入の対策を続けることに意義があるのではないでしょうか.つまり,国内の絶滅確率が高いならば(あるいはEven高い確率で流行が起ころうとも),Border controlは未だ重要であって,特にそれが新規の移入を少しでも防ぐことが明らかならば実施すべきであって,「無意味」だとか「意義がなくなる」というStatementには,逆立ちしても私は同意できません.明らかに誤りでミスリーディング,そしてこういうものがAccumulationして最終的にミスリーディングな政策判断に影響を与えるもの,と危惧します.
今回のような流行で新聞誌上とかの1次情報を流したい報道がパニっている感は否めませんが,できる限りの事実を流すための努力をしているように思われます.最も今回に個人的に問題視している日本での対象は,ニセ専門家(ウイルス学者と感染症の理屈をわかっていない公衆衛生・疫学者)と自由なライターであって,特に自由ライターでは,ジャーナリストと川端さんのようなパターンだと感じています.例えば,不要に「マイッタ」だとか「あらー」とだけでも書かれるのは,本心であろうとも単純に煽りになる気がしてなりません.筆は凶器ともなり得ることを最も理解していらっしゃる立場にある作家ならば,正しい情報の解釈を適切な知識に基づいて行うことを心掛けられることが必要に思います.研究レベルまで理解していなくとも,政府や国際機関のStatementのミスリーディングな細部くらいまでは見抜くことができるくらいのレベルで色々と書くことができると良いのではなかろうか,と.少なくとも,あなたならそれができるのではないかと思った次第です.