川端裕人のブログ

旧・リヴァイアさん日々のわざ

廣田班批判について

2008-07-18 08:12:10 | 喫煙問題、疫学など……ざっくり医療分野
みなさん、先刻ご承知のとおり、こういうニュースがあって、
タミフル、10代への使用禁止見直しも…厚労省部会(読売新聞)

どうも、あきらかに、はっきりと、誤分類の結果、廣田班は間違った結論を出しているらしいという話が、あちこちで広がっています。
タミフルで異常行動が半減するという厚労省解析は誤り - NATROMの日記
タミフル再び(追記7/14)

今度ばかりは、ひょっとすると厚労省も、見解を取り消さねばならないかもしれない、という話もちらほら。
ぼくは今、別件にかかりっきりであまり追いかけられないけれど、意欲のある方は、NATROMさんのはてなとか、きくちさんのキクログあたりから、読んでみてください。

本来、ああだこうだ言いたいのだけれど、今はなんにもできない。フラストレーションですが、目の前のものを片付けてます。


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30 コメント

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バイアスだらけの後ろ向き研究で、どのやり方が正... (立花)
2008-07-18 12:37:34
特に、思い出しバイアスはかなり強いんじゃないかな?

誤分類の件にしても、そもそもが処方非処方、処方されて服薬するかしないか自体が症状と独立でないので、盲検下での無作為化比較試験でやられる、ITTの原則を言うのは的外れかと。あれは、第一種の過誤を有意水準以下に抑えるためのひとつの方法に過ぎませんしね。

また、患者や患者の家族が知りたいのは、処方、非処方ではなくて、服用、非服用だというのはそうだと思いますし、この際、両論併記がよいかと。

ただ、少なくとも、オッズ比が1.5になるだけでは、タミフルを禁止する理由にはならないのは明らかです。 私なら、思い出しバイアスや重症度バイアスじゃないの? と突っ込みますよ。

浜氏側は、無作為化比較試験をしろ、などといってますが、発現率のベースが10%程度とし、1.5倍の違い(発現率で5%の増)を片側2.5%の有意水準、90%のパワーで検出
するには、一群1000例近く必要でしょう。 莫大な費用がかかります。
また、タミフルを処方された被験者の保護者は、異常行動を見つけやすいでしょうから、少なくとも単盲検にしないとね。 タミフルそっくりのプラセボを作る費用も発生します。

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浜氏側の最新の主張です。 (立花)
2008-07-18 13:04:36
http://npojip.org/sokuho/080711.html

比較可能性がないので、検定なんて意味ないんですが、

>タミフル処方群  13.0%(7586人中988人が異常行動)
    非処方群  8.8%(2129人中187人が異常行動)
差は4.2%でした。

を見て、私はタミフルを使っていいんだ、と思いましたよ(笑)。 処方、非処方なので、服薬、非服薬じゃないんですけどね。
そもそも、この程度の副作用で、騒ぐ必要はない。

非処方でも、9%近くでるような、(回復し、致命的でない)症状が1.56倍(オッズ比)出やすくなるなるから

>因果関係を「否定できない」ともせず、無策のまま過ぎると、これまでの薬害同様、被害は拡大するばかりです。

というなら、世の中のほぼ全ての薬は、禁止すべきですよ。 リスクベネフィットの問題として考えても、タミフルの場合、十分つりあいが取れています。
これ、薬害ではありません。
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立花様、 (zusammen)
2008-07-18 17:04:48
 一日2回服用する薬、しかも病初期に服用を始めないと無意味と言われている薬なのに、なぜ、病初期や12時間ごとの分析をしないのでしょう。このことを踏まえておかないと浜先生の記述は理解できないと思います。
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後ろ向きな調査で、そのような分析ができるでしょ... (立花)
2008-07-22 12:53:57
収集されたデータそのものの信頼性を強く疑います。

そして、データを後でいろいろきざめば、たとえタミフルの影響が皆無であろうと、後付で説明をつけることができる、それらしいパターンを発見できますし、事後層別における検定は、たとえ多重性の調整をしていても、恣意性が除外できませんから、意味ありません。

データをいろんな角度で検討するのは重要なことですが、そこで発見されるのは、「仮説」にすぎません。検証されたとするには、すくなくとも、研究開始前に、帰無仮説と適用する解析方法を宣言しておく必要があります。

今回の場合、それほどの厳密さは必要ないというならば、そういう限界をきっちり説明した上で、こういう見方もできる、と言うべきでしょう。 こうだ! 言い切るのは明らかに間違いです。

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 2年前の横田報告書では、それが分かるようにデ... (zusammen)
2008-07-22 15:09:32
 要するに、今回の発表は、これまでの議論の蓄積を全く無視した分析方法と言えます。横田報告書でもデータの不備は問題になりましたが、今回はさらに分析方法でも問題が大きくなっています。これを元に政策判断が行われようとしている時に、不完全とはいえ現在あるデータから、オーソドックスな薬剤副作用の分析結果の情報を引き出さざるを得ない状況です。(笑)を交えながら議論される立花さんよりは真面目な態度だと思います。
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やっと、コメントできる余裕ができました。 (カワバタヒロト)
2008-07-23 11:02:48
とはいえ、そんな突っ込んだ事を言えるわけでもなく……。
ひとつ、言えるのは、このタミフルの分析については、別に浜さんが言うような「タミフル認可取り消し」に直結するかどうかはともかく、分析としておかしいのはどうにかしようよ、と強く感じております。
厚労省も、ミスを認めてほしいです。
ぼくでも説明を受ければ理解できる程度のミスですし、「医系」の技監さんなんぞもたくさんいる場所で、わからないはずがないんですから。
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論点が違うようですね。 (立花)
2008-07-23 12:41:52
私が言っているのは、このような後ろ向き研究で、そういうデータが十分な精度で収集できるというのは非常に疑問である、ということ、それから、そういう分析をして、そこに差が見出されたとしても、事前に計画されている分析ではない(確かめてはいませんが)ので、その分析だけで結論することはできない、という当たり前のことを言っているだけです。

>そもそも、急性の副作用症状の分析に置いて、血中濃度が高い時間帯を意識して分析するのは当然です。

事後的に分析した結果は、薬理学的にどんな理屈がつけられても、「仮説」を導くに過ぎません。 少なくとも統計的仮説検定には意味はありません(厳密に言うと、帰無仮説は無作為化比較試験の場合にのみ保障されるので、統計的仮説検定は無作為化試験の場合にしか妥当性を持ちません)。p値は、単に「何かありそうだ」度の指標にしかなりません。

私の主張は、後からの思いつきでいろんな分析ができ、また、それは重要だけれど、その結果で結論してはいけない、ということです。
ただし、事が重大であるならば、予防原則を優先して、そのような結果だけでタミフルを禁止するというのもありでしょう。しかし、タミフルの場合、予防原則を優先すべきだとは到底思えないのです。 もし、投与後12時間以内に異常行動発現率が高いという分析結果を問題視するなら、結論はできないが、そういう注意が必要だと患者の保護者に伝えればいいのです。

私個人は、これはどちらの側の分析方法がより正しいのか? という問題ではなく、この研究にはいろいろ限界があり、また、いろいろな見方ができる。だから、両論併記がいいのではないかと考えています。 

それから、インフルエンザは死に至らない病気だと浜死側は主張していますが、インフルエンザから肺炎などになって死亡するケースがあり、このような死亡をインフルエンザ関連死亡といいます。これは、決して無視できる頻度ではありません。
真のエンドポイントは、インフルエンザ間連死亡の発生率です。 タミフルがこれを減らすか、増やすか、それとも変えないか、が見るべきものなのです。臨床試験のデータを見てみましたが、合併症を引き起こす率を下げることを示唆する(可能性がある程度ありそうだという)結果がありました。 

繰り返して言いますが、たとえ浜氏側の分析結果を受け入れるとしても、今のところ、タミフルは禁止すべき薬剤ではありません。使用するかしないかは、患者や、患者の保護者の判断にゆだねるべきでしょう。 私なら、自分の子供に服用させ、12時間は常に目の届くところに寝かせておきますよ。
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浜さんの言い分は、おいておいて……。 (カワバタヒロト)
2008-07-23 12:59:26
「「仮説」を導くに過ぎません」というときに、その仮説を導こうともしないのは変だなあと思いますが。

それと、「統計的仮説検定は無作為化試験の場合にしか妥当性を持ちません」とおっしゃいますが、これってかなり教条主義的にすぎません?

今、治験のための研究をやっているわけではなく、現実社会での現象を見ているわけですから。

もしも、こんな研究でも仮説が立てられるなら、複数の研究がよりあわさって、最初の仮説に対して肯定的なものであれ、否定的なものであれ、より強い知見になっていくこともあるわけですよね。
無作為化試験でなければ意義を認めないという立場、とても危険なのでは?

素人なりにちょっと齧った程度の知識で言っていますので、的外れだったらごめんなさい。

他の方の意見も聞きたいところです。
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>事後的に分析した結果は、薬理学的にどんな理... (zusammen)
2008-07-23 13:26:41
 市販後薬剤調査に置いて、無作為化比較試験は通常行われません。回収などの措置が行われた薬剤で、無作為化比較試験が根拠となった例をもしご存じでしたらご教示下さい。無作為化比較試験にこだわる立花さんの考えは、現実的でないばかりでなく非科学的ですらあります。また、p値しか因果関係による影響の指標を持ち得ないとしたら、これは大きな問題です。立花さんが厚生労働省の方なら大問題です。

>私個人は、これはどちらの側の分析方法がより正しいのか? という問題ではなく、この研究にはいろいろ限界があり、また、いろいろな見方ができる。だから、両論併記がいいのではないかと考えています。
 
 そうですね。私も両論併記が良いと思います。両論併記だと、今回の厚生労働省の発表の誤りが明らかです。ところが、厚生労働省の発表のみが報道されている現状では、全く両論併記ではありません。
 タミフルが禁止すべきかどうかは、タミフルによりどのような害がどの程度生じるかという基礎情報を知ることが非常に重要ではないでしょうか?そういう意味では、厚生労働省は横田報告書から2年近く、厚生労働省による10代禁止措置から1年半近く、定型的な市販後薬剤調査を全くやっていません。立花さんの批判が浜さんに向けられているのは見当違いの感があります。 

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カワバタ様 (立花)
2008-07-23 17:14:04
>「「仮説」を導くに過ぎません」というときに、その仮説を導こうともしないのは変だなあと思いますが。

ええ、それには同意しますよ。 あえてタミフルに不利になるような見方をして、意味がありそうないろんな仮説を探し出すというのは、非常に有意義でしょう。

>それと、「統計的仮説検定は無作為化試験の場合にしか妥当性を持ちません」とおっしゃいますが、これってかなり教条主義的にすぎません?

ええ、だから厳密に言うと、という枕詞をおいています。

>もしも、こんな研究でも仮説が立てられるなら、複数の研究がよりあわさって、最初の仮説に対して肯定的なものであれ、否定的なものであれ、より強い知見になっていくこともあるわけですよね。
無作為化試験でなければ意義を認めないという立場、とても危険なのでは?

エビデンスレベルが低いので、浜氏流であろうが、廣田班流であろうが、こういう研究ひとつだけで結論するのはいけない、と言っているのです。
複数の研究が必要で、一貫した結果が得られないとダメです。無作為化比較試験は無理でも、バイアスをある程度防ぎ、時間単位での精度よいデータを得るために、前向きの研究は必要だと考えますよ。

ただ、これも繰り返しになりますが、予防原則を優先すべきであればそこまでやる必要はなく、タミフルはグレーだというだけで禁止すればいいでしょう。でも私は全くそう思いません。

私が言いたいのは、このような研究の後付の解析で、「タミフルが異常行動を増加させるのは明らかだ!」 と、まるで無作為化比較試験と同程度のエビデンスが得られたような言動をし(少なくとも、私はそういう印象を持っています)、だから禁止すべきだという、浜氏側のセンスは、廣田班のセンスの無さを批判できるほどご立派なものではないですよ、ということです。





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