川端裕人のブログ

旧・リヴァイアさん日々のわざ

ヨウスコウイルカ絶滅か って、マジですか??

2006-12-14 20:44:44 | 川のこと、水のこと、生き物のこと
まずはこちら。

ヨウスコウイルカ絶滅か 大規模調査でも見つからず(共同通信) - goo ニュース

まいった、本当ですか??

1980年代初めには約400頭が生息していたとされるが、1997年の探査では13頭が見つかり、2004年には1頭の目撃報告があった。


という経緯は、1997年のことまでしか知らなかった。かつて、『イルカとぼくらの微妙な関係』で、中国科学院水生生物研究所まで行って、当時飼育下にいたバイジーをみてきたことがある。

あれからはや十年以上……。
いつのまにか絶滅って……。

これって、ひょっとすると、リアルタイムで目撃というか、体験した最大の絶滅かもしれない。
ステラーカイギュウでも、オオウミガラスでも、リョコウバトでもなく、つい十年前には、まだ現存して、一度は会ったことすらある生き物。

まいった。
かなり衝撃を受けている。
そうか、大型動物の絶滅というのはこうやって起きるのか。
もちろん、どこかにまだ数頭とか十数頭のレベルで生き残っている可能性はゼロではないにせよ……。

ちなみに、バイジーについて、今となっては稀覯本となりつつある、↓に詳しい。これは、とても価値の高い本。
カワイルカの話―その過去・現在・未来
価格:¥ 3,059(税込)
発売日:2000-04



ぼくの本でも、バイジーについての一章があるけれど、とても簡単なもの。
今、ユーズドでとても手軽に手に入るみたいだ。
イルカとぼくらの微妙な関係イルカとぼくらの微妙な関係
価格:¥ 1,680(税込)
発売日:1997-08


フィッシャーが最後まで喫煙が肺がんの原因になると認めなかった話

2006-12-14 16:44:01 | ひとが書いたもの
統計学を拓いた異才たち―経験則から科学へ進展した一世紀統計学を拓いた異才たち―経験則から科学へ進展した一世紀
価格:¥ 2,310(税込)
発売日:2006-03


かなり、前に読み終わっていたのだけれど、今さら、コメント。
予想にたがわぬ、面白い本でした。

まず、そのカワバタ的意義としては、このあたりを。
リンク: サイエンスアゴラでうまく言えなかったことが、ここに書いてある

最初の一章あたりのみでこれを書いたのですが、印象は変わらなかったです。

その上で……一点、読みどころとして、現代統計学の祖ともいえるフィッシャーが、最後まで「喫煙は肺がんの原因」説に抵抗した話が興味深かったです。
ほかの統計学者が、医学側(疫学側)からの圧倒的な証拠の積み重ねに、次々「喫煙は肺がんの原因」と認めていく中で(いわゆるthe great debateってやつですね)、フィッシャーのみが最後まで抵抗した理由。

フィッシャー自身が猛烈に「愛煙家」であった事実を指摘しつつも、むしろ、フィッシャーが相関や因果を扱う統計学が必ずぶちあたる「因果とは」という問題に固執したからだという結論を下していました。

つまり、ヒュームから始まって、ラッセル・ホワイトヘッドの 「実質含意」にいたる、「よくわかんない因果」についてどう扱うかという議論を、統計学として真面目に受け取ると、そうたやすく因果関係などとはいえないという話であった、という解釈。

これを読んで思ったのは、喫煙と発ガンの因果関係について、疑問を呈するにはフィッシャーの時代であっても、そこまで原理的な部分にまで後退しなければならなかったこと。

今、疫学だから、統計だから、などと、「喫煙と発ガン」の因果関係について疑問を呈する「知識人」の視野には、そこまで入っているとはとうてい思えず、せめて、この本くらい読んでおけよ、と思いました。

もっとも、この本を読んで、疫学の方法が分かる、ってわけでもないんですが……少なくとも、最初の時点では様々なつっこみがあったデータを、次第に洗練されたものし、様々なバイアスや交絡をコントロールして、因果関係を追い詰めていったことは書かれています。

もっとも、「喫煙と肺がん」の章の最後のフレーズ、「結局のところ、因果関係を証明するのはそんなにたやすいことではないのである」という部分だけを取り出して、「それみたことか」なんて言うかもしれない、困ったちゃんは想定できますね。
でも、喫煙とがんの因果関係をみとめないとしたら、結局、疫学は役立たずだということになって、アスベストだって、水俣病だって、もろもろの薬剤の効用だって、みんな分からなくなってしまうのですよ。

ぼくらが因果関係だと思っていることが、本当に因果関係なのか。
それこそ、テレビのスイッチを入れたら、テレビが映る、といったレベルことの因果関係を疑うような水準で、フィッシャーは、問題を捉えていたということ(と著者は解釈している)に留意、です。


スガシカオに癒されている場合か!

2006-12-14 08:10:29 | ソングライン、ぼくらの音楽のこと
PARADEPARADE
価格:¥ 3,059(税込)
発売日:2006-09-06
スガシカオは癒し系シンガーだ。ちょっと「偽悪」っぽいけれど、行き過ぎてもいない。少なくもと、ぼくなんぞの年齢に見合ったリアリティは、スキマスイッチよりも、こっちにある(当たり前。比べるのが悪いね)。というわけで、癒される。「共感」というのが、ことごとく癒しにつながるものである、という意味において。しかし、こんなんで癒されているはどうかと反省もする。