草の葉

高山村にある、緑に包まれたギャラリー

冬の言葉

2011-02-12 14:14:57 | 雑感




冬が又来て天と地とを清楚にする。
冬が洗いだすのは万物の木地。
      
天はやっぱり高く遠く
樹木は思いきって潔らかだ。
 
虫は生殖を終えて平気で死に、
霜がおりれば草が枯れる。

この世の少しばかりの擬勢とおめかしとを
冬はいきなり蹂躙する。
   
冬はこがらしの喇叭を吹いて宣言する、
人間手製の価値をすてよと。

君等のいじらしい誇をすてよ、
君等が唯君等たる仕事に猛進せよと。

冬が又来て天と地とを清楚にする。
冬が求めるのは万物の木地。

冬は鉄碪を打って又叫ぶ、
一生を棒にふって人生に関与せよと。

      _____高村光太郎「冬の言葉」___







      雪の上に落ちる雪は
      すぐに消えてしまうように思えるのだけど
      いつの間にか
      どっしりと積もっていて

      眺めているワタシの
      虚ろなはずの思いも
      いつの間にか
      ずっしりと重なって重なっていて

     「君は何を求めているのか」
      聞こえてくる冬の言葉に
      答えようにも声がでない

      いや、出るはずもない
      もとより何も考えていないのだから

      からっぽ
      からっぽ

      飽きもせず
      また、雪の落ちるのを眺めているだけ



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