庭は悲しんでいる
冷たく花々の中へ雨が降る。
夏はひそかに身震いする
己の終末を迎えて。
黄金色の葉がひとひらひとひら
高いニセアカシアの木からしたたり落ちる。
夏はいぶかしげに力なく微笑む
死んでゆく庭の夢の中で。
まだしばらくバラのところに
夏は立ち止まっているが 休息にあこがれている。
ゆっくりと夏は閉じる
大きな くたびれた目を。
____ヘルマン・ヘッセ『九月』____
今年の夏が
最後の力を振り絞っているかのようなこのところの天気。
各地での大雨や落雷、そして、竜巻。
背をピンと伸ばし、
「エッヘン」と誇らしげに天を向いていたススキの一群が、
強い雨に打たれ、一晩で頭を垂れてしまった。
庭の花木は、いよいよ実の季節。
ほんの数個しか実がならなかったブルーべリー。
熟すまで待って待って待って一粒口に入れたが、
酸っぱいのなんのって。
それでも、
袋も被せずほっといたブドウはまあまあだったから、
相殺?
昔から
いつも夏の終わりが嫌いだった。
サビシクテカナシクテ。
でも、
今年はそれほどでもない。
___いつまでも夏が続くわけにはいかない___
とはいえ、
朝日が昇るのが遅くなり、
日の暮れるのが早くなってきて・・・・
ヘッセが、
特に好きだったという夏と秋の間のこの数日。
枯れてゆく葡萄の葉が丸まってゆく様子や、
小さな黄金色の蜘蛛がふわりと木から下りて、太陽の光線を味わう様子や、
色あせたバラの花が散ったあとの枝の様子など
ヘッセのように、
ワタシもじっくり観察してみようか。
好きになるかもしれない。。