草の葉

高山村にある、緑に包まれたギャラリー

「雨の木」

2009-09-04 13:57:22 | 雑感
柳田邦男さんの『犠牲 サクリファイス』を読む。


内容が内容なので、ずっと読むのをためらっていた。
数日前、引き寄せられるように手に取ったものの、
読み終えるのに一日かかってしまった。

手先が冷たくなって、
ため息が出て、
動悸がし始め、
苦しくなって、
少し読むと、本を閉じてしまう。
再び開くことが、なかなかできず、
途中、何度やめようと思ったことか。



連なる重い言葉が、
重なって重なって、ワタシの中に沈んでいく。




    ::::




灰色の風景の中に、
「雨の木」が浮かび上がる。
そっと地面に手をあてる。
冷たく湿ったその奥から、
「憐れみ給え、わが神よ」
マタイ受難曲が突き上がる。


途切れることなく続く時の中の、
今在るキミに、
三好達治の、その言葉よ届け。
___たとへばかかる精舎の庭に
    前觸れもなくそれが汝の前に来て
    かかる時 ささやく言葉に信をおけ
    「静かな眼 平和な心 その外に何の寶が世にあらう」____