税理士 倉垣豊明 ブログ

東京武蔵野市(三鷹)の税理士 相続税、贈与税等資産税対策、法人・個人向け税務・会計・会社法のブログ

相続と登記

2009-10-04 06:00:00 | 税金一般
おはようございます。税理士の倉垣です。

相続と登記

1、同一不動産の被相続人と相続人からの取得者が異なる場合
被相続人が甲不動産をAに譲渡し、被相続人の唯一の相続人がその甲不動産をBに譲渡した場合。
甲不動産はAとBとどちらのものか。

相続による取得は売買などの特定承継と異なり、包括承継とされ、相続人は被相続人の財産上の地位をまとめて承継する。つまり被相続人と相続人は一体として考えて、同一人物からAとBに二重譲渡があった場合と同じように考えます。したがって、AとBの甲土地に対する優劣は登記の有無によって決せられます。

2、相続人が遺産分割と異なる持分を譲渡した場合
被相続人の共同相続人AとBは相続財産のうち甲土地についてはA単独で所有することと協議が成立した。ところが、Bは甲土地を自己単独所有の登記をしてそれをCに売却して移転登記をした。

判例は、相続人Aは甲土地の自己の法定相続分である2分の1は、Cに対して所有権を対抗することができる。しかし、甲土地の残りの2分の1については、AとCとのうち先に登記をしたほうの勝ちであるとしています。この残りの2分の1は、共同相続人のBが自己の持分をAとCに二重に譲渡したと同じように考えます。したがって、登記による対効力で優劣を決します。Aの持分である2分の1ははじめからAのものであり、登記に公信力がないため、Cのものとなる可能性はありません。

3、相続放棄者の譲渡
相続放棄者が被相続人の土地を自己名義にして他人に売却して移転登記をした場合はどうなるか。

相続放棄の結果、その放棄をした者は、その相続に関しては初めから相続人でなかったものとみなされます。したがって、被相続人の財産を取得することはできません。そのため、その相続放棄者は無権利者であり、その特定承継人も無権利者です。

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