久野康成公認会計士事務所/株式会社東京コンサルティングファーム(TCF)の 【国際化支援ブログ】

東京コンサルティンググループ(TCG)は、日本企業の収益改善・国際化をトータルサポート!!

起業家の本質

2006年10月15日 | 最新ビジネス書評

先週、九州に出張している間に、『起業家の本質』を読みました。

世の中の起業家が、共通した悩みを解決する方法を説いてくれています。

起業家しか読んではいけない本とされているのは、起業家が読まない限り、本質が理解できないからでしょう。実践している人しか、深くは共感できないと思います。

 

私が大変参考になったのは、次の2点です。

(1)起業家は、海賊になる時と農耕民族になる時が必要。しかし、多くの起業家は、ADD(多動症/またはADHD)という脳の構造が普通の人とは異なっており、海賊から抜け切れない。そして、破滅していくというものです。

私自身、おそらくADHDであり、自分のアイデアを事業化することに非常に喜びを感じています。新しいことを始めることが大好きです。なので、会計事務所を設立したにもかかわらず、派遣事業や紹介事業さらには、香港事務所・上海事務所を立ち上げ、来年10月には、インドのニューデリーにも事務所を開設する予定です。

また、グループ会社の株式会社人財開発の株式公開もマイルストーンとして目標設定しています。

どんどん新しいことを始めようとする人間は、まさに海賊タイプで、このようなことばかりしていると企業内が混乱し、結局、破滅するのです。

 

私自身に海賊の血がこれほど流れているとは知りませんでした。海賊から農耕民族に変わったときから、企業成長を始めるのです。そのためには、新しいことを始めるのではなく、既存事業のシェアアップに努める必要があります。

立ち上げることのみに喜びを感じるのではなく、軌道に乗せることを常に重視しなくてはいけません。そのための重要な指標が、利益率とシェアなのです。

私自身は、グループの経常利益率を30%と目標設定しています。これを超えたものは全てプロフィット・シェアリングしていきます。

いぜれにしても、どちらかに偏りすぎてはいけないのです。

 

(2)妻を会社からリタイアさせる時

私が会計事務所を作ったのは、1998年の7月です。当初、妻は、事務所の手伝いをするつもりがなかったのですが、私があまりにも朝早くから夜遅くまで働いている姿に見かねて仕事を手伝ってくれるようになりました。

妻は、元PWのTAX部門で働いていたので、税務実務は当然私より優れており、事務所設立後から、税務部門を一手に引き受けてくれました。

しかしながら、私と妻が一緒に働くことは、社員からすればボスが2名いるようなもの。いったい誰のいう事を聞けばよいか分からなくなってしまいます。

事務所が成長軌道に乗る1から2年は一緒に仕事をすることは非常に意義のあることでしたが、ある程度、成長すると私と彼女の意見衝突は、毎日のように起きました。

私は、事務所をさらに拡大して行きたかったのですが、彼女は、事務所を拡大する意義が見出せませんでした。社員を雇うほどに、彼女の業務量は増えて、育児に時間が取れなくなったのです。

特に問題が広がったのは、私が派遣事業を行って、大量の未経験者を雇い入れた時です。彼女からすれば、会計事務所が未経験者を雇うこと自体、異常なことなのです。

即戦力にならないような人間を雇うこと自体が、頭が狂っていると思ったことでしょう。

しかし、アクセルを緩めない私の経営スタイルをみて、彼女の怒りもピークに達しました。そして昨年の11月に事務所を去ったのです。

私は、彼女に頼りすぎていました。もう少し早く、専業主婦にすれば、良かったのかもしれません。昨年の11月時点で、私の娘は小学校の3年生でした。
非常に多感な時期で、母親の愛情に飢える時です。


唯一の救いは、彼女が事務所を辞める時期が遅すぎなかったことです。
今は、専業主婦として、今までの子育て時間を取り戻すかのように、子育てに専念しています。

 

彼女が事務所を去り、事務所の方向性に関しては、非常に安定しました。

また、家族も安定しだしたのです。
一時は離婚も真剣に考えましたが、今は非常に幸福な暮らしを取りもどすことが出来ました。

 

やはり、この本に書いてある『妻を家庭に戻す時期』とは、起業家にとって非常に重要なテーマです。

出来れば、最初から職場に入れないのがベストです。
しかし、起業家の唯一の味方は、会社を興した時は妻しかいないのです。

 

『生業』から『企業』に転換する時が、おそらく、その時なのでしょう。