連載１１０

熊五郎と１２名の仲間達

「さあ、本当に今日が最後の授業だ。今までありがとう。みんなの学年は小学一年生からずっと一緒だったから寂しい気もするけど高校に行っても頑張れな。二十歳過ぎたら酒飲もうな。それじゃ約束通り努力賞のトロフィー渡すからね。」
学習室では六年間継続した生徒には四十センチメートルほどのトロフィーを九年間継続した生徒には六十センチメートル以上ある名入れのトロフィーをプレゼントしている。全員六年生の時に小さなトロフィーを手にしている。今回は再び全員名入れの大きなトロフィーを手にする訳である。一人一人の名前を呼び上げながら
「お疲れさん。長い間ありがとう。」
と声をかけながら手渡すと生徒達は嬉しそうに箱を開けて自分の名の入ったトロフィーを眺めている。
「よし。今日はこれで終わります。前期試験に臨む人は吉報待ってるからね。」
生徒達は、いつもは
「さようなら。」
と言って部屋を去っていくがこの日だけは全員
「ありがとうございました。」
と言いながら部屋を出た。１８６