うどん 熊五郎のブログ

日替わりメニューの紹介や店での出来事など徒然なるままにつづりたいと思います。

連載111

2013年03月11日 | 学習室
熊五郎と12名の仲間達


二月に入ると続々と吉報が舞い込んできた。黒山、森下、藤野の三人が私立高校の学業特待で入学が決まった。残りの九名は公立高校を目指していた。さらに、前期入試で関口、猪野沢、深井が合格した。横井も前期入試に臨んだが思いは叶わなかった。残りの六名が後期入試に臨むことになった。残るは後期試験での一発勝負しかない。熊五郎は横井を呼んだ。
「横井君。辛いけど、俺を信じて後期試験に臨んでみるか」
「はい。先生の言うこと何でもします。」
それから再び熊五郎と横井の受験への挑戦が始まった。指導日は学習室で勉強した後、熊五郎の自宅で出された課題をする。指導日以外は午後七時までに自宅へ来て、前もって出された課題を済ませておく。横井との格闘が始まってからは、玄関を入って右側に向かえばテレビを見ながら酒をゆっくり飲める居間がある。しかし、帰宅すると左に向かい、横井のいる和室に直行しなければならない。終了するのは深夜二時から三時頃である。その時間に帰宅させる訳にはいかない。当然、自宅に泊まらせることになる。翌朝七時に起こされ、彼は自宅に戻り学生服に着替えて学校に向かう毎日が続いた。さらに、横井以外の後期受験組も毎週土曜日には二~三名程が熊五郎の自宅へ学習のため訪れる。開放されるのは土曜日の十時以降と日曜日だけ、熊五郎にとっても地獄である。夜食を用意する妻も大変である。カレーライス程度しか出せないのだが、米びつは加速度的に減っていく。そんな折、横井の母親が世話になっているお礼にと米を届けてくれた。後期入試に向けて頑張っている生徒達は緊張感はあっても緊迫感はない。熊五郎はそのことだけを心がけて指導に当たっていた。187
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« やはり・・・・・・・ | トップ | にわかガイド »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

学習室」カテゴリの最新記事