うどん 熊五郎のブログ

日替わりメニューの紹介や店での出来事など徒然なるままにつづりたいと思います。

連載112

2013年03月12日 | 学習室
熊五郎と12名の仲間達

受験生に余分な不安感を持たせないためである。生徒達も高校入試が三週間後に迫っている雰囲気が感じられない。いつも通り冗談を交えながらの授業であった。毎年、ほとんどの生徒が合格をするとその時点で学習室に来ることはない。ところが、十二名の仲間は、結果が出た二月になっても通ってきた。私立組は、高校側から出された課題に取り組んでいる。公立組は今までの復習をしている。後期入試組の生徒達に邪魔をしたり、雰囲気を乱すようなことをしない。いよいよ一週間後に後期入試が迫った。
「本当に今日が最後になったな。当日は頑張って悔いを残さないように。それから、解らないことがあればいつでも答えるから電話を下さい。俺がいる時ならいつでも教えるから。」
「先生。何で一週間前に塾終えるの。」
後期入試を控えた田島が言った。
「前日まで教えるのは可能だよ。だけど、入試は俺がするんじゃないだろう。一週間は、自分一人で頑張った方が結果が出たとき実感が湧くだろう。」
これが熊五郎の最後の授業の言葉となった。横井との格闘は相変わらず続いていた。彼は約一ヶ月耐え抜いたのである。そして、彼の指導も入試四日前に終了した。結果発表までの間の約二週間は熊五郎にとって針のむしろに座らされているようなものだ。運命の三月の第一週がやってきた。結果発表の日である。188
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