うどん 熊五郎のブログ

日替わりメニューの紹介や店での出来事など徒然なるままにつづりたいと思います。

連載113

2013年03月15日 | 学習室
熊五郎と12名の仲間達

最初の吉報は田島からだった。
「先生。受かった。受かりました。」
と弾んだ声が電話口の向こうから聞こえてきた。
「良かったな。おめでとう。学校に連絡したのか。」
「ううん。まだ、真っ先に先生に知らせようと思って、今、正門の横にある公衆電話から電話してるの。」
その言葉に、熊五郎は思わず胸を詰まらせた。
「ありがとう。良かったな。」
と言ったまま、目には涙が光っていた。真っ先に連絡をくれたことに胸がいっぱいになってしまったのだ。それを見ていた妻は、受話器を受け取り
「千夏ちゃん。本当におめでとう。早く、ご両親と学校に知らせるのよ。」
と言って受話器をおろした。それから、続々と吉報が届く。越智に続いて関、山上と続いた。さらに、入試前、涙を流して訴えた志多も重圧に耐え合格した。全員が学校に戻る途中の公衆電話や携帯電話からである。結局、横井ただ一人となった。当日、多少の失敗もあったらしい。熊五郎は半ば諦めていた。今まで三百名以上の卒業生で冒険組は数え切れないほどいた。しかし、本人の意思を尊重して、よほどのことがない限り、受験をバックアップしてきた。『志望校を換えた方がいい』と言った生徒は数えるほどである。『悔いの残らないようやってみたら』と送り込んだ生徒で結果が伴わなかった生徒は二人だけである。熊五郎の心は沈んでいた。しかし、二人であれだけ頑張ったのだから結果にとらわれないようにしようと心に決めた。189
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 新しもの好き? | トップ | ザルが増えています »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

学習室」カテゴリの最新記事