子どもの健康

子どもたちの健やかな成長を願って、子どもに関する小児科医の雑記

感染性胃腸炎

2006-12-03 19:45:11 | 病気
感染性胃腸炎(ウイルス性胃腸炎)が流行っています。
現在流行っている原因ウイルスはノロウイルスが多いのではないかと思います。ノロウイルスというとなんか特別な病気のように聞こえますが、いわゆる「おなかの風邪」のことです。牡蠣にあたったと言った時の原因も多くはノロウイルスが原因です。ノロウイルス以外にもロタウイルスやエンテロウイルスなども感染性胃腸炎(ウイルス性胃腸炎)の原因となります。
症状は吐き気で始まり、その後下痢や発熱などを伴う場合もありますが、人により症状の程度はさまざまです。感染性胃腸炎(ウイルス性胃腸炎)の原因ウイルスに対する治療薬はありません。感染性胃腸炎(ウイルス性胃腸炎)自体は自然の経過で治癒するのを待たなければなりません。多くの場合、嘔吐や吐き気は最初の半日から1日程度たつとその後次第に落ち着いてきます。子どもの場合、その間に脱水にならないよう乗り越えられれば後は時間の問題です。
薬は初期に吐き気止めを使用したり、下痢があれば整腸剤を処方したりしますが、水分などの補給ができていれば必ずしも薬は必要ありません。下痢止めは原則的に使用しません。
発症後初期には、水分と塩分の補給が最優先されます。母乳を飲んでいれば母乳でよいし、幼児用のイオン飲料などを利用するのもよいと思います。白湯やお茶であれば時々お味噌汁の上澄みやコンソメスープなどの塩分のあるものをあげてください。
なんにしても、最初は少量ずつ根気よくあたえることが重要です。飲むからといって一度に量が多すぎたり、あたえるペースが早すぎたりすると吐いてしまいます。ある程度水分を吐かずにとれるようであれば、糖分(炭水化物)の補給も始めなければなりません。ご飯やうどんなど少しずつ開始し、どうしても固形物がとれなければリンゴジュースなどもよいかもしれません。母乳やミルクを飲んでいるのであれば母乳やミルクでかまいません。下痢が始まると、飲んだり食べたりすると下痢ですぐ出てしまうと心配されるかたも多いですが、飲んだり食べたりすることで下痢がひどくなっている訳ではなく、腸に貯まっていていずれ出てくるものが飲んだり食べたりの刺激がきっかけで出てくるだけなので、下痢になるからといって飲んだり食べたりすることを控える必要はありません(控えることで逆に回復を遅らせてしまいます)。
吐き気がある程度落ち着いてきたら、食べる物は脂肪の多い物や冷たいもの・刺激物などを除けば極端な制限は必要ありません。
お母さんお父さんたちに頑張ってもらえればお家でなんとかなる場合が多いと思います。ただし、水分の補給が十分にできないような場合には病院で点滴が必要になることもあるし、脱水にいたっていなくても初期に点滴をを行うことである程度初期の症状を軽減できる場合があります。
また、感染性胃腸炎(ウイルス性胃腸炎)はその名のとおり感染するため、家族内などでの感染も多く注意が必要です。発症した人の触った場所(ドアの取っ手や水道の蛇口など)にはウイルスがついている可能性があり、そのような場所を触った手を洗わず手を口に持って行ったり食事をすることで感染する可能性があります。おむつを換えた後の手も注意が必要です。手洗いをこまめに行う事、タオルなどを別にするなどの注意である程度家族内での感染は予防出来ます。

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