子どもの健康

子どもたちの健やかな成長を願って、子どもに関する小児科医の雑記

夏風邪と溶連菌感染症

2007-07-11 16:56:21 | 雑記
熱を出して病院に受診する子が増えてきました。

6月から7月にかけては、いわゆる「夏風邪」が多い時期なのと、「夏風邪」に混じって「溶連菌感染症」が多いためかと思っています。

「夏風邪」は、アデノウイルスやエンテロウイルスといったウイルス感染によって引き起こされるもので、発熱を主症状とするものが多いのですが、その他に下痢などの消化器症状や発疹など多彩な症状を呈する可能性があり、重篤な合併症としては髄膜炎・脳炎・肺炎などを認めることもあります。

特徴的な症状が見られるものとして「プール熱」「手足口病」「ヘルパンギーナ」などが「夏風邪」の中に含められます。

多くの場合は数日の経過で自然に治癒する感染症で、抗生剤を含め原因に対して効果のある薬はないので、水分や栄養の補給に心掛け回復するまでゆっくり休養することが大切です。

一方「溶連菌感染症」は、「夏風邪」とは逆にしっかり抗生剤を内服して治療する必要があります。

典型的な症状があれば、「溶連菌感染症」は診察だけで診断できることが多いのですが、必ずしも診察した時点で典型的な症状がみられる訳ではなく、「夏風邪」と区別が困難な場合も少なくありません。
「夏風邪」と診断して抗生剤を処方せず経過観察とした子が翌日発疹がでたと再診し「溶連菌感染症」だったこともあります。
「溶連菌感染症」には外来で数分で結果のでる迅速検査があるので、「夏風邪」と「溶連菌感染症」を区別するために検査をすることがどうしても多くなってしまいます。

どんな病気でも診察した時の診断は100%ということはあり得ないので、その後の経過で何か変わったことや心配なことがあれば、必ず再診するなどそのままにしないようにして下さい。
病気の治療は、患者さんと医療の間の信頼関係があって始めて成り立つ共同作業のようなものだと思います。