これが、200枚の刷りにも耐えて、まだ使える紙版画の版です。
昨日の、No.816年賀状のニワトリです。赤と黄色の二版二色ですね。
紙というと、そんなに強くはないイメージですが、とんでもありません。結構強いのです。
といっても、西洋紙はいけません。西洋の紙で作ると10枚も刷れば傷んできます。剥げたり、ちぎれたり、インクをつけるとボロボロになったり…。
どうしてかというと、紙の原料の繊維が短いので弱いのです。
それに比べれば、日本の紙つまり和紙は、原料の長い繊維が絡みあっているので、とても丈夫。
西洋文化、歴史の重要な紙の遺産、文献は今、かなりボロボロになっています。その修復をしているのが、日本の紙と裏打ちの技術です。古い聖書等を和紙を使って裏打ちして保存するということが、世界の各地で行われているのです。
そうです。これは日本の紙で版を作ったものです。といっても、あまり薄いと版には使いづらいので、厚くて硬めの和紙を使います。
名前は、鳥の子といいます。ちょうどニワトリの卵の様な色をしているので、そういう名前なのです。
この鳥の子、あの有名な印伝の模様の型紙として使われているです。
伊勢型紙といいます。
伊勢型紙は、鳥の子に柿渋を塗り重ねて、強さと耐水性をつけてから、小さな・を打ち抜いて模様を作ってものです。
印伝は、鹿の革に漆の紋様を付けた伝統工芸品です。財布とか印鑑入れとか、小さな・で盛り上がった美しい紋様を描いています。
これが型紙によってできた紋様、つまり実は紙版画なのです。
正確にいえば、革に刷った孔版画ということです。
つまり、穴の空いている所にインクが入るステンシルの技法です。
僕の場合は、ステンシルではなくて、凸版として、鳥の子を使ったというわけです。
この鳥の子は、卒業証書の書き損じを取っておいたものです。
(一部分印刷の字が見えますね。)
しかも、二枚重ねです。
まだまだ刷れると思いますが…。