海山の創作ノート

工房T 海山の書、印、絵、版画、工作、etc.日々の暮らしの中で出来た作品を紹介します。 さて、今日は何を作るかな。

No.819 2017.2カレンダー

2017-01-24 | 版画


No.818の治具に、カレンダー用の数字を刷ったのがこれです。



そして、ハガキ立てで飾った状態。

ご覧の通り、2017 2月の部分と曜日、そして日曜日の数字の○は手書きです。

なにしろ、あわてて刻したものですから、かなりいい加減で下手くそな版画です。間隔も不均等。それもそのはず、定規も、鏡もカーボン紙も使わずに、フリーハンドで逆さ数字を書いて、いきなり刻しましたから。

でも、これくらいが、いかにも手作り版画らしくて、ちょうどいいと思います。

味がある、という良い言い方がありますね。

正に、そんな感じです。

初めてのMDF版ですから、まあ、こんなもんでしょう。

でも、ちゃんと、改良点や注意することがわかったので、良しとします。

大切なのは、まず一歩を踏み出すことなのです。

お陰で、治具もできましたから、これから、この治具を使って刷っていこうと思います。

次は違うのを。


No.818 木版治具 はがき用

2017-01-22 | 版画


これは何?
治具って?

というところでしょうね。

こんなものは、あってもなくても関係ない人がほとんどですが…。

ものを作っていっていると、目標のものを作るために必要なものを作る、つまり、作るための道具を作るということをしなければならない時があります。売ってなかったり、自分に合うものがなかったり、…。

僕の場合は、たいてい買えないから自分で作るのですが、この場合はこんなのは売っていませんから。

そういうのを、治具といいます。

実は、木版の版にするのに、良い材料はないものかと探していたのですが、100均で、MDF材というのをみつけたので、早速試しに刻してみたのです。

MDF材というのは、雑木の繊維を固めたものです。購入したのは、100×100×6㎜。つまり、正方形の薄い板です。

これならば、柔らかくて簡単に刻せるかな、と一気に彫り進めたのですが…。

久しぶりの木版。

そして、あわてたので、大切な「見当」をつけるのを忘れたのです。

「見当」は、木版の基本です。一番先にやらなくてはならないことなのです。これがなくては、うまく刷ることができません。

見当がつかないのです。刷る場所が定まりません

正に、このことから、「見当をつける」という言葉ができたのですが…。

買ったMDF材がちょうどハガキの短い辺の長さにピッタリだったもので、つい角に合わせればいいか、と思ってしまったのです。

失敗でした。

やはり、「見当」がいるのです。

そこで、こんなのを、作ってみたわけです。

これが、この版をハガキ大の紙に刷る時の道具、
つまり、木版ハガキ大用治具です。

写真の➡の所に、「カギ見当」、見えにくいですが、右側に「引き付け見当」をつけました。

「見当」の所は、刷る紙が引っ掛かるように、浅く凹を作ってあるのです。

刷る位置も二通り。ハガキ大の紙の下の方、と中央にくるような、二つずつの見当です。

これで、正確に刷れます。

また、怪我の巧妙ですが、同じ大きさの材が6枚セットでしたので、版を換えて刷ることもできます。

でも、勝負はこれからです。

良い版を刻さなければ、意味がありませんからね。

写真では、とりあえず、あわてて刻した「カレンダー用数字」を置いてみました。

それで、どうなったって?

それは、また明日。


No.817 紙版画 版

2017-01-22 | 版画


これが、200枚の刷りにも耐えて、まだ使える紙版画の版です。
昨日の、No.816年賀状のニワトリです。赤と黄色の二版二色ですね。

紙というと、そんなに強くはないイメージですが、とんでもありません。結構強いのです。

といっても、西洋紙はいけません。西洋の紙で作ると10枚も刷れば傷んできます。剥げたり、ちぎれたり、インクをつけるとボロボロになったり…。

どうしてかというと、紙の原料の繊維が短いので弱いのです。

それに比べれば、日本の紙つまり和紙は、原料の長い繊維が絡みあっているので、とても丈夫。

西洋文化、歴史の重要な紙の遺産、文献は今、かなりボロボロになっています。その修復をしているのが、日本の紙と裏打ちの技術です。古い聖書等を和紙を使って裏打ちして保存するということが、世界の各地で行われているのです。

そうです。これは日本の紙で版を作ったものです。といっても、あまり薄いと版には使いづらいので、厚くて硬めの和紙を使います。

名前は、鳥の子といいます。ちょうどニワトリの卵の様な色をしているので、そういう名前なのです。

この鳥の子、あの有名な印伝の模様の型紙として使われているです。

伊勢型紙といいます。

伊勢型紙は、鳥の子に柿渋を塗り重ねて、強さと耐水性をつけてから、小さな・を打ち抜いて模様を作ってものです。

印伝は、鹿の革に漆の紋様を付けた伝統工芸品です。財布とか印鑑入れとか、小さな・で盛り上がった美しい紋様を描いています。

これが型紙によってできた紋様、つまり実は紙版画なのです。

正確にいえば、革に刷った孔版画ということです。

つまり、穴の空いている所にインクが入るステンシルの技法です。

僕の場合は、ステンシルではなくて、凸版として、鳥の子を使ったというわけです。

この鳥の子は、卒業証書の書き損じを取っておいたものです。
(一部分印刷の字が見えますね。)
しかも、二枚重ねです。

まだまだ刷れると思いますが…。



No.816 2017年賀状

2017-01-21 | 版画


これまた、遅ればせながら、酉年の年賀状として作成した版画。

題は「ニワトリだって飛ぶ!」です。

新年にあたり、普段は飛ばない鳥も、思いきって飛んでみようか!という思いをこめています。

で、かなり派手な色使いになりました。

最近は、ひたすら紙版画ですが、紙の版でも年賀状約200を一枚の版で刷ることができました。ちょっと驚きです。(もっとも、ちゃんと長持ちするような工夫はしていますが)

(ハガキ大・二版二色)