デジカメぶらりぶらり

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2013-07-12 07:46:47 | Weblog
源氏蛍と平家蛍は、武士たちの亡霊。だから年に一度、宇治川で大合戦をする。そんな光景を随筆『蛍』に綴ったのは、小泉八雲だ。

蛍合戦が済むと、宇治川は、漂い流れる蛍のなおきらきらと輝くむくろにおおわれて、さながら銀河のように見える>と、八雲は光が滴るような筆で幻想の美を描きつつ、進化論の時代の知識人らしく、こうも記した。

<蛍の真のロマンスのありかは、日本の民間伝承の妖しい野辺でもなければ、日本の詩歌の古雅な庭園でもなく、科学の大海原こそがその場>であると(『日本の名随筆 虫』作品社)。蛍はなぜ光るのか。

発行生物の「大海原」を探索する名古屋大学の大場裕一さんによれば、蛍は卵も幼虫もサナギも光るが、卵と成虫では発光の仕組みが違うという。卵やサナギはボーッと光り「食べるとひどい目に遭うぞ」と警告し、成虫は点滅信号で「愛し合おう」と伝えるらしい。

光る意味は違えども「光の源となる物質は、脂肪を燃やす酸素からそれぞれ進化したようだ」と大場さんは話す。「脂を燃やす酸素のたった一つのアミノ酸を変えただけで、光る酵素になるのです」。

進化の神秘を八雲はこう見た。<生命を有する物質のどんな単位にも無限の力が潜み眠っている・・・今は消滅した幾億万の宇宙の無限にして不滅の経験が宿っている>。蛍の銀河を見てみたいものだ。