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エジプト

2013-07-10 07:08:00 | Weblog
エジプトにあって、軍は単なる軍隊ではないらしい。軍需産業をはじめ、建設業や食品加工業などあらゆる分野の企業を経営している。

『現代エジプトを知るための60章』(明石書店)によれば、軍こそはエジプト最大の企業体であり、国内総生産(GDP)にしめる割合は、10%から15%といわれる。30%という説まであるという。

各省庁や国営企業にも退役軍人を送り込んでいるというから、まさしく軍は国家なり。今回のクーデターも「政治家がうまくできないのなら、当然ながら俺たちの出番」といった感覚なのかもしれない。

だが、権限を剥奪されたモルシ大統領を擁するムスリム同胞団も、強く広い根を持つ。医療の無料奉仕など貧者救済はもちろん、中古車販売やスポーツクラブ経営にまで手を出しているという。

何より、軍をはじめとする既得権益の綱からこぼれ落ちた人々に手を差し伸べてきたからこそ、庶民の幅広い支持を集めている。単なるイスラム原理主義組織という色眼鏡で見ていては、その実現は見えてこないだろう。

エジプト軍を支える柱の一つは、米国がイスラエルとの友好を条件に払い続けてきた年1千億円規模という軍事援助だ。国民の4割が貧困層で、字が読めぬ人も4割いるというエジプトに、本当の春が訪れるには何が必要か。

これ以上、血が流れぬことを祈りつつ、考えてみる。