デジカメぶらりぶらり

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納豆

2010-09-14 07:24:13 | Weblog
富田勝郎金大附属病院長の文書に出会って、ちょっと涙ぐんでしまった。失礼ながら、地方の秀才が著名医師になる一代記かと思って読み始めたがとんでもない。

南砺市(旧福光町)の納豆屋に生まれ、納豆を売るため知恵を絞り、母の背中に人生と商売のコツを学んだ少年の姿があった。

圧巻は売れ残った納豆の場面である。夜のおかずは売れ残りの納豆と決まっていた。が、完売した日はおかずがなく、水槽に漂う納豆の切れ端をすくって食べた。

それが惨めでなく、完売のうれしさで家族皆が笑顔だったというのだ。「ならぬ堪忍するが堪忍」。我慢の限界を超えて我慢するのが本当の我慢だと若くして夫を亡くした母から学んだ。

小さな田舎町の納豆屋の一場面から、戦後を必死に生きた日本が生き生きとひろがる、貧しい中にも品格のある戦前から終戦直後にかけてその人の姿がにじんで見えた。

その後の猛勉強ぶりは今の学生たちに熟読してほしい。「医学は理系でも文系でもない。人間系だ」とは、まさに至言である。