手技療法の寺子屋

手技療法の体系化を夢みる、くつぬぎ手技治療院院長のブログ

器用な人と不器用な人 その1

2009-10-03 20:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
ASTRなどのテクニックを練習していると、あっという間に身につける人もいれば、なかなか覚えることができない人もいます。


器用な人と不器用な人ですね。


人にはいろいろな個性があるので、これは仕方のないことです







不器用な人へ。


まわりの人がドンドンできるようになっていくと、焦ってしまうかもしれません


でも、大丈夫ですよ







何を隠そう、私も大の不器用です


私がこの道に進むと決めた時、親からも「お前みたいな不器用なのが、そんな仕事についたらケガ人がでるワィ」と言われました。


ようやく資格を取った後も、しばらく身体を診させてもらえないほど、手先については全く信用されていませんでした。







実の親からもらったお墨付きのとおり、身につけるまでには、やはり手間ひまかかりました


一緒に学んだ仲間からは「手と足がバラバラに動いている」と笑われたこともありました。


働き始めて駆け出しのころ、あまりの下手さ?のためか、施術していた患者さんに「ちょっとアンタ寝てみなさい」と突然言われ、うつ伏せにさせられ「こうするのよ!!」と背中を押されたこともありました。


新人として現場に出たら、まわりからいろいろ言われるものですが、実際に患者さんからマッサージされた人というのは珍しいのではないでしょうか。


悔しくて悔しくて、電車に乗っているときまで自分の身体を使って練習をしていたら、変質者にみられてしまいました


今となっては良い思い出…というか、今でも似たようなことが続いているところもあるのですが…。







ちなみに、家族からは今でも仕事以外のことは信用されていません。


例えば、車のタイヤ交換は禁止令がでています


脱輪しそうで安心して乗れないからだそうです


そんなこんなはあっても、おかげさまで無事に独立して、ごはんを食べていけるようになりました







このように不器用な人は、技術を身につけるまでは大変な思いをしなければなりませんが、一度覚えてしまえば強いですよ


そのひとつは「スランプに強い」ということが挙げられるでしょう。


技術は人が行うものである以上、どうしても波があります


上達すればその波は小さくなって安定するのですが、全くなくなることはなく、それが大きく落ち込んだときはスランプになります。


不器用な人は習得する過程で、ひとつひとつの技術を、地道に地道に積み重ねて覚えてきている (というよりもそうせざるをえない) ので、いざスランプになっても、どこがおかしいかを自分で見つけやすいのです。


私がセミナーで、受講生の方に上手くアドバイスできていたとしたら、それは私自身がすでに経験済みだからです







それに、不器用な人は言ってしまえばスランプみたいなものがはじめから続くわけですから、メンタル面も鍛えられているわけですね。


というわけで、身につけてからスランプになったとしても立ち直りが早いです


もしかしたらスランプに陥ったことすら、気づいていないことがあるかもしれません。







そんなわけですから、いかにして身につけるまでを乗り越えていくかがカギになります







どれだけ粘り強く続けられるかが勝負です。


それには、「何としても身につけたい!!」と思えるかが絶対条件になります。


私の場合は、手技療法に対して情熱を傾けることができましたが、同じことを経理やITの分野でできるかというと、そうはいきません。


やはり「コレダッ!!」という分野でなければ、粘り強さは発揮できないと思います。


その思いさえあれば見込みは十分にあります。







ただそうは言っても道の途中でつまづき、心が折れそうになることもあるはずです


そんなとき、自分自身に対して行って欲しい問いかけがあります。







(次回につづく)



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5 コメント

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苦手です (ぶきっちょ)
2010-07-05 19:06:13
触診を探していてここにたどりつきました。
ものすごい不器用で、このブログで先生が書かれていたように夢中になる→力が入ってしまうという悪循環に陥ってしまっています。そのため時間をかけようとする割には効率がまったく上がらない状態です。
何よりも興味を持って学んでいるのにくじけそうになってしまいそうです。
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ぶきっちょさんへ (くつぬぎより)
2010-07-05 22:21:21
コメント、ありがとうございます。

触診でお悩みの方は多いので、ぶきっちょさんへのご回答を記事にしたいと思っています。

そこでよろしければ、ぶきっちょさんのお話、何がわかって何がわからないかなど、思いつかれたままで結構ですので、コメントいただいてもよろしいでしょうか。

触診で苦労している仲間はたくさんいます。
私もその一人です。
ですから、ぶきっちょさん、決して孤独ではありませんよ。

コメントお待ちしています。
返信する
苦手なところ (ぶきっちょ)
2010-07-11 22:56:31
コメントをしていただいたのに返信が遅くなり申し訳ありません。

何がわかって何がわからないかですが自分ではこのように4種類にわかれています。
1)そこにあると解剖学の本等でもわ
  かっているが触診できない時がある
 (横突起等)
2)そこにあるとわかっていて感じるこ
  とができるが、正確に全体を追跡で
  きているかどうかわからない、もし
  くはできない
3)触診できるが、本当に触診しようと
  しているものかわからない
4)全く位置や種類がわからない、感じ
  取れないです。
日によっても昨日わかったことが全くわからなくなったりもします。
細かいことを除いていったん分けてみました。

まだ勉強を始めたばかりですが、診察も治療も触診ができなければ意味がないと思ってるだけに焦りが生じています。
(触診パートナーがいないのもあせりの原因なのですが)
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ぶきっちょさんへ (くつぬぎ)
2010-07-13 23:30:50
コメントありがとうございました。

お気持ち、私も経験がありますのでよくわかります。

記事につきましては、私もコメントいただいた内容について、ゆっくり考えたいので、しばらくお待ちいただけるでしょうか。

来週から始まる、新しいシリーズの次にアップしたいと思います。

クイックレスポンスではなくて、申し訳ありません。

ただひとつだけ、今お伝えしたいことがあります。

それは、『診察も治療も触診ができなければ意味がないと思ってるだけに焦りが生じています。』ということについて。

ぶきっちょさんのおっしゃるとおり、触診は診察にも治療にも重要ですが、身体のあらゆる部位を完璧に触診ができるようになって現場に出る人はいません。

建て前としては、学生や研修中の間にできるようになっておかなければならないということになりますが、現実としてはあるていど身につけた上で現場に出て、試行錯誤しながら上達していきます。

「経営者として完全になってから、経営をする人はいない」「親として完全になってから、親になる人はいない」ということと同じだと思います。


その問題意識は、ぜひ大切にしていただきたいのですが、まずは、わかるところから処理してくようになさり、決して焦らないでほしいというのが私の願いです。

(1)~(4)の問題を認識できるということは、決してぶきっちょさんは焦らなければならないようなレベルではありません。

わからない部分(知的理解)と同様に、わかる部分(感覚的理解)も大切になさってください。

わかる部分の治療ができるようになれば、わからない部分がよりはっきりして、やがてわかるようになってきます。

ご自分の感覚を、どうぞ大切になさってください。

このブログ内にも触診に関する記事がいくつかあり、ひとりでも練習できる方法を紹介していますので、ご参考になさってください。きっとお役にたてると思います。

体性機能障害の評価の流れ5
http://blog.goo.ne.jp/kmmoblog/e/cfedeabe28ad6a5e740f57dae4bdc8aa
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ありがとうございました (ぶきっちょ)
2010-08-01 20:27:10
間が空いてしまい申し訳ありません。
「触診」と「検査での判断」が大事ということで100%できなければと思いあせっていました。教えていただいた練習方法と見てみます。また、次のシリーズを楽しみにしています。
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