手技療法の寺子屋

手技療法の体系化を夢みる、くつぬぎ手技治療院院長のブログ

ひとりでできる!!仙腸関節の可動性検査 その2

2011-11-19 20:00:00 | 学生さん・研修中の方のために
≪前回のつづき≫

PSISの位置が確認できれば、PSISと仙骨を指でまたぐようにコンタクトします。


ちょうどこのように。




「これでは仙腸関節がみえないからよくわからないよ」という方のために、指をずらすとこのようなかたちになります。




だいたい指先が仙骨に、中節骨あたりがPSISに来るようにするとよいでしょう。


はじめの練習は仰臥位で行います。


仰臥位で骨盤の下に手を入れておくことによって、体重によって仙腸関節にコンタクトできるからです。


さて、これで準備が整いました。





まずは腸骨が、左右に開いたり閉じたりする動きから感じ取るようにしましょう。


検査する側の膝を立てて、そのまま膝を外に倒します。






すると、扇状に広がる腸骨翼(翼=フレア)は外(アウト)に開きます(アウトフレア)≪赤矢印≫。



このとき、コンタクトしているPSISは腸骨翼とは反対の内側(Internal、略して「In」)に入る動きをします≪黄矢印≫。


指先に触れている仙骨は動かないで、PSISだけが内側に入るような動きになっているか注意して感じとりましょう。 


動きはほんの少し、わずか数ミリです。







動かすスピードは、早く動かした方がわかりやすい人もいるでしょうし、遅いほうがわかるという方もいらっしゃるでしょう


いろいろな速さで動かしてみて、自分がいちばん感じ取りやすいスピードで動かしましょう。




つづいて、開いた膝を元に戻して内側に倒します。




腸骨翼が内(イン)に閉じて来るように動き(インフレア)≪赤矢印≫、コンタクトしているPSISは腸骨翼とは反対の外側(External、略して「Ex」)に動きます≪黄矢印≫。


(なかなか思ったように動いてくれないので、ムリやり手で動かしました)


何度も繰り返して、PSISが外に行ったり内に入ったりする動きをよく感じましょう。





一方の側を終えたら、反対側も同様に検査をしましょう。


動きを比較していかがでしょう?


左右差がみられたでしょうか?


慣れてきたら、動きの幅やスムーズさも感じ取るようにしましょう。


この感覚をつかむことが、評価と治療で生きてきます。





ちなみに、膝を外に倒して腸骨翼を開く検査を、アウトフレア検査と呼びます。


またはPSISを内側に動かすことになるので、In(アイエヌ)検査とも呼びます。


アウトフレア検査はオステオパシーで、In検査はカイロプラクティックで主に用いられますが、指標としている部位が異なるだけで同じ動きです。


続いて行った膝を内側に倒して腸骨翼を閉じる検査を、インフレア検査と呼びます。


これはPSISを外側に動かすことになるので、Ex(イーエックス)検査とも呼びます。





ここからがチョットややこしいのですが、アフトフレア検査(=In検査)をして、コンタクトしているPSISが内側に入る動きが感じられない場合、それは腸骨がインフレア(Ex)しているためにアウトフレア(In)しにくくなっているのだと判断して、これをインフレア腸骨(=Ex腸骨)と表現します。


反対にインフレア検査(=Ex検査)をして、コンタクトしているPSISが外側に動く感じがしない場合、それは腸骨がアフトフレア(In)してインフレア(Ex)しにくくなっているのだと判断して、これをアウトフレア腸骨(=In腸骨)と表現します。


動かない方向(例:アウトフレアしない)である制限と、骨の異常な位置(例:インフレアしている)というのは反対の意味になるわけですね。


くわしくは「関節機能障害の表記について」シリーズで復習しておてくださいね。


次回は、腸骨の前方と後方への回旋検査の練習です。



☆ブログの目次(PDF)を作りました 2014.01.03☆)
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