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「中国はグアダル開発をやめろ」。BLAがヴィデオで警告 BLAは豪華ホテル襲撃、カラチ中国領事館自爆テロの武装集団(宮崎正弘国際ニュース早読み)

2019-05-13 | 中国の歴史・中国情勢
中国主導のCPEC(中国パキスタン経済回廊)は随所で工事が頓挫している。

プロジェクトの総額は620億ドル。中国はイランとの国境に近いグアダル港を近代化し、将来は潜水艦も空母も寄港できる軍港の使用を狙っている。付近には工業団地、大学、新興住宅地、病院などを建設し、一大都市にすると豪語してきた。

グアダルを起点に新彊ウィグル自治区のカシェガルまで(1)鉄道(2)ハイウェイ(3)光ファイバー網。そして(4)原油パイプライン(5)ガスパイプラインを敷設し、その建設のための鉄鋼からクレーン、ブルドーザ、建設機械、材料から労働者まで中国から連れてきた。現場のバロチスタンには、なんの裨益もなかった。

パキスタンのバロチスタン州は、もともと独立国家である。国王は英国の亡命したままである。英国が植民地時代に勝手に線を引いてパキスタン領としたため、紛争が絶えないのだが、近年は中国を「侵略者」とみて、これまでにも中国人誘拐、殺人、現場襲撃、カラチにある中国領事館へも自爆テロを仕掛けた。

そして、こんどは中国人が宿泊する豪華ホテルの襲撃となった。グアダルには「パールコンチネンタル」という五つ星ホテルが開業しているが、宿泊客の大半が中国人。二回に亘る襲撃で、四名が死亡した。

グアダル港の中国人労働者の居住区は高い塀で囲われ、しかも工事現場を含めて、警備をパキスタン軍が担うという矛盾がある。直近でもこのパキスタン警備兵が襲撃され、26名が殺害される事件も起きた。

「グアダル港開発プロジェクトはバロチスタン国民にとって、弊害こそあれ、一銭の利益にもならない。バロチスタン国民は経済的に裨益するどころか、困窮し、大事な資源が中国とパキスタン政府にむしり取られているではないか」というのがBLA(バロチスタン解放軍)の主張であり、「中国よ、プロジェクトをやめろ」とヴィデオ・メッセージで警告した。

▲パキスタンはデフォルトを免れるのか?

一方、パキスタン政府はCPECによる負債の膨張に頭を悩まし、中国に緊急援助を乞うた。ところが面会した李克強首相は、「パキスタンとの友好関係は変わらない。両国関係は全天候型だ」などとわけの分からないことを発言したのみ。

いよいよ、デフォルト直前になったため、イムラン・カーン首相は急遽、サウジアラビアとUAE(アラブ首長国連邦)に飛んで救済を求めた。サウジアラビアならびにUAE諸国は、緊急に200億ドル前後のドルを送金し、当座の危機は救われた。

先月末からイスラマバードを訪問していたIMF調査団はパキスタン財務省幹部等との会合を重ね、救済策の協議をしていた。パキスタンがもし、IMF管理下になると、プロジェクトは全面的な見直しを迫られ、政府予算にも介入される。また債権国には80%の債権放棄が迫られることになる。

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