東アジア歴史文化研究会

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世界の異常気象、今度は厳冬。各地で停電、石炭不足、液化天然ガス暴騰 EV(電気自動車)が次世代の主流になるというのは幻影ではないのか(宮崎正弘国際情勢解題)

2021-01-17 | 国際情勢

メディアが喧伝するようにEV(電気自動車)が主流になると仮定して、そのとき、電力消費は現在の二倍になると推量されている。EV時代の最大のアキレス腱だ。

発電は水力、火力の他、ソフトエネルギーとして風力、太陽光、洋上発電などがあるが、主力は原発だった。日本では後者が停まって、電力供給は麻痺状態に陥った。電力会社の必死の努力によって大規模な停電は北海道いがいでは起きていないが、豪雪と厳冬の襲来によって停電の危機が忍び寄ってきた。

第一に石炭。これは中国を現在、直撃している。

世界の石炭消費は77億トンで、中国がこの内の48%、日本は僅かに2%である。そもそも日本には炭鉱がなくなった。日本の石炭輸入は豪(64%)、インドネシアから20%である。

中国は豪からの石炭輸入を制限し始め、貿易摩擦の報復だと言って、現実に2020年10月から12月はゼロだった。ところが、中国の火力発電の過半が石炭である。

中国を襲った石炭不足はオーストラリアとの関係悪化である。鉄鉱石、石炭を豪に依存する中国は、外交的に傲慢な態度を示し、従わない豪から石炭輸入を止めたのだ。ワインには230%の関税を掛けるなどの嫌がらせを続けた。

自業自得である。

第二に液化天然ガス(LNG)。これはアジア諸国で争奪戦が演じられ、価格が三倍、タンカーの運賃が50%の暴騰となった。つまり(1)の石炭不足によって中国が液化天然ガスに本格参入してきたため悪影響がでたということだ。日本は火力発電の大半を液化天然ガスに依存している。

液化天然ガスのスポット価格は10ドルから30ドルに暴騰した。日本は世界の液化天然ガスの20%を輸入している。

第三は太陽光、風力発電の供給が不安定であり、しかもコストパフォーマンスが悪いという結論が出ている。

結論は見えている。原発再稼働しか道はないのだ。  


▲猛暑から猛烈な寒波

2020年の夏は猛暑だった。日本でも十月まで30度を超える猛暑が続き、クーラーが飛ぶような売れ行きだった。

一転して冬は凍るような寒さ、各地に大雪。日本ばかりか、この厳冬が中国を大きく揺らしている。

コロナ災禍で、あまりメディアが報じなかった問題は中国の停電である。過去十年間で最悪の停電が浙江省、湖南省、江西省、陝西省、内蒙古自治区、広東省で続いており、中国なりの「計画停電」を実施しているのだ。

厳冬は暖房需要を増やし、産業的には生産現場で電力供給は夜間使用に切り替えられる。電気がなければ鉄道も地下鉄もモノレールも動かない。

そのうえ中国では発電所設備の老朽化、故障、メインテナンス要員の不足などで火力発電そのものが停まった地域もあり、工場の煙はのぼらず、生産が激減した。とくに中国の輸出基地である広東省の東莞、深セン、珠海で生産減が顕著だった。

かくしてEVの欠点が明らかとなった。

北日本から北陸を襲った大雪、豪雪により、高速道路が寸断された。数千台のトラックが動かず物量が中断するという新しい危機に直撃された。EVが各所で燃料切れを起こし、その限界が露呈した。電池技術が未完成のレベルになり、充電スタンドが圧倒的に不足しているという現実は、おそらくガソリン車全廃となっても、ハイブリッド車の優位が続くだろう。

EVは電気がないと使い物にならない。電力の安定供給は既存の水力、火力に風力、太陽光、地熱をくわえても不足するのは火を見るよりも明らかだろう。 

ところが、アップルも、鵬海もEV(電気自動車)製造に乗り出すという。第二のテスラの幻影に取り憑かれたのだろう。 

それでも日本政府が「2050 脱炭素」を宣言しているために、カーボンゼロを標榜しての産業界の流れが止まらない。火力発電は石炭の他に重油を燃やす発電所もあり、日本の電気はこれらに支えられている。福島原発事故によって日本中の原発発電がとまった。

「脱炭素は原発を活用するしかない」と中西宏明経団連会長は明言している。

「人類の智恵である原発をうまく活用しないとまずいという、サステイナブルキャピタリズムの機軸になるとしているが、まさに原発の再稼働がない限り、経済の発展は困難ではないのか。


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