東アジア歴史文化研究会

日本人の素晴らしい伝統と文化を再発見しよう
歴史の書き換えはすでに始まっている

コロナ禍以後、産業の地殻変動が続くが、日本は再生できるのか 「需要が減ったのではない、変質しているのだ」(宮崎正弘国際情勢解題)

2021-01-28 | 日本の政治・経済

コロナがもたらしたのはロックダウン、巣ごもり、飲食店やインバウンド業界の大量失業だった。一方で、テレワークの大流行はズームや関連家電の大量消費がおこり、ズームの利益増は90倍。外食に代わって出前(ウーバー)、そして巣ごもりの娯楽は映画となりネットフリックスの会員は二億人を突破した。

在宅勤務はビジネススーツ需要を減らし、マスクは化粧品需要を変質させる。青山商事は売り場を半減させ、空きスペースにコンビニなどを誘致する。反対にカジュアル衣料、スポーツ関連が伸びる。

ファミレスのひとつサイゼリヤや居酒屋チェーンのワタミは赤字転落で後者は83店舗を休業させた。吉野屋などは黒字。巣ごもりはインテリア充足という需要が起こり、ニトリは空前の利益。

たしかに「需要が減ったのではない、変質したのだ」。

雇用状況に地殻変動的な動きが表面化した。IHIは社員8000名の副業を認めた。

この「副業の制度化」は日立、日本製鉄、JFE、日産、ホンダなどを例外に、三菱ケミカル、三井化学、ダイハツ工業などは取り入れている。

典型は三菱重工の余剰社員をトヨタ車体が「出向」というかたちで引き受けたように、雇用の移動がおきている。

ANA、JALは国際線が事実上止まり、国内線も大幅減便となって、余剰人員を関連産業へ派遣した。業界ではJAL・ANA統合プランが噂されている。

観光旅行はGO TOキャンペーンで瞬間的な回復の兆しがあった。

その後、緊急事態宣言が再発令され、自粛された。ビジネス出張もテレビ会議で代替するようになって、国内のホテルは四割減。新幹線も飛行機もガラガラ状態。旅客機は貨物輸送に振り替えている。

とくにインバウンド業界が深刻である。温泉旅館は閉鎖が目立ち、受け入れのガイド、旅行代理店は閑古鳥が啼き、花形だったHISも世界の支店の多くを畳んだ。観光ホテルは休業状態が続き、溢れ出た失業は、この先の人生に不安を増大させる。

外食産業と言えば居酒屋、ファミレス、牛丼、トンカツ、回転寿司などだが、合計で480万人の雇用があった。現時点でまだ営業を続ける店も、じつに37%が閉店、もしくは休業を考えているという。銀座は灯が消えている。これらはコロナがもたらした地獄図の表面の動きである。

産業構造的な大改変は大きな災害のあとに行われるインフラ投資だが、阪神淡路大震災では「新長田駅南地区」の大開発がいわれ、立派な複合ビルや商店街が完成した。ところが商店街はいまもシャッター通りである。

東日本大震災では、駅や病院の周辺に住宅地、商業施設などを集約したコンパクトシティの建設、仙台空港の民営化や東北医科薬科大学に医学部が新設された。仙台は一時建設ブームに沸いて、関東からパブや風俗産業まで移転したほどだった。

「ポストコロナ」のインフラ建設の青写真はまで提示されていない。

▲住宅事情も大変化の最中

コロナ禍は不動産業を大きく揺さぶった。テレワークとなれば、都心のオフィスビル需要が急減し、有名ビルもテナントが埋まらず値下げになる。

反対に近郊都市への住居移転が顕著となった。週一回程度の出勤ですむ職種の人は、新幹線通勤などに切り替え、残りの日々は田舎でのんびり。

じつは米国でもっと顕著である。シリコンバレーからエクソダスが始まったのだ。オラクルは本社を移転し、テスラCEOのアーロン・マスクも自宅を移した。 最大の理由はシリコンバレーの家賃が高すぎることで、在宅勤務ならわざわざ高い家賃のマンションに住まなくても良い。いや思い切ってテキサス州はどうだとオースチン市あたりの人口は突如30万人も増えた。

逆に人口急膨張をつづけてきたカリフォルニア州で人口減という新現象がうまれた。

カリフォルニア州は政治的に極左、ハリウッドではガガばかりか、シュワちゃんまでが反トランプ。ハリス副大統領もカリフォルニア州選出の上院議員だった。もうひとりの上院議員ファインスタインの秘書は長年にわたって中国のスパイだった。

カリフォルニア州は山火事も多く、アジア系移民がメキシコ移民より多くなって、愛国心は希薄である。進歩的思考は福祉増大をうむが同時に州税が跳ね上がり、税金への不満も高まっていた。

▲次の産業は何か。「脱炭素」「EV」「医薬品」。そして

模索から実践へ。これまでに言われたのはEV、医療設備、次世代半導体などであり、投資家の資金投下が目立ち、ベンチャーキャピタルも虎視眈々と新成長産業に注目し、投機する。

次期半導体開発は、あたらしい産業界を牽引する象徴的な基幹部品だが、世界最大のTSMCやインテルは闘士を増やしている。日本のルネサスも注文を捌ききれないのは自動車用半導体が供給不足となっているからだ。

半導体装置の東京エレクトンの株価は、コロナ発生時から3倍、ルネサスは4倍という急暴騰をしめしている。

また半導体と並ぶ基幹部品はベアリングである。自動車がEV方向へ流れはじめ、ガソリン車仕様の半導体が減少して行く傾向は明らか、日本精工などは家庭用電気製品の部品生産を倍増させる投資をおこなう。

フードテックは、植物素材から肉や卵を量産するプロジェクトで、パンやおやつ、甘酒パウダーと餅米のピザ用務チーズなど、三十何前から本格化しているマグロの養殖も技術が格段にあがったとされる。

加工食品業界も大きく変貌する曲がり角にある。

IHIなどの基幹産業のイメージから離れて副産物で魚、野菜の栽培に、副産物の酸素を活用する実験が繰り返されてきたが、23年実用化の目処がたったという。これは水素を造る過程で酸素がうまれる田小目、環境負荷のすくない特性から生産や流通コストが軽減されるため脱酸素につながる。

なにしろ日本は「2050 脱酸素」を宣言しているのである。

同時に医療現場で夥しい矛盾が発覚した。

国民健康保険や介護保険は財源が限界にきているが、医療と保険の相互関係が、本来の医療目的とは乖離した実情を現出させていた。

病床はあまっているのにコロナ感染者を受け入れる病院が極端に少なく医師会のやり方に批判が集中した。

これは今後、異常な生命維持装置重点主義、植物人間維持システムの改編につながる方向へ進むのか、どうか。

日本経済は転換点、それも歴史的な岐路に立っている。


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