スペインの人権団体が報告書を発表し、国際的なイッシューとなったのが、中国の海外警察派出所である。直近のデータでは危険視される中国警察の「海外派出所」は世界45ヶ国で確認され、ほかに14の拠点と推定される「派出所」があるという。
いずれも当該国で中国が危険視する民主活動家、反体制派知識人、二重スパイ、学生、研修生らを「監視」している。
改革開放以来、海外に散った華人、華僑、新移民、亡命あるいは逃亡者など、どうみても三千万人に達したようである。世界各地のチャイナタウンが急激な増殖を続け、シドニーもバンクーバーもいまや「シナの植民地」のごときである。アムステルダムの「飾り窓」で有名な公娼窟の裏側もチャイナタウンとなった。
海外移住はともかく、逃亡者の多くは犯罪にからむ。とくに多いのが金銭の持ち逃げである。中国がこれら「犯罪者」の帰国をうながし、それでもダメなら当該国へ秘密工作員を送って拉致する。
げんにタイのリゾートにいた銅鑼湾書店社長は拉致され、香港の豪華ホテルにいた明天証券CEOも拉致された。いまはルネサンスホールディングCEOの包凡が行方不明だ。
過去10年でおよそ1万人が「帰国」させられた。なかには逃亡に疲れはて、カネも使い果たして自首した者もあった。
この作戦は2014年に開始され、最初は「狐狩り作戦」と呼ばれた。逃亡犯たちの家族を脅し、帰国をうながす方法をとった。ついで2015年からは「スカイネット作戦」と呼ばれ、犯人や逃亡者、亡命組の家族、友人、取引先との交信(電話、ネット)を調べ上げて、逃亡先を突き止めた。拉致など厳格な、あるいは乱暴な手段も取られた。
経済犯がとくに逃亡した先はタイだった。
オランダとアイルランドは、中国のこうした行為は独立権国家の主権を侵害していると問題視し、カナダ、豪州などでも問題化した。米国はFBIが疑わしいオフィスに手入れを行った。
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