認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

器質的変化ではなくて廃用性の機能低下が本質(A-05)

2012-03-11 | アルツハイマー型認知症の原因

組織や細胞が変形、変性あるいは破壊され、元の形に戻らなくなるように変化することを器質的変化といいます。

「アルツハイマー型認知症」は、アミロイドベータの作用によりもたらされる「老人斑の生成」とか、或いはタウ蛋白の作用によりもたらされる「神経原繊維変化」とかの「器質的変化」が本質の疾患とするのが専門家たちの主張ですが、私たちは、廃用性の機能低下が本質の疾患だと考えています。

「 脳の働き具合」とリンクした「症状」の多数に上るデータの分析結果から、「アルツハイマー型認知症」は、加齢による脳の老化を(第一の要件)とし、前頭葉を使う機会が極端に減少する「単調な生活」の継続による廃用性の機能低下を(第二の要件)として、両者の相乗効果により、脳機能の廃用退化をおこし、加速度的に異常なレベルに機能を低下(退化)させていく病気だと考えています(発病のメカニズムについては、「N-30」 で詳しく説明します)。

         

 「軽度認知症」(小ボケ)のレベル(MMSの換算値が24点~30点)では、左脳と右脳の働き具合は未だ正常レベルにあるのですが、司令塔の「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の働き具合は、もはや正常レベルにはなくて異常レベルに衰えてきています。但し、このレベルでは、器質的変化は未だ起きていなくて、機能的退化が起きてきているに過ぎません。理由は、この初期の段階で発見できれば、脳のリハビリによって、脳の機能は比較的容易に正常レベルに回復させることが出来る(回復容易)からです(N-36以下で、詳説します)。

「中等度認知症」(中ボケ)のレベル(MMSの換算値が15点~23点)では、左脳と右脳の働き具合も異常レベルに衰えてくる上、司令塔の前頭葉の働き具合は、軽度認知のときに比べて更に異常なレベルに衰えてきています。但し、このレベルでも、MMSの換算値が20点以上を確保できている中等度認知症の前期までの段階であれば、器質的変化は未だ起きてきていなくて、機能的退化が起きてきているに過ぎないのです。理由は、この段階で発見できれば、集団による脳のリハビリでも、脳の機能を正常レベルに回復させることが可能(回復可能)だからです。

更に、MMSの換算値が15点から19点までの中等度認知症の後期レベルに衰えてくると、個別で頻度と密度の濃い脳リハビリを取り入れることにより、回復させることが未だ可能なのですが、家族に大きな負担がかかる条件下での脳リハビリの実施という困難が伴います。

「重度認知症」(大ボケ)のレベル(MMSの換算値が14点以下)では、左脳及び右脳の働き具合が中等度認知症のときに比べて更に異常なレベルに衰えてくる上、運動の脳も異常なレベルに衰えてきます。その上、脳全体の司令塔の「前頭葉」の働き具合は、中等度認知症のときに比べ更に加速度的に機能が衰えていくので、殆ど機能しなくなってきているのです。加えて、MMSの換算値が14点から11点へと低下してくるにつれ、徐々に器質的変化が現れてきて、10点以下のレベルでは、顕著な器質的変化が起きてきていると考えられるのです。理由は、この末期段階の「重度認知症」の段階では、脳のリハビリに効果が期待できなくなる(回復困難)からです。

アルツハイマー型認知症の専門家といわれる研究者や医師たちは、この末期段階の「重度認知症」の段階だけを捉えて認知症であると判断しているため、本来は機能的退化が本質なのに、器質的変化を起こしていることがアルツハイマー型認知症の本質であると本質を見誤っているのです。

 「アルツハイマー型認知症」というタイプの認知症は、「脳の働き具合」のアウトプットが「症状」の程度・態様として出現してくるものなのです。脳の機能レベルが症状の程度態様とリンクしているわけですから、脳の機能退化がもっと、ずっと軽い段階から且つ症状の進行を段階的継続的に変化移行していくものとして捉え、データを集積し、分析して、的確な判定や診断につなげてほしいと願うのです。

認知症の大多数、90%以上を占める「アルツハイマー型認知症」も、早期発見・早期治療が鍵になるのです。「原因不明で治らない病気」ではないのです。 廃用症候群に属する「生活習慣病」の一つにすぎないのです。 

「生活習慣」と言うと、調和のとれた食事、適切な運動、十分な睡眠などが直ぐテーマにされるのですが、「アルツハイマー型認知症の回復と予防」には、北海道から九州まで日本人全体について、「脳の使い方」と言う視点からの「生活習慣の見直し」が不可欠です。こうした視点からの「脳を活性化する生活習慣」を全国民的なテーマとして、特に、第二の人生に入っている高齢者(及び第二の人生を迎えようとしている50歳代の人たちを含む)に呼び掛けていきたいと考えています(N-54で詳説します)。

注)本著作物(このブログN0-05に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

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