認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

 「アルツハイマー型認知症」発病のキッカケとなる「転倒」のメカニズムとその予防策(A-97)

2013-11-01 | 脳を活性化する生活習慣を考える

    雨降って 転ぶとボケが 忍び寄る   3歩(散歩)励めば 脳もイキイキ

                                                 By kinukototadao

○  高齢のお年寄りの転倒と「アルツハイマー型認知症」発病との関係

一時期、お年寄りの転倒を防止することを目的として、脚の筋力強化を目的とするプログラムが流行ったことがあります。高齢になったお年寄りが、雨に濡れた玄関先で滑って転んだり、散歩していて道端の石につまづいて転倒するなど、何かの弾みで転倒して骨折し、何ヶ月間か寝たきりの生活をしていると、「アルツハイマー型認知症」を発病することがよくあることに目をつけて、脚の筋力の強化が「アルツハイマー型認知症」の発病の防止に役立つと考えられたからです。

転倒は、脳の機能面からの分析に基づいて説明すると、以下に述べるように、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まる「キッカケ」となるという意味では「アルツハイマー型認知症」の発病に関係する一つの間接的な要因ではあるのですが、発病の直接の原因ではないのです。

○   私たちの「意識的」な行為や思考の世界と「前頭葉」の機能との関係

(「脳の機能」の説明については、前回のブログと今回のブログとで説明内容が重なるところがあるのですが、今回のテーマを理解する上で必要なので、我慢して読んでください。なお、私のブログは、内容が高度に専門的であり、体系的な理解をするにはNO01~NO-43のブログの内容を本来は全部読む必要があります。

 これは、一般の方には酷なことなので、たまたまそのNOのブログの内容だけを読まれた方にも、「アルツハイマー型認知症」のことがそれなりに分かるようにと考えて、その都度のNOの中でも関連する内容を引用したり記述したりしているので、他のNOの内容と重複する部分もあります。最初の段階のNO01~NO43の全体で、「アルツハイマー型認知症」についての「体系的」な説明がしてあります。体系的な説明が終わった後のNO44からは、皆さんの関心がありそうな特別の「テーマ」を都度取り上げ、その「テーマ」について必要な限度で関連する脳機能のメカニズムや認知症に関わる重要な部分を引用して記述するやり方をしているのです。)。

最初に理解して欲しいのは、私たちが意識的に何かの「テーマ」を実行するときの、「脳の働き方」の仕組みです。脳の働き方の仕組みは、「脳が壊れた人」をたくさん調べると、その概要が分かります。脳は場所によって働きが異なり、「機能の分担をしている」ことが分かるのです。「運動の脳」の左の部分が壊れると右半身麻痺になり、右の部分が壊れると左半身麻痺になります。「運動の脳」が身体を動かしているのです。「左脳」が壊れると言葉が出てこなくなり、計算が出来なくなり、論理を操れなくなります。「左脳」は言葉の脳とも言われ、言葉や計算や論理や場合分け等、「デジタルな情報」の処理を担当しているのです。「右脳」が壊れると色や形や音や空間の認知や感情の処理等が難しくなります。「右脳」は感性の脳とも言われ、色や形や音や空間の認知や感情の処理等、「アナログな情報」の処理を担当しているのです。

額のところにある「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)は、脳の最高次の機能です。運動の脳、左脳及び右脳を統括し、「脳全体の司令塔の役割」をしています。私達人間に特有な機能である意識的な(選択的な)思考や言動や行為の世界では、「左脳」が「デジタルな情報」の処理を行なうときも、「右脳」が「アナログな情報」の処理を行なうときも、「運動の脳」が「身体」を動かすときも、三頭立ての馬車(左脳、右脳及び運動の脳の「三頭の馬」)の御者の役割をしている「前頭葉」の状況判断とその指示なしには、勝手には働かない仕組みになっているのです。三頭の馬のどれかが働くときには、必ず事前に「前頭葉」からの指示があるのです。言い換えると、「前頭葉」自体が、三頭の馬を主導しつつ同時に協働して働くというのが、「意識的な世界」で人間の脳が働くときのメカニズムなのです。

オアフ島HGVCのラグーン・タワー(今回は21Fオーシャンフロントに宿泊)

○   私達人間だけに備わっている「前頭葉」の諸機能の概観

ところで脳の司令塔の役割を担う「前頭葉」にはいろいろな機能があります。私たちが確認しているものだけで47もあるのです。その「諸機能」とは、観察、分析、考察、洞察、推理、理解、興味、発想、着想、企画、計画、工夫、創造、予見、シミュレーション、整理、機転、抑制、忍耐、感動、判断及び決断等の認知機能(A)、色々な認知機能を発揮する上での「認知度及び/又は意識度」の基礎となる「三本柱」の「意欲」、「注意集中力」及び「注意分配力」の機能(B)並びに最終的な実行内容を選択し決定する上で不可欠な機能である「評価の物差し」としての評価判断の機能」(C)などです。

脳全体の司令塔として、置かれている状況を判断したり、状況判断に基づいて何をするのかの「テーマ」を思いついたり、「テーマ」を実行するための内容を「計画」したり、そのやり方を「工夫」したり、「テーマ」の実行の仕方や予見される実行結果に対する「洞察」や「推理」や「シミュレーション」をしたり、状況の変化に応じて「機転」を利かせて対応の仕方を調節或いは変更したり、更には感情の吐露の仕方や程度や態様について、状況の評価に基づく必要な「抑制」をかけたり、実行結果の体験に「感動」したりする等、各種の高度な働きを担当しているのが「前頭葉」なのです。私達が意識的に(選択的に)何かをする世界、思考や行為や言動をする場面をコントロールしているのが「前頭葉」なのです。

ところが、こうした極めて高度で且つ重層的で体系的な働きを有する機能である「前頭葉」は、私達人間だけに特有であって、チンパンジーや猿やラットなどを含め他の動物には具有されていないものであるが為に、更には、その機能や仕組みを調べる方法や機器の開発が困難であったこと等から、「脳の中の空白地帯」として学者や研究者達から放置され、最近まで十分な研究が行われてこなかったのです。このことが「アルツハイマー型認知症」の発病原因、或いは発病のメカニズムの解明を遅らせてきた理由の一つでもあるのです。日本だけでなくて、世界中の認知症の専門家達(医師や学者や製薬会社の研究者達)は、未だに、「アルツハイマー型認知症は、原因不明の病気であって、治すことも発病を予防することもできない病気だ」と言っているのです(誤解或いは無知)。

部屋から写したラグーンタワーからの夕景

○   「アルツハイマー型認知症」発病の原因について迷走する学説の現状

世間では、もっと厳密に言えば世界中の認知症の専門家達(医師、学者、製薬会社の研究者)の間では、「アルツハイマー型認知症」発病の原因とそのメカニズムについては、未だに分からないとされているのです。そうした認知症の専門家とされる人達は、「アルツハイマー型認知症」を発病した後、症状が進んでいった末期の段階、私たちの区分で言う「重度認知症」の状態で何年間も身体が保った人達の死後の脳を解剖したその「解剖所見」に惑わされているだけなのです。

解剖所見に認められる3つの特徴である、老人斑、神経原繊維変化及び脳の萎縮という副産物に拘泥し過ぎていることに気づいていないのです。これらは、原因ではなくて結果(副産物)に過ぎないのです。このことに早く気づいて欲しいと願うのです。老人斑に着目した学説が「アミロイド・ベータ説」であり、神経原繊維変化に着目した学説が「タウ・タンパク説」であり及び脳の萎縮に着目した学説が「脳の萎縮説」なのです(私たちが市町村での「地域予防活動」の展開を開始した頃は、神経伝達物質であるアセチルコリンの不足が発病の原因であるとする「アセチルコリン説」というのが主流でしたが、、、)。

友達とラグーンを散歩している私

これらの学説は、「高齢者」と呼ばれる年代の60歳代になってから「アルツハイマー型認知症」を発病するお年寄りが現れるようになり、70歳代80歳代90歳代と、年をとるにつれて、このタイプの認知症を発病するお年寄りの割合が大幅に増えていくという実態を単に気づかないで見落とし、或いは重要な意味に気づかず看過しているのです。更に言えばこれらの学説は、「アルツハイマー型認知症」の場合、最初の段階(私たちの区分で言う「軽度認知症」/小ボケの段階)では脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の機能だけが加速度的な異常老化を示すことを説明できないのです(正常な機能レベルに回復させることが容易な「小ボケ」の段階では、「左脳」も「右脳」も「運動の脳」も、3頭の馬のいづれの馬も未だ正常な機能レベルにあるのです)。

とは言え、司令塔の「前頭葉」が異常な機能レベルに機能が低下している状態では、脳全体の働き具合のアウトプットは、私たちが分類し整理してある「小ボケの症状」に見られるように異常な症状を示すのです。これらの症状は、加齢に伴う単なる「老化」の症状(「正常老化」の症状)ではなくて、「アルツハイマー型認知症」の症状そのもの(「異常な症状」)なのです(ここを「クリック」してください)。認知症の専門家とされる人たちは、こうした「異常な症状」を看過していて、或いは誤解していて、「不活発病」などと命名して分かったつもりでいるのです。

私たちが最初に発見した、「前頭葉」の3本柱の機能に内在する「正常老化の性質」(脳の使い方としての「生活習慣」の如何に関わらず、「加齢とともに機能が老化していく」という内在的な性質)に注目しない限り、或いは、ラットによる記憶の実験を繰り返している限り、更には、副産物(原因ではなくて「結果」)でしかない現象に着目し、アミロイド・ベータ説やタウ蛋白説や脳の萎縮説等を追いかけている限り、何時まで経っても「アルツハイマー型認知症」発病の原因とそのメカニズムを解明することはできないことを指摘しておきたいのです。

遥前方に見えるのがあの有名なダイアモンド・ヘッド

 ○   加齢による内在的な性質としての「前頭葉」の老化曲線

「前頭葉」が司令塔としての役割を的確且つ十分に発揮するには、少なくとも、①状況の判断、②テーマの構想、③内容の計画、④全体構成の保持、⑤実行結果のシミュレーション、⑥ 最終的な実行内容の選択及び⑦ 実行の決断という「前頭葉」の7つの機能について、必要なレベルでの「各種機能の認知度の維持とその発揮」が要求されることになります。

その「認知度」及び/又は「発揮度」は、「前頭葉」の働きの中で最も重要な機能である「意欲」、「注意集中力」及び「注意分配力」という「3本柱の機能」が正常に働くことが不可欠の条件となり、更に「意識度」は、「3本柱の機能」がどのように働いているかに左右されるのです。 ところが、「認知度」及び/又は「意識度」を左右する「意欲」、「注意集中力」及び「注意分配力」という3本柱の機能には、「加齢による老化」のカーブという性質が内在しているのです(「正常老化」の性質)。

その為、第二の人生の入口の年齢である60歳代にもなるとそれらの機能は大幅に衰えてきて、60歳代の半ばではピーク時の20歳代半ばに比べて半分程度にまで衰えてきているのです。70歳代、80歳代、90歳代と年をとるにつれて、更に「低空飛行」の状態になっていくのです。私たちが「二段階方式」を活用して集積してきた極めて多数の脳機能データの解析によれば、「意欲、注意集中力及び注意分配力」の機能には、加齢とともに働きが衰えていくという性質が内在していることが分かるのです。実は、この性質こそが、「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズムを解明する上で極めて重要な鍵となるのです。

フロントの風景

 ○   「キッカケ」の発生と「単調な生活」の開始との関係

両者の関係について言うと、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まるその「キッカケ」(その類型については、ここを「クリック」してください)に遭遇した時、それに負けて、心が折れてしまい、立ち上がれなくなるほどに「意欲を喪失」してしまった結果として、ナイナイ尽くしの「単調な生活」に入っていくことになるのです。

生き甲斐となることも、これといった目標となるものもなく、その上、趣味や遊びや人付きあいを楽しむ機会も少なく、運動もせず、何らかの形での社会活動に参加する機会もない、文字通りナイナイ尽くしの「単調な生活」を送っていると言うことは、脳の機能面から言うと、「前頭葉」の機能の中でも最も基本的で不可欠な機能であり、「認知度」或いは「意識度」を左右する働きをしている「意欲」、「注意集中力」及び「注意分配力」という「前頭葉」の「三本柱」の機能の出番が極端に少ない生活を送っているということになるのです。

ラナイでの一風景(撮影者は、Tad)

ナイナイ尽くしの「単調な生活」を日々送っている中で、もともと加齢により機能が衰えていくという「正常老化」の性質を持っている「三本柱」の働き(その反映としての「前頭葉」全体の働き)が、膝の筋肉と同じように、廃用性の機能低下を起こしてくることで、両者の相乗効果により加速度的に働きが衰えていくのです(「前頭葉」機能の異常な老化)。

「三本柱」の働きが、加齢に伴う「正常老化」という要因とナイナイ尽くしの単調な生活の継続による「異常な老化」という要因の「二つの要因」が重なり合うことによる相乗効果により加速度的な機能低下を起こしていく時、自発性、観察、分析、考察、洞察、推理、理解、興味、関心、発想、企画、計画、創意、工夫、予見、シミュレーション、修正、整理、機転、抑制、忍耐、感動及び判断といった「前頭葉」全体の機能の構成要素である各種の高度な機能も同時に、その機能レベル(その結果としての発揮度)が加速度的に低下していくことになるのです(「二重構造」の問題)。

ハワイ島HGVCのキングス・ランドのビラ(今回は、第9棟3LDKに宿泊)

○   私たちが主張する「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズム

脳の司令塔の「前頭葉」の働きには、上述したように加齢とともに老化していく性質があります。正常な老化の場合でも、高齢者と呼ばれる年代の60歳代の半ば頃になると誰でも、「前頭葉」の働き具合が20歳代の半ば頃に比べて半分程度にまで衰えてきているものなのです(加齢による「前頭葉」機能の「正常老化」)。そして、加齢による「前頭葉」機能の「正常老化」の進行は、70歳代、80歳代、90歳代と年をとるにつれて、緩やかながらも直線的に「低空飛行」の状態に入っていくのが特徴なのです(「アルツハイマー型認知症」発病の「第一の要件」)。この「第一の要件」が存在するが故に、「アルツハイマー型認知症」は、60歳を超える年齢の「高齢者」だけが発病の対象となるのであって(私たちが集積した極めて多数のケース事例によると、50歳代で発病する人は皆無とは言わないが極めて稀なケース)、若者はその対象とはならないのです。 

 新聞やテレビ等のマスコミが、「働き盛りの50代でアルツハイマー型認知症を発病する人たちが増えてきている」という特集(番)を組むのを見かけることがありますが、そうした説は、「誤診」に基づく単純な誤解に過ぎないのです。そうした誤診は、「重度の記憶障害」さえ確認されると「アルツハイマー型認知症」だと単純に判断しているに過ぎないのです。そうした人達の「前頭葉」の働き具合を「二段階方式」のような神経心理機能テストで計測してみれば、「前頭葉」の機能が正常なレベルにあることが容易に確認されることになるはずなのです。それらの診断は、「アルツハイマー型認知症」と紛らわしい認知症、或いは認知症と紛らわしい病気を「アルツハイマー型認知症」だと「誤診している」だけなのです。そもそも、「前頭葉」の機能が正常なレベルにある「アルツハイマー型認知症」等というものは、この世に存在しないのですから(詳しい解説については、ここを「クリック」してください)。

正常な老化の過程とはいえ、加齢による老化により「前頭葉」の機能が低空飛行状態に入ってきている60歳を超えた高齢者と呼ばれる年齢の「お年寄り」「第一の要件」)が、脳を積極的には使わない生活、キャッチ・コピー的な表現を借りて言えば、生き甲斐や目標もなく、趣味や遊びや人付きあいもなく、運動もせず、何らかの社会活動に参加する機会もない、文字通りナイナイ尽くしの「単調な生活」を日々続けていると(「アルツハイマー型認知症」発病の「第二の要件」)、出番が少ないために使われる機会が極端に減った「前頭葉」が廃用性の機能低下を起こしてきて、第一の要件と第二の要件とが重なり合うことの相乗効果により「前頭葉」の老化が加速度的に進行していくことになるのです。そして、「前頭葉」の働きが加速度的な速さで衰えていき、「異常なレベル」に衰えてきたところに、「アルツハイマー型認知症」(晩発型アルツハイマー病)の発病が待っているということなのです。

このことを別の視点から言えば、世界中の認知症の専門家とされる人達から「発病の原因も分からないし、治す方法も分からないし、発病を予防する方法も分からない」と宣言されている「アルツハイマー型認知症」は、日々の脳の使い方という視点から見た「生活習慣病」に過ぎないのです。そうであるからこそ、脳を活性化する「生活習慣」を構築し実践することによって、「早期の段階」(私たちの区分で言う「軽度認知症」及び「中等度認知症」)であれば治すことができるし、発病自体を予防することができるのです。但し、その末期の段階(私たちの区分で言う「重度認知症」)の段階にまで「前頭葉」を含む脳の機能が衰えてしまうと、もはや治すことはできなくなってしまうのです。

アルツハイマー型認知症の専門家とされる人達は、私達が主張している「早期の段階」を見落としていて、「末期の段階」で見つけている為に、何時までたっても(どんな学説を信望していようとも)発病の原因を解明することができないし、原因不明で治らないものと誤解したままなのです。尚、認知症専門の医師達が早期診断と言っているのは、私達が主張している早期診断(「軽度認知症」及び「中等度認知症」の段階で見つけること)ではなくて、末期の段階である「重度認知症」の段階の早期のものを言っていることに注意してください。それは、名ばかりの早期診断であって、本来的な意味(治す)で言うところの早期診断とはかけ離れたものなのです。 

あのコーヒーのドトールの農園の一風景

○   加齢による「前頭葉」の機能低下と「転倒」との関係

 「歩行」という動作を脳の機能面との関係から説明すると、「前頭葉」が周りの状況判断を行いつつ、その指示に基づいて「運動の脳」が働くメカニズムの下で、「運動の脳」が筋肉を動かすことによって「右足を踏み出し、次いで左足を送る」という動作が順次行われているのです。

 上述したように、60歳代以降の年齢の高齢者と呼ばれる年齢のお年寄りは、「前頭葉」の機能(中でも、その核となる3本柱の機能)が、「正常な老化」の下であっても、機能低下が進行していっているのです。そして、70歳代80歳代90歳代と加齢が進むにつれて、その機能レベルは更に低空飛行の状態に入っていくのです。その為、高齢者と呼ばれる年齢のお年寄りの歩行に際しては、「前頭葉」の3本柱の機能である意欲、注意の集中力及び注意の分配力の機能自体が加齢により相応な程度に衰えてきているが故の様々なリスクが随伴して起きてくることになるのです。

1つには、「前頭葉」の判断力の問題です。歩行している際の周りの状況(雨が降った後で滑りやすい;雨水で道路の土が所々えぐられている;小石が道に散らばっているetc.)を片方の足を踏み出そうとする瞬間に認知し判断する機能自体が年齢相応に衰えてきているのです。

2つ目としては、「前頭葉」の3本柱の機能の機能低下による問題です。歩行に際しては、足をキチンと上げようと意識をそのことに明確に向けないと(注意分配機能が働いていて、他のことに注意が分散されていると)、必要な高さに足が上がらない「脳機能」の状態にあるのです(脚の筋力以前の問題)。

その結果、注意が分配されている状況下では(何かに注意がそれている状態、周りの景色やら小鳥の鳴き声やら或いは一緒に歩いているお友達との会話の内容等に一定の注意力が向けられ分配されている状況下では)、足元に気がつかないで、足を送れないで、或いは足が必要な高さに上がらないで、足を滑らせ、或いは小石につまづいて転倒することになるのです。

「高齢者」のこうした転倒は、脚の筋肉が弱ってきていることが原因で起きるのではなくて、「前頭葉」の機能レベルが年齢相応に低下してきていることが主な原因で起きているものなのです(「前頭葉」の「注意の分配力」の機能低下が主因)。私たちが「二段階方式」を活用して集積した脳機能データについて、加齢による脳機能の機能低下について分析した結果では、「前頭葉」の各種機能のうちで「注意の分配力」の機能が最初に衰えていくことが確認されているのです。

○「キッカケ」の一つの態様としての「転倒」

ところで、私達が開発した「二段階方式」の手技を活用するときは、「アルツハイマー型認知症」を発病した全てのお年寄りを対象として、「キッカケ」発生の時期から判定時に至るまでの間の脳の使い方としての「生活習慣」(「生活歴」)について、本人及び同居の家族から詳細な聞き取りを行います(「二段階方式」の手技を活用すると、判定時の脳の機能レベルと下位項目の得点とを基礎として「キッカケ」の発生時期が推定できる)。

「アルツハイマー型認知症」を発病した極めて多数のお年寄りを対象とする「生活歴」の聞き取りの結果、「前頭葉」を含む脳の老化を加速させる原因となるナイナイ尽くしの「単調な生活」が始まるには(「アルツハイマー型認知症」発病の「第二の要件」)、発病した全員について、「キッカケ」となる「生活状況の大きな変化」(或いは、「生活上の大きな出来事」)の発生が必ず存在することが確認されているのです。

プリンス「ハプナ・ビーチ」のコーヒー・ラウンジからの一景

 私たちが問題としている「キッカケ」というものは、何か特別の事象ではないのです。言い換えると、年を取ってくると誰でも「キッカケ」となりそうな状況や事象に遭遇するものなのです。「キッカケ」となった前述した多数のケース事例を見ると分かるように、何処でも、誰にでも、何時でも、起きてきそうな事象ばかりなのです。そのうえ年が年だけに、「キッカケ」となりそうな事象に遭遇したとき、その事象に負けて、心が折れてしまい、立ち直れないほどに「意欲を喪失」してしまうのも致し方がないことだと思うのです。そうは言っても、心が折れて事象の発生に負けてしまうと、ほとんどの場合、上述したナイナイ尽くしの「単調な生活」に入って行ってしまうことになるのが一番の問題なのです。数あるその「キッカケ」の事象の一つとして挙げられるのが「転倒」ということなのです。

或る「生活状況の大きな変化」の発生(或いは、「生活上の大きな出来事」の発生)に遭遇したとき、その発生に対処する自分自身の気持ち自体が負けて、心が折れてしまい、そこから立ち上がっていこうとする「意欲」をなくしてしまい、新たな「テーマ」を見つけられない人が、そのままナイナイ尽くしの「単調な生活」に入っていくことになるのです。但し、「生活状況の大きな変化」の発生(或いは、「生活上の大きな出来事」の発生)に遭遇したとき、そのことがそのままナイナイ尽くしの「単調な生活」に直結することになる訳ではないことに注意が必要です。その発生が「キッカケ」となるか否かは、遭遇した「生活状況の変化」(或は、「生活上の出来事」の発生)に対する「本人の受け止め方」及び「対応の仕方」が極めて重要となるからなのです。

○   「転倒」を予防する効果的な対策としての「速歩の散歩」

「一日5000歩」を目安にして、できれば家族や友人たちと一緒に、且つ「時事」に関することや「季節」に関することや「趣味や遊び」に関すること等心に浮かんでくる様々な「テーマ」について、ワイワイ賑やかに談笑しながら「速歩の散歩」をする「生活習慣」を身に付けましょう。「談笑」することは、話題となっている主題についての自分の関心を思い起こし整理しつつ、同時に仲間たちの話の筋や内容や問題点を聞き取り、理解し、整理することが必要となるので、一定レベルでの「意欲」や「注意の集中力」を発揮することが必要となります。加えて、人の流れや、自転車や自動車の行き交い、或いは歩行している道路の路面の状況、更には移り行く景色や咲いている季節の花々等周囲の状況にも目を向けつつ、そうした状況や体験を楽しみながら「速足で歩く」ということは、それらの「テーマ」に対しても「注意の集中力」や「注意の分配力」を発揮することが求められることになるのです。更に、状況や体験を楽しんでいる時を脳の機能面から言えば、「前頭葉」の評価の物差しとしての機能及びそれに関わる各種の構成機能も同時に働いていることにもなるのです。言い換えると、脳全体が生き生きと働いているということなのです。

先に詳しく説明してあるように、私たちの意識的な世界における脳の働きは、すべて最高次機能である脳全体の司令塔の「前頭葉」がコントロールしています。「前頭葉」が左脳、右脳、運動の脳と協働しながら且つそれらを主導して、状況を判断し、「テーマ」を企画し、「テーマ」の詳細な内容を組み立て、どのように実行すべきかをケースワークした上で、最終的な決断を行い、実行の指令を出しているのです。「歩行」という動作も逐一、「前頭葉」が運動の脳と協働し且つそれを主導して行っているのです。

ところが、その司令塔の「前頭葉」には、加齢と共に老化していくという性質があり、その上、不十分にしか使わないことにより出番が極端に少なくなると、高齢者の場合は、どんどん機能が低下していくことになるのです。「前頭葉」の3本柱の機能である、「意欲」、「注意集中力」及び「注意分配力」の機能にも同様の性質があります。その「三本柱の機能」の機能低下を予防するには、「日々、しっかり使ってやる」ことが最善の方法なのです。付言すると、「速歩の散歩」を日々実践することにより「三本柱の機能」が強化されていくことの直接の結果(副産物)として、皆さんが日ごろ気に掛かっている、あの「物忘れ」が減っていくことにもなるのです(ここを「クリック」してください)。上述した散歩する際の諸環境を出来るだけ取り込んだもとでの「速歩の散歩」という「生活習慣」を身につけ実行すれば、「3本柱」の機能を含む「前頭葉」の機能が全体的に強化されることになり、「転倒」の予防策となるだけでなく、「アルツハイマー型認知症」発病の予防策の一つにもなるのです(第二の人生での生活環境から考えたとき、「大きな柱」となる)(ここを「クリック」してください)。

Never put off till tomorrow what you can do today!

 (明日と言わず今日から、「速歩での散歩」を始めましょう!)

ハワイ島キングス・ランドのビラと近くの夕景

 注)本著作物(このブログA-97に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください。

 機能からみた認知症の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

  http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist

 http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a

 

 

 

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 脳が活性化されたハワイ旅行... | トップ | アルツハイマー型認知症の症... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

脳を活性化する生活習慣を考える」カテゴリの最新記事