認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

脳を活性化させる魔法の散歩(A-07)

2012-03-13 | アルツハイマー型認知症の予防活動

「一日5000歩」を目安に、速足の散歩習慣化しましょう!!

3月11日。どのテレビ局も、東日本大震災の被災報道をメインに番組を組み立てていました。一方で、画面から流れる映像は、進まない復興の現実ばかり。多大な被害を受けた市町村はどこも、未だに、瓦礫の処理は終わっておらず、1年もたったというのに復興の足音は、どの画面からも聞こえてきませんでした。

 住み慣れた地域も、景色や町並みも、家も土地も、家族も友達も、職場も、それらにまつわる想い出も、全てを失くしてしまった人達。復興の中心となるはずの若い人達でさえ、1年経った今も職を失ったまま仮設住宅に住んでいて、この先が見えないまま毎日を過ごしている姿ばかりを映像は映すだけでした。テレビを見ている側の私までも、心がとても痛み気力がなえていくような一日でした。

 今日、私が上のテーマを取り上げるのには、特別な意味があるのです。

私達が意識的に何かを実行しようとする世界、私たちの意識的な世界における脳の働きは、全て最高次機能である脳全体の司令塔の「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)がコントロールしています。前頭葉左脳、右脳、運動の脳と協働しながら且つそれらを主導し、統括し、コントロールして、状況を判断し、テーマを発想し、テーマの詳細な実行の内容を組み立て、どのように実行すべきかをケースワークした上で、最終的な実行内容の決定及び実行の決断を行い、脳の各部に実行の指令を出しているのです。前頭葉が、左脳、右脳及び運動の脳が牽く三頭立ての馬車の「御者」と考えると、その役割が分かり易いでしょう。「御者」が居眠りしていると、馬はどうしていいのか分からなくなり、目的地には辿り着けなくなるのです。馬である左脳、右脳及び運動の脳の全てが正常な機能レベルに在ろうとも、御者である「前頭葉」の機能が異常なレベルに衰えてくると、そのアウトプットはすでに異常な内容のもの、「アルツハイマー型認知症」の症状(私たちの区分で言う、「小ボケ」の段階の症状)が発現してきているのです。

実は、その司令塔の前頭葉には、加齢と共に老化していくという性質(私たちが、発見し、「正常老化の性質」と名付けているもの)が有り、その上、不十分にしか使わないことにより出番が極端に少なくなると、高齢者の場合は、どんどん機能が異常なレベルに低下していくのです。ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続することが加重される要件として働くことにより、「前頭葉」を含む脳全体機能が加速度的に低下していくその先に、「アルツハイマー型認知症」の発病という事態が待っているのです。

  私たちが確認している機能だけでも70以上もある頭葉個別認知機能の高度な働きの中で、状況を理解し、判断し、状況の判断に沿ったテーマを発想し、その実行の内容を企画し、計画し、実行の内容を組み立て、ケースワ-クする上で必要な「様々な認知」機能を発揮する上で不可欠な働きをしているのが、意欲、注意の集中力と注意の分配力(10を超える種類の異なった「テーマ」を、同時に平行して処理する脳機能)という「前頭葉の」三本柱の機能なのです。「前頭葉」の各種の個別認知機能を発揮する上で、その働き具合を支配し、下支えしているのがこの三本柱の機能なのです。三本柱の働き次第で、全体としての及び/又は個々の対象となっているテーマに対する「認知度」が左右されるのです。三本柱の機能の働きが通常レベルであれば(正常なレベル)、いろんなテーマを組み立てたり、シミュレーションしたり、判断したり、十分に、的確に実行できるのに対し、三本柱の働きが極端に低くなれば(「アルツハイマー型認知症」を発病のレベル)、不十分に、不的確に、或いは異常にしか、、それらを実行できなくなるのです。

私たちが三段階に区分する「アルツハイマー型認知症」の症状の段階、「軽度認知症」のレベル(小ボケ)、「中等度認知症」のレベル(中ボケ)、「重度認知症」のレベル(大ボケ)と認知症の症状が進んでいくにつれて(前頭葉の機能レベルが加速度的に低下して来ていることが症状発現の基盤となっているので)、何がどのように出来るのか、或いはどの程度にしか出来ないのかという認知症の症状」も、次第に重いものになっていくということなのです。

これと言った生き甲斐や目標もなく、趣味や遊びや人付き合いを楽しむ生活習慣もなく、運動もしない毎日。こんなナイナイ尽くしの「単調な日々」の生活を繰り返していると意欲、注意の集中力及び注意の分配力と言う「前頭葉」の「三本柱」の機能の出番が極端に減少してしまう為に、高齢者(第二の人生を送っている60歳を超える年齢の高齢者)の場合は、「前頭葉」の加速度的な機能低下(不十分にしか使われないことによる「廃用性」の機能低下)を)惹き起こしてしまうのです。

 東日本大震災の被災(何かをしてみよう、考えてみようとする意欲自体を喪失してしまうことになる人が多いのです)を経験された高齢者が置かれている現在の状況からすれば、生き甲斐や喜びが得られるようなが「テーマ」を見つけること自体が困難だと思うのです。むしろ、日々の「目標」となるものさえ見つけ出せないという状況だと思うのです。

  そこで、とりあえず、「1日5000歩」の速足での散歩をして欲しいのです。歩く速さは、「会話が楽しめるが、軽く息がはずむ程度の速さ」(有酸素運動)です。安全な場所を選んで、歩きやすいところで、仮設住宅で知り合ったお友達を誘って、一緒に、「おしゃべりを楽しみ」ながら、歩いて欲しいのです。

速歩で歩くことは、「意欲」と「注意の集中力」という「前頭葉」の三本柱の機能の潜在的な機能レベルを高めるのにとても効果があるのです。「時間が経つのも忘れてしまう」ようなテーマについて、同行している仲間とのおしゃべりを楽しみながら歩くと、「注意の分配力」の機能も活発に働きます。もちろん、天気が良くなかったり、足腰に痛みがあるなど身体の調子が良くないときは、無理をしてはいけません。そんなときは、仮設住宅で、仲間とおしゃべりでも楽しみながら休んでいてください。

 一週間、二週間、一ヶ月、半年と、歩く日が続く中で、自分でもはっきりと意欲が湧いてきたなと実感することが出来るようになるはずです(副産物として、日頃気になっている「物忘れ」の回数も減ってくることになるすはずです)。

意欲が出てくるようになったら、脳の司令塔の前頭葉の働きが良くなってきた証拠ですから、そこで、周りの人たちにも相談しながらはず、じっくりこれからの対処策や目標あるいは生き甲斐について、考えてみてください。

 注)本著作物(このブログA-07に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)


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