認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

「東日本大震災」の被災地における「地域予防」活動が重要(A-35)

2012-05-02 | アルツハイマー型認知症の予防活動

前回に説明した「アルツハイマー型認知症」が進行する期間に関する「原則」は、エイジングライフ研究所が多数の症例(アルツハイマー型認知症を発病するメカニズムを知らないため、ナイナイ尽くしの「単調な生活」がそのまま継続されていたケース)の実態を聞き取り、データを集めて分析して得られたものなのです。

「アルツハイマー型認知症」の最初の段階である軽度認知症(「小ボケ」)になってから以降の生活が基本的に変化しないでそのまま継続されていく場合(生活改善が行われないで、従来どおりの「単調な生活」が継続されていく場合)には、この原則に従って認知症の症状が進行していくその期間を述べたものです。この期間の原則は、多数例の分析結果によるため、とてもよく当てはまります。

      

もちろん実際の生活場面では、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の出番が増え、活性化するような楽しい「生活状況」の継続(家族や仲間と共に散歩や運動を楽しむ生活;家族とのイベントを楽しむ生活;趣味の教室へ通う楽しい生活;友人や仲間とのふれあいがある生活など)という要因があると、その楽しい生活の質と量とにリンクして「前頭葉」の三本柱(「意欲、注意集中及び注意の分配力」)の出番が増え働きが回復してくるので、「アルツハイマー型認知症」の進行が遅くなり、症状の悪化が止まり、或いは、症状が回復の方向に向かうのです。

逆に、「前頭葉」の出番が減り、不活性化するような辛く苦しい「生活状況」の継続(友人や趣味の仲間との別離; 趣味や遊びの会の中止;腰痛など身体の苦痛の進行; 自分自身の病気の発生;家族の病気や介護に自分の時間をとられてしまうような生活;大きな心配事の発生;家族内の大きなな問題;重大な災害に会うことなど)という要因があると、その辛く苦しい生活の質と量とにリンクして「前頭葉」の三本柱(「意欲、注意集中及び注意の分配力」)の出番が減り、働きが更に衰えてくるので、症状が悪化の方向に向かうのです。

      

エイジングライフ研究所では、脳の使い方としての「生活習慣」の改善の体験を目的とする「認知症の予防教室」の開催を市町村と地域とが共同して実行しつつ、「二段階方式」を活用して市町村(在宅介護支援センター、地域包括支援センターを含む)の保健師さんが定期的に予防教室参加者の脳の機能レベルを判定し、「生活習慣」の改善指導をするやり方の「地域予防活動」の実践1995年から指導しています。また、脳の機能レベルの定期的な判定及び三段階の評価結果(改善、維持、悪化)のデータは、「二段階方式」の管理ソフトにより、個人別及び地域別に管理されるようになっています。医療機関による「二段階方式」を活用した早期診断と回復は、「神経心理機能テスト」の保険点数が低すぎて事業としてペイしません。そうした状況の下では、市町村による自主的な活動に期待するしかありません。手をこまねいたまま何も対策を打たないで放置していると、更なる高齢化が進んでいく中で、「アルツハイマー型認知症」を発病する人の数は増加の一途をたどるだけとなります。

      

この場で問題提起したいのは、「東日本大震災」を被災した地域の60歳を超える「高齢者」に対する相応の対策が必要だということです。その人達は、前回の報告で提示した「生活状況」に直面したままで居るからです。そうした「生活状況」に直面しているお年寄りたちの中の多くは、それが「キッカケ」となって、生き甲斐や目標もなく、趣味や遊びや人づきあいも楽しめず、運動もしない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が継続している状況にあると思うのです。何も手を打たないでこの状態が継続したままでいると、「前頭葉」の三本柱(「意欲、注意集中及び注意の分配力」)の出番が極端に少ないので、「アルツハイマー型認知症」を発病することになるのです。大震災から1年が経過した現在では、「アルツハイマー型認知症」を発病した「小ボケ」レベルのお年寄りが相当数いるはずなのです。このまま手をこまねいていると、「小ボケ」レベルの人は「中ボケ」になり、身体がもつので最後は「大ボケ」になります。認知症の専門家とされる人達は、「重度の記憶障害」の症状を診断の重要な目安としているので、回復可能な早期の段階を見つけることはできません。(ここをクリックしてください)。「中ボケ」の後半から「大ボケ」のレベルになって初めて専門家たちが注目するようになるのですが、そのとき「余りの数の多さ」に驚くことになるでしょう。

     

「東日本大震災」を被災した高齢者達に注目してデータを集積していけば、今後数年が経過する中で、他の地域の高齢者たちとは明確に異なる、極めて高率での「アルツハイマー型認知症」の発病(新規の発病と症状の重症化の進行)と言う結果になると私達は考えているのです。そうしたデータが出てくれば、認知症の大多数を占める「アルツハイマー型認知症」は、廃用性症候群に属する「生活習慣病」であるという私達の主張が「疫学的に証明される」こととなるので、専門家たちもこれを認めることになると思うのです。その結果、「アルツハイマー型認知症は、原因不明で治らない病気」と考えていた専門家達の見方も変わることになり、市町村の保健師さんたちが雑音に惑わされることもなく、自信を持って「地域予防」活動をやれるようになるので、日本全体でみれば、大きな意味があると言えるでしょう。

しかし、それを待っていては遅すぎるのです。「東日本大震災」の被災と言う筆舌に尽くしがたい困難な状況にあるお年寄りたちに、その上に、「アルツハイマー型認知症」の発病と言う重荷を背負わせることになってしまうからです。私達の警鐘に出来るだけ多くの人達が気づいて、早く対応してほしいと願うばかりです。

注)本著作物(このブログA-35に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

   エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)

 

   http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist

 

 http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a

 

 


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