認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症の回復と予防を国民的なテーマに(A-22)

2012-04-02 | アルツハイマー型認知症の予防活動

以前の報告にもあるとおり、厚生労働省の発表によると、認知症のお年寄りの数は2012年2月末現在200万人超と言われています。200万人もの認知症のお年寄りとは、自分が住んでいる家がわからなかったり、同居の家族の名前や顔もわからなかったり、ズボンを頭から被ったり、トイレの後始末も自分でできない、「セルフケア」にも介助が要る認知症の末期段階の人達、私たちの区分で言う「重度認知症」(大ボケ)の人達だけの数なのです

回復可能な早期段階として私たちが問題にしている、社会生活だけに支障が出てくる「軽度認知症」(小ボケ)とセルフケアには未だ支障がないが「家庭生活」面では支障が出てくる「中等度認知症」(中ボケ)とは、その数の対象に入っていないのです。医療機関では、「アルツハイマー型認知症」については、私たちの区分で言う「重度認知症」(大ボケ)のレベルの症状が出てきていないと認知症とは診断されません。「軽度認知症」や「中等度認知症」のレベルの症状が出てきていても、「不活発病」とか「老化現象」だとされ、見過ごされているのです。そのまま放置していると(身体は持つのに、脳は持たない)ので、「軽度認知症」は「中等度認知症」に「中等度認知症」は「重度認知症」に症状が進みます。驚くなかれ、私たちのデータからすると、(小ボケ)と(中ボケ)とを合わせた数は、(大ボケ)の2倍にもなるのです。

この先、「アルツハイマー型認知症」からの回復の方法について詳細な報告をする予定ですが、次の点を肝に銘じておいてください。ここ(N-05)をクリックして読み返してみてください。

      「軽度認知症」(小ボケ)レベル   回復容易

      「中等度認知症」(中ボケ)レベル  回復可能

      「重度認知症」(大ボケ)レベル     回復困難

認知症の大多数、90%以上を占める「アルツハイマー型認知症」は、「予防」することも早期の段階で見つけると「回復」させることも可能なのです。現状の問題は、発見するのが遅すぎることにあるのです。「重度認知症」(大ボケ)のレベルで見つけていたのでは、遅すぎるのです。見つける段階が遅すぎるから「原因も分からないし治らない」と誤解されているのです。

「原因も分からないし、治らない病気」と専門家が言い、その上、狭義の「アルツハイマー病」(これこそ、「遺伝子」の異常が原因の病気)とアルツハイマー型認知症(これは、単なる「生活習慣病」)とをまとめて「アルツハイマー病」と呼ぶ過ちを犯しているために、回復可能な軽い段階(「軽度認知症」や「中等度認知症」の症状が出てきている程度)では、(世間体を気にして)周りに隠す気持ちのほうが先立ち、病院に連れて行かないのです。「重度の記憶障害」の症状が日常的に出てくるようになって、どうにも手に負えなくならないと、家族が病院に連れて行かないという悪循環をする結果にもなっているのです。

このことについて国民的な確認が必要です。もっと軽い段階で見つけてもらって、回復のための治療の指導(脳の使い方と言う視点からの生活習慣の改善指導:認知症の回復に効果がある薬はありません)をやってもらい、「脳の機能」が正常なレベルに回復してくるという体験をすることが重要です。その体験をする人が日本全国で増えてくれば、世の中の誤解も解けるのです。それによって、個人も家族も救われ、自治体や国の財政も救われることになるのです。このまま、「原因も分からないし、治らない病気」として放置していると、国の財政さえおかしくなってしまうほどの巨額のコストが介護に振り向けられているのです。「介護」に対する介護保険制度での対応は不可欠ですが、「蛇口を開きっぱなし」にしていたのでは、介護保険制度自体が崩壊してしまいます。

早期診断による早期治療と回復及び予防という蛇口を閉める方法があるのだから、そのことを「国民的な課題」とすべきなのです。

その努力を、個人や家族のレベルで尽くして、自治体が地域予防の活動を小さな単位ごとに定着させる施策を展開して、それでもなおアルツハイマー型認知症を発病し、回復困難な「重度認知症」(大ボケ)の段階に進んでしまう人が出てくることは避けられないので、その人に対する手厚い介護を介護保険制度で対応するのです。

第一に考えるべきテーマは、「早期発見と早期治療」です。その実施の方法は、医療機関による「早期診断」と「生活習慣の改善指導による回復」を図ることが最も効果的です。年に2回の定期検診を行い、「軽度認知症」(小ボケ)や「中等度認知症」(中ボケ)のレベルに衰えていないかどうかを調べるのです。

但し、「診断」は、従来行われているようなCTやMRIの「画像」による診断ではなくて、「神経心理機能テスト」による脳の働き具合を調べる診断が不可欠です。アルツハイマー型認知症は、最初に前頭葉のみが異常なレベルに衰え(小ボケ)、次いで、左脳と右脳が異常なレベルに衰えていく(中ボケ)という衰え方の規則性があります。回復可能な軽度の段階を見つけるには、「神経心理機能テスト」で「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)を含めた脳の働き具合を調べる診断が不可欠なのです。

「画像」による診断は、脳の形(「萎縮」の度合い)は測れても、脳の働き具合を測ることはできません。脳血管性認知症の診断はできても、「アルツハイマー型認知症」の的確な診断はできないのです。萎縮の度合いと脳の働き具合との間には直接の「因果関係」(脳の「萎縮」の度合いと認知症の「症状」の発現との間の相当因果関係)が確認できないからです。私たちは、脳の萎縮の度合いが認知症の症状と直接の因果関係があると言う考えには賛成できませんが、仮にその主張どおりに確認できるとしても、「重度認知症」よりも「中等度認知症」、更に「軽度認知症」と症状が軽い段階になるほど因果関係の確認は困難になるはずです。言い換えれば、回復困難な「重度認知症」の段階になれば発見が可能であっても(万一の仮定の話)、回復可能な、「中等度認知症」や「軽度認知症」の段階では発見が困難なはずなのです。この方法によって診断している限り、「アルツハイマー型認知症」は、「原因も分からないし、治らない病気」のままで、介護対象者が増大の一歩をたどっていき、介護保険制度はやがて財政面から崩壊してしまうことになるでしょう。

但し、現行制度では、(画像による診断をやめて、「神経心理機能テスト」を実施)するのでは医療機関がペイしないので、どの医療機関もその方法を採用しないでしょう。それを解決する方法は、「神経心理機能テスト」の評価ポイント(保険点数)を大幅に引き上げる方法か、それとも、(診療費が自己負担となる)自由診療で行う方法等の新規の対策が必要です。「神経心理機能テスト」により脳の働き具合を調べることによって、回復可能な小ボケと中ボケの段階を見つけることが出来るので、脳のリハビリ(生活習慣の改善指導)により正常レベルに回復させることが出来るのです。これが制度化されることによって、介護保険の財政状況は、劇的に改善されることになるはずです。認知症の90%以上を「アルツハイマー型認知症」が占めていて、然も小ボケや中ボケの段階で見つけることが出来れば、正常レベルに回復させることが出来るからです。悪くても「中等度認知症」(中ボケ)(家庭生活に支障)でとどめさえすれば、「重度認知症」(大ボケ)にさえしなければ、介護費用は大してかからないのです。

第二に考えるべきテーマは、「予防」です。

「アルツハイマー型認知症」は、脳の使い方という視点からすれば、「生活習慣病」なのだということについて、全国民的な啓蒙活動を展開する必要があります。個人及び家族単位での生活改善の実行と地域単位での予防活動の展開が必要なのです。小学校区単位で、廃校や公民館などの公的施設を活用して、「脳を活性化」させるテーマを参加者が楽しむ「体験の時間」を、一週間に半日設ければいいのです。その体験を元にして、自分なりに楽しめる「趣味」や「遊び」や「人づきあい」や「運動」を日常生活に取り入れ「生活習慣」化するだけでいいのです。そうしたテーマの日常的遂行が脳を活性化させるメカニズムと根拠となるデータについては、(N-54)で詳しく報告します。

地域単位での予防活動の展開は、事業としてはペイしないので、民間による活動はあまり期待できません。市町村の健康福祉課などや在宅介護支援センターや地域包括支援センターなどの公的機関による活動やNPOなどによる活動が不可欠になると思います。

 注)本著作物(このブログA-22に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

  エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)

 

  http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist

 

 http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a

 

 

 


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