認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症の治療法は、「脳のリハビリ」(A-36)

2012-05-04 | アルツハイマー型認知症の治療方法

認知症にもいろんな種類があります。脳を養っている大小の血管の障害である脳梗塞や脳出血などが原因で発病する「脳血管性認知症」もあれば(認知症全体の4~5%程度)、遺伝子の異常が原因で若い年齢を対象として発病する「若年性アルツハイマー病」もあります(認知症全体の1~2%程度)。そのほかにもいくつかの種類の認知症がありますが、それらが認知症全体に占める割合は、極めてわずかなのです(或るテレビ局がいろいろなテーマでこうした認知症を取り上げていますが、その意図は良く分かりません)。取り上げて、国民的な課題にすべきなのは、「アルツハイマー型認知症」なのです。認知症の大多数、90%以上を占めているのが、「アルツハイマー型認知症」だからです。

             

「アルツハイマー型認知症」は、早期に発見すれば治せるし(脳の機能を正常なレベルに回復できる)、発病を予防することも出来るのです。これまで、認知症の専門家たちから「原因不明で、治らない」と言われてきた「アルツハイマー型認知症」は、「早期発見」、「早期治療」が大切な普通の病気だったのです。早く見つける程、回復する可能性が高いのです。

「軽度認知症」(小ボケ)で見つければ、簡単に治せます(回復容易)。

「中等度認知症」(中ボケ)で見つければ、手間はかかり大変だけど、家族の協力があれば何とか治せます(回復可能)。

「重度認知症」(大ボケ)で見つけたのでは、見つけても手遅れ、どんなに頑張っても治らないのです(回復困難)。

 専門家は、「アルツハイマー型認知症」の末期段階の大ボケの症状(特に、重度の記憶障害の症状)を物指しとして見つけます。それでは、見つける段階が遅すぎるので、せっかく見つけても治らないのです。もっと早い段階、回復可能な早期の段階(「小ボケ」及び「中ボケ」)で見つけられるように、見つける方法を変える必要があります。

             

このブログで「アルツハイマー型認知症」からの「回復の方法」と言うときは、「小ボケ」と「中ボケ」だけを対象として回復の方法を説明しています。「大ボケ」の段階にまで脳の機能が衰えてくると、正常レベルに回復させることは無理だからです。「中ボケ」の段階に回復させることさえも、相当に困難と言わざるをえません。理由は、「大ボケ」の段階にまで脳の働きが衰えてきていると、「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の三本柱の機能(「意欲」、「注意の集中力」と「注意の分配力」)が殆ど働かなくなってきているので、どんな「生活改善」(脳の使い方としての「生活習慣」の改善)策を施しても、三本柱の機能がそれに反応することが出来ず、生活改善の実質的な効果が出てこないのです。

専門家(研究者や医師)は、早くこのことに気付いて欲しいのです。しばしば取り上げられる「老人斑」とか「神経原繊維変化」とかは、「アルツハイマー型認知症」を発症させる原因ではないのです。ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続の下で、脳が加速度的な廃用性の機能低下を起こしていくことの副産物(結果)であって、原因ではないのです。その副産物(結果)を生み出す犯人として、アミロイドベータとかタウタンパクを追いかけている限り、何時まで経っても真犯人(原因)を見つけることが出来ないばかりか、解決策(治療の方法)を見出すこともできないのです。私達は、意識的に何かのテーマを実行するときの前頭葉を含む脳の働きとそのアウトプットとしての行為(症状)を「二段階方式」による神経心理機能テストを使って詳細に調べてきました。通常の正常なレベルから、正常下限のレベル、小ボケのレベル、中ボケのレベル、更には大ボケのレベルに至る経過についての極めて多数のデータの分析の結果(15000例に上るデータの解析結果は、N-38で報告します)から、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を継続したままでいて、飲むだけで、「前頭葉」を含む脳の機能が改善してくるような「薬」など存在するはずがない(開発できるはずがない)と考えているのです。私たちが活動を開始した1995年以来、いろいろな種類の薬が開発されてきましたが、未だにそのような脳の機能を改善させる効果のある「薬」は出現していません。(ここをクリックしてみてください)

アルツハイマー型認知症を治す(脳の働きを正常レベルに引き戻す)には、「前頭葉」の三本柱(「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」)の出番が多い生活に変えて、「前頭葉」の働きを活発にしてやることが不可欠なのです。「前頭葉」の働きを活発にするのに最も効果的な方法は、「右脳」をしっかり使う生活、趣味や遊びや人づきあいをしっかり「楽しむ生活」を送ることが不可欠になります。趣味や遊びや人づきあいなどを楽しむことで、自分なりに目標や喜びや生き甲斐があり、意欲が湧いてくるような毎日を過ごすのです。趣味や遊びや人づきあいといった「右脳」重視の生活が、「前頭葉」の出番を増やし働きを活性化させることになり、前頭葉の元気を取り戻せるので、脳全体の機能が回復してくるのです。

             

(コーヒー・ブレイク)  世間では、小学校の低学年レベルの「平仮名で書かれた文章の音読」や「一桁の足し算と引き算程度の簡単な計算」(これらは、共に「左脳」を使うテーマなのです)をすることが、脳の活性化に役立つとして提案されています。これに特化した生活を何カ月か継続させた(他の趣味や遊びを楽しむ生活を排除しないと評価が出来ないからです)お年寄りの「前頭葉」の機能レベルの変化(改善の有無)を神経心理機能テストで計測評価してみれば、効果があるのかないのかがはっきりとわかるはずです。このような程度のものでも、その作業をしているときには、関係する脳がそれなりのレベルで働くのは当たり前のことなのです。必要とされる脳機能の程度は低くても、「前頭葉が絡む意識的な世界」であることに変わりがないからです。その時の脳の作用を「fMRI」などを使って計測しても、それが「効果を証明することにはならない」のです。そのとき、そこに「意識的な世界」があり、関係する脳の機能が働いていると言うことを証明しているだけのことなのです。私達は、このようなレベルの「左脳」刺激の方法では効果が期待できないので、極力排除することにしています。

       

やるのが楽しくて、時間があっという間に経って、またやりたくなるような趣味や遊びや人づきあいを楽しむ、「右脳」がらみの生活とその仕方を工夫するのが大切です。それを実感できているときは、「意欲」が湧き出ていて、「注意が集中」していて、「注意が分配」できているからです。言い換えると、そうした時間は、「前頭葉の働きが極めて活性化している」時間と言うことなのです。脳全体の司令塔であり、最高次の機能である「前頭葉」の機能は、「左脳」や「右脳」や「運動」の脳に比べて、使われる機会が少なすぎるために起きてくる「廃用性の機能低下」により衰えていくとき、放物線を描くように加速度的に働きが衰えていくので、「小ボケ」よりも「中ボケ」の段階の方が、「中ボケ」よりも「大ボケ」の段階の方が回復させるのがより一層のこと難しくなってくるのです。「二段階方式」を導入している市町村では、「二段階方式」を活用して、認知症の「予防教室」に参加しているお年寄りたち全員の脳全体の機能レベル(前頭葉、左脳及び右脳)を定期的に検査し、所定の基準に基づき三段階に区分して評価(「改善」、「維持」及び「悪化」)しています。その評価の基礎データと評価結果とは、二段階方式の「管理ソフト」により、個人別及び地域単位別に集計され、「時系列管理」されています。極めて多数のデータの分析の結果から、上述した問題が確認されているのです。

             

皆さんの周りに気になるお年寄りがいるなら、とりあえず症状で、おおざっぱな判断をしてみてください。小ボケの症状(ここをクリックしてください)。 中ボケの症状(ここをクリックしてください)。「小ボケ」なら、回復は容易。「中ボケ」でも、回復は可能なのです。同居の家族が中心となって本人を支えつつ、関係する周りがそれを助けて、「テーマ」と「目標」を決めて、本人なりに毎日を楽しめる「生活習慣」を組み立て、実行させるのです。「テーマ」によっては(例えば、「速足の散歩」や「買い物」や「料理」、或いは本人が過去に楽しんでいた「趣味」や「遊び」)、家族が一緒に実行してあげると、より効果的です。

本人が過ごしてきた過去数年間の生き方、目標となっていた「テーマ」など、その「生活習慣」にさかのぼって検討するのです。本人が、、どんなことに「熱中」していたのか、どんなことなら「意欲」を持って取り組めていたのか、どんなことなら「てきぱきと処理」していたのかを調べてあげることが大切です。

       

「 仕事」一筋(左脳一辺倒の生活習慣)の人生を送ってきていて、「右脳」がらみの生活習慣である「趣味」も「遊び」も「人づきあい」も苦手だったと言う人には、「運動の脳」からの刺激が取り組みやすい上に意外と効果的なのです。 一日一時間の速足での散歩が目標(5000歩が目安)です。(ここをクリックしてください)

その場合も、散歩をするのが楽しくなるような「一工夫」が大切です。散歩するのに安全な場所を選び、散歩してみたくなるような場所を探し、家族や友人が談笑しながら一緒に歩いてあげると効果が一層大きくなります。

注)本著作物(このブログA-36に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

    エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)

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