認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症の早期診断と回復並びに予防(A-31)

2012-04-23 | アルツハイマー型認知症の原因

前回の報告で説明したように、「アルツハイマー型認知症」は毎日の脳の使い方という視点からの生活習慣が、発病あるいは進行と回復並びに予防を左右する最も重要な要因となる廃用症候群に属する「生活習慣病」であると私たちは考えています。

「加齢による脳の老化」(第一の要件)と「ナイナイ尽くしの単調な生活の継続」(第二の要件)という二つの要因が重なることにより、その相乗効果として、前頭葉を柱とする脳の機能が加速度的に衰えて行く結果発病する「アルツハイマー型認知症」という病気は、脳の機能の「衰え方」にも重要な特徴(老化の順番とその「パターン」)があるのです。

その特徴は、

○ 最初に、最高次機能で司令塔の働きをする「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の働きが衰えていくこと

○ 次いで、高次機能である「左脳」と「右脳」と「運動の脳」の働きが衰えていくこと

○ 「加齢による脳の老化」とナイナイ尽くしの「単調な生活の継続」とによる相乗効果により機能が衰えていくので、衰え方は加速度的であり、そのことが重度化していくにつれて症状に現れてくること

○ 更に、「MMS」で測定される高次機能には「衰えていく下位項目の順番と特異なパターン」があること

エイジングライフ研究所が提唱する「二段階方式」の手技は、御者の役割を担う前頭葉の働き具合を「かなひろい」テストで測定し、馬の役割を担う左脳と右脳の働き具合を「MMS」で測定します。そして、脳の機能がどこまで衰えているのか及びその脳の機能レベルでは、どんな症状を特徴的に示すのかをリンクさせ、客観的な指標と総合的な判定により、「アルツハイマー型認知症」の重症度を三段階に分けて判定(軽度認知症「小ボケ」、中等度認知症「中ボケ」、重度認知症「大ボケ」に区分)します。

また、テスト結果について、集積された多数のデータの分析に基づいて確立された指標により、衰えていく脳の機能の順番とそのパターンを判定すること及び「キッカケ」を契機とする「単調な生活」の継続期間を確認することができるので、「アルツハイマー型認知症」以外のタイプの認知症との鑑別及び認知症と紛らわしい病気との鑑別が客観的な指標に基づいて行えるのです。

更には、脳の機能レベルとリンクさせた症状の指標に基づいて、回復が困難で介護するだけのレベルである重度認知症「大ボケ」と回復可能な早期段階の軽度認知症「小ボケ」と中等度認知症「中ボケ」とを区別して判定することができます。これにより、脳の機能レベル毎に策定実施される「生活改善」の指導により適切な脳の活性化が図られ、正常レベルへの脳機能の回復と更なる重症化の防止を目的とする対策がとれるように工夫されているのです。

   又は  又は  

世間では、症状の重症度区分はなく、「アルツハイマー型認知症」であるかどうかだけの判定しか行いません。然も、「重度の記憶障害」の症状だけを指標とする診断であるため、末期段階の重度認知症「大ボケ」しか見つけることが出来ないのです。そのため、「アルツハイマー型認知症」であると診断された場合の対策は「介護」の道しかなく、「回復」の道や方法は全く考えられていないのです。

この「二段階方式」の手法を活用することによって、認知症の専門家達から「原因不明で治らない病気」と言われている「アルツハイマー型認知症」の早期診断と回復が可能となり、更なる重症化の防止や予防が可能となるのです。

一般住民は、医師を尊敬し専門家として信頼しているので、事業(ビジネス)としてペイしさえすれば、医療機関が「二段階方式」を活用して早期診断を実施することが、回復と更なる進行の防止の実績を上げるには、一番効果的なのです。そうなれば、「アルツハイマー型認知症」は生活習慣病であるとの認識が一般住民の間に幅広く且つ急速に浸透していくことが期待でき、「予防」が現実のテーマとなるはずなのです。現状では、医療機関が事業(ビジネス)として実践するには、「神経心理機能テスト」の保険点数が低すぎ、「二段階方式」を採用しても事業としてペイしないことが最大のネックとなっています。

従って、現状では自治体の職員(保健福祉課などや在宅介護支援センターや地域包括支援センターの職員)による自主的な予防活動に期待するしかないのです。その場合は、高齢化率が30%を超えてきて、地域で認知症のお年寄りの姿(末期段階の「大ボケ」レベルの人たち)がよく見かけられるようにならないと「予防活動」は市町村のテーマとはなり難いため、平成の大合併により高齢化率が下がった影響もあり、「地域予防活動」の展開が拡大して行き難い状況になっています。

(コーヒー・ブレイク) CTやMRIは、脳の萎縮の度合いを形から判定するだけで、脳の機能レベルを判定することはできません。従って、「アルツハイマー型認知症」の診断にCTやMRIによる画像はまったく役立たないはずなのですが、実際の診断場面では、相当使用されているのです。CTやMRIによる画像診断と「物忘れ」などの記憶の障害による症状の判定とにより、「アルツハイマー型認知症」の診断が医療機関では行われているのです。

更に、「アルツハイマー型認知症」であると診断されると、「原因不明で治らない病気」なので、「治す効果はないが、ケースによっては症状の進行を抑える効果がある」とされている薬が何種類か処方されるだけなのです。その結果、認知症の90%以上を占める「アルツハイマー型認知症」は回復の可能性はなくなり、症状が進行していくだけで、介護費用が膨大なものとなるのです。そのため、介護保険が財政面から破綻していくリスクを抱えることになってしまっているのです。個人の問題としてはもちろん重要ですが、自治体や国の財政面からも、「予防対策」を考えることが不可欠なのです。理由は、「アルツハイマー型認知症」は早期に見つければ治せるし予防することもできる病気、廃用性症候群に属する「生活習慣病」だからです。 

   ○  「二段階方式」による三段階の重症度区分

                    

 「アルツハイマー型認知症」の場合は、前頭葉、左脳、右脳、運動の脳の順に衰え始めていき、並びに小ボケ以降は同時進行的に且つ加速度的に衰えが進行していきます。従って、衰えた脳の機能を回復させる場合はこの逆の順に回復させていくことが大切であり、この視点から脳を活性化させるテーマを選択することが必要です。但し、大ボケのレベルにまで脳の機能が衰えてしまっている場合は、中ボケや小ボケのレベルにまで回復させることさえ困難となります。  

  注)本著作物(このブログA-31に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。 

 エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)

 

 

 

 

 

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