認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

老化の物忘れと認知症の物忘れ(廃用性の異常な機能低下に起因した記憶障害)(A-23)

2012-04-04 | 物忘れの正体とそのメカニズム

(1)(夕御飯の支度をしている場面で)冷蔵庫を開けたとたん、「あれっ・・・?」と思って(何を取ろうとしていたのかが、一瞬思い出せないんです)、何を取ろうとしていたんだっけ?)。・・・「あっ! 豆腐だった!」)。

(トントンと2階に上がっていく場面で)部屋のドアを開けたとたん(「あれっ?」と思って)、何をしに来たのかが一瞬思い出せない。(何をしようと思って来たんだっけ・・?)。「あっ! 洗濯ものを取りに来たんだった!」)。   

年をとってきて、こうした「物忘れ」の起きる回数が次第に頻繁になってくると、気になってきます。(年のせいかな・・?)と思いつつも、ちょっと気になることがあるのです。

何が気になるのかというと、「アルツハイマー型認知症」!。「物忘れは、ボケの始まり」とか、昔から言われてきたからです。

その言葉が(貴方の心の隅に)、引っかかるのです!

(2) 記憶は、「記銘」したものを「保持」して、それを「想起」してくると言う経路をたどります。

「はっきりと記憶している」とか、「すっかり忘れてしまった」とかいうことは、どの程度に記銘され、保持され、想起されるのかという個々の要素の機能レベル影響している(個々の要素の相剰効果による)と私たちは考えています。

その中でも、「記銘」するときの記銘度が最も重要だと考えています。

海馬に集められた認知対象の情報を記銘するとき、(記銘度が高いもの)であったなら、その記銘度に応じて「長期」に保存されるし、(記銘度が低いもの)であったなら、その記銘度に応じて「短期」にしか保存されないと考えるのです。

(3)「記銘」する(覚える)ときの「記銘度が高い(よく記銘される)情報は、よく保持」され、よく想起」される(思い出される)と考えるのです。

 このことは、「記銘」した5分後に「想起」できる程度をチェックしてみれば、直ぐに分かります。「記銘度」が高い情報ほど、想起することが容易なのです。

更に、よく「記銘」された(=「記銘度」が高い)情報は、長期に記憶されることになるのです。専門家が言うような、(海馬が「選択(?)」して、短期記憶と長期記憶とに区別している)からなどとは、考えられないのです。

(4)「記銘度」は、記銘するときの状況(前頭葉の三本柱働きの度合い=機能の発揮度)に左右されます。記憶の対象となる認知の対象となる情報を記銘する時、「意欲」が強く作用する内容であり、「注意の集中力」が深く作用する内容であり、「注意の分配力」が大きく作用する(分配の量が多い)内容であれば、「記銘度」が高くなるので、長期に保存され、想起しやすく、結果的に長期記憶」となると考えるのです。

逆の場合は、「記銘度」が低くなるので、短期にしか保存されず、想起し難く、結果的に「短期記憶」となると考えるのです。勿論、繰り返して海馬に送り込まれた同じような内容の情報は、繰り返された回数が多いほど「記銘度」が高くなるので、其の分、より長期に記憶されることになると考えるのです。

(5) 更に付け加えると、私たちのデータによれば、『アルツハイマー型認知症』の発病者である場合は、MMSEの下位項目中、「想起」が最も早くから、『ナイナイ尽くしの単調な生活習慣の継続』に起因した『廃用性の加速度的で異常な』機能低下の進行という要因により、衰えていく項目なのです。

そもそも、「記銘」自体が「意欲」、「注意の集中力」、「注意の分配力」という「前頭葉の三本柱」の機能の働き具合に大きく影響を受けます。そして、この三本柱の機能自体もまた「加齢と共に衰えていく」と言う性質を持つのです。このことに関するデータについては、(N―38)で詳しく報告します。そのため、年を取る(加齢の進行)につれて、「覚える」こと(記銘)が難しくなっていき、「思い出す」こと(想起)も難しくなっていくことは、皆さん経験済みのことでしょう。

加齢により衰えていくという両者の性質が、「正常な老化の物忘れ密接な関係があるのです。

※下図は、私たち二段階方式が世界に誇る(加齢の進行に因る『前頭葉』の正常老化の曲線)です。

(6)「前頭葉」(前頭前野の穹窿部に局在する複合機能体を言うものとする。以下、同じ)の三本柱の機能一つに、「注意の分配力」(異なる複数のテーマを同時並行して処理すること)という機能があります。

上述のように、「正常老化の物忘れ」は、「記銘」するときの「記銘度」低くなっていることに原因があります。その「記銘度」は、記銘する時の「注意の分配力」の機能の発揮度(働きの度合い=分配の量)に大きく左右されるのです。

何かのテーマを記銘するとき、同時に心に浮かんでくる他のテーマ(心配事や関心事などの、気になること)に注意がそれていたりすると、肝心のテーマに対する『注意の分配力』の機能の分配量が少なくなり、その分、「記銘度」が低くなってしまうのです。「記銘度」が低くなった結果として、その分、「保持」が難しくなり、「想起」するのが難しくなる(思い出せない)のです。つまりは「忘れる」ことになるのです。

これが、「正常な老化の物忘れ」のメカニズムなのです。前頭葉の三本柱の機能は、正常な機能レベルの範囲内を保ちつつも、加齢とともに働きが衰えていく性質(正常老化の性質)を持っているので(脳の正常な老化の過程でも、機能が衰えていく)、記銘するときに、よほどそのことに集中できていないと(他のテーマに注意がそれていると)、当該記銘対象の内容の記銘度が低くなるのです。その結果として、保持がその分難しくなり、更には、想起がその分難しくなるという訳なのです。そのメカニズムのもとで、年をとるほど、「物忘れ」が増えてくるのです

それが、「正常老化の物忘れ」なのです。

  ここで、一句  「物忘れ、反省と工夫が効けば、年のせい」 By Tad

(7) 『前頭葉』の機能は、自分の置かれている状況を判断し、何をどのようにするかを組み立て対応する働きを持った脳全体の司令塔です。「物忘れ」が増えてきて、心配になったり、日常に支障が出てきたら、「忘れたらいけない、大事なことは、メモする」という習慣を身につければ、良いのです。

アルツハイマー型認知症」を発病すると、『前頭葉』の機能が最初に(真っ先に)異常なレベルに衰えて行きます。 その『前頭葉』の機能が、「正常なレベルにありさえすれば」、自分の置かれている状況(度々物忘れすることで、社会生活や家庭生活の面で、支障が起きる)を判断して、そのことを反省したうえで適切な工夫をする(大事なことはメモをする)ことが出来るはずなのです。これさえ出来るのであれば、物忘れがあっても、「アルツハイマー型認知症の発病の物忘れ」ではなくて、「正常な老化の物忘れ」に過ぎないのです。

(8) 認知症の専門家が言う「アルツハイマー型認知症の物忘れ」とは、私たち二段階方式の区分で言う末期の段階である『大ボケ(重度認知症)』のレベルで起きてくる『極めて重度の記憶障害の症状のこと』を言います。『大ボケ(重度認知症)』のレベルになると、『前頭葉』の機能は、廃用性の加速度的で異常な機能低下の進行に因り殆ど働くことが出来なくなっているのです。

従って、「状況を適切、的確に判断」することも、ましてや、『反省に基づいた、適切な対応の為の「工夫」をすることもできなくなっている』のです。注意が他にそれていなくても記銘すること自体が満足にできなくなっている為に起きてくるのが、専門家が問題にしている「アルツハイマー型認知症の発病としての物忘れ」なのです。上の一句をいつもあなたの財布に入れておいて、物忘れが気になったら、取り出して安心してください。

追加) 『アルツハイマー型認知症』の発病としての「記憶障害」と『前頭葉を含む脳全体の機能レベル』との関係を説明します。

『大ボケ(重度認知症)』の高齢者の「物忘れの症状(記憶障害)」は、以前、「脳の働き具合と重度認知症との関係」というテーマで報告した脳の働き具合を示す図(N-20)を見てください。重度のアルツハイマー型認知症の人は、前頭葉の機能は殆ど働いておらず、つまり、意欲/注意の集中力/就中、『注意の分配力』の機能が殆ど働いておらず記銘度自体が極めて浅いレベルの記憶なのです。その結果、『直前に食事をしたことも記銘できていないので、思い出せない』のです。

 注)本著作物(このブログA-23に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

  エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)

 

 

 

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