認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズム(A-30)

2012-04-20 | アルツハイマー型認知症発病のメカニズム

脳の司令塔の「前頭葉」(前頭前野を言うものとする。以下、同じ)の働きには加齢とともに老化していく性質があります。私たちのデータによると正常な老化の場合でも、高齢者と呼ばれる年代の65歳頃になると誰でも、その働き具合が20歳の頃に比べて半分程度にまで衰えてきています。(加齢による前頭葉の「正常老化」)。そして、加齢による前頭葉の正常老化のカーブは、下図に示す通り、70歳代、80歳代、90歳代と年をとるにつれて、直線的ではあるが緩やかに「低空飛行」の状態に入っていくのが特徴です(「第一の要件」)。

      ○ 前頭葉の「三本柱」の正常老化による老化のカーブ

            

正常な老化の過程とはいえ、加齢による老化により前頭葉の機能が低空飛行状態に入ってきている60歳を超えた高齢者と呼ばれる年代の「お年寄り」「第一の要件」)が、脳を積極的には使わない生活、生き甲斐や目標もなく、趣味や遊びや人付きあいもなく、運動もしない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を日々続けていると(「第二の要件」)、出番が少ないために使われる機会が極端に減った「前頭葉」が廃用性の機能低下を起こしてきて、第一の要件と第二の要件とが重なり合うことの相乗効果により、「前頭葉」の老化が加速されていくのです。「前頭葉」の働きが加速度的に衰えていくその先に、「アルツハイマー型認知症」(晩発型アルツハイマー病)の発病が待っているのです。(注)第一の要件と第二の要件との相乗効果により廃用性の機能低下が進むときは、下図に示す通り、直線的ではなくて放物線を描いて加速度的に脳の機能が衰えていくのです。 

                  

その場合に、最高次機能の「前頭葉」が最初に異常なレベルに衰えていき、次いで、高次機能の左脳や右脳が異常なレベルに衰えていきます。ここで、(N-16) (N-18) (N-20)をクリックして読み返してみてください。更には、アルツハイマー型認知症」の場合には、「高次機能」の衰え方にも規則性がある(衰えていく順番がある)ことが重要な特徴です。前頭葉と高次機能のそれぞれの衰え方が、他の種類の認知症あるいは認知症と紛らわしい病気(側頭葉性健忘症、感覚性失語症、一過性全健忘、老年期うつ病、緩徐進行性失行など)との鑑別の上で、極めて重要且つ客観的な指標としての役割を果たしてくれるのです。

脳全体の司令塔で、置かれている状況を判断したり、何かを思いついたり、計画を立てたり、工夫したり、洞察や推理をしたり、機転を利かせたり、各種の高度な働きを担当しているのが「前頭葉」なのです。中でも、意識的に何かをする場面で、前頭葉の各種の機能を発揮する上で不可欠で基礎的な働きをする「認知機能」を正常に発揮するには、一定レベル以上の「認知度」が確保されていることが必要となります。脳の機能についての専門家と世間で言われている人達でさえ未だ気づいていないのですが、その「認知度」を左右する機能の三本柱が、「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」の働きなのです。然もこの三本柱には、「加齢と共に老化し衰えていく」という重要な性質があることは、(N-25)で問題提起したとおりですので、ここ(N-25)をクリックして読み返してみてください。

生き甲斐や目標もなく、趣味や遊びや人付きあいもなく、運動もしない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を送っていると言うことは、脳の機能面から言うと、前頭葉の機能の中でも最も基本的で不可欠な機能であり、「認知度」を左右する働きをしている「三本柱」の出番が極端に減る生活を送っているということになるのです。言い換えると、もともと加齢により機能が衰えていく性質を持っている三本柱の働きが、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を送っている中で、膝の筋肉と同じように、廃用性の機能低下を起こしてくるのです。(注)前頭葉の機能だけが異常レベルであって、左脳も右脳も機能が未だ正常レベルである「小ボケ」(指示待ち人)の段階で発現してくる「小ボケ」の症状は、この三本柱の機能低下のアウト・プットそのものなのです。「アルツハイマー型認知症」の初期症状である「小ボケ」の症状は、ここ(N-17)をクリックして読み返してみてください。

      

世間で全ての専門家たちから原因不明と言われている「アルツハイマー型認知症」は、上述したように、「加齢とともに脳の老化が進む」という(「第一の要件」)「ナイナイ尽くしの単調な生活の継続」という(「第二の要件」)の二つの条件の「相乗効果」によって、廃用性の機能低下という脳の老化が更に「加速」されことにより発病するというのが私たちの見解です。その根拠となるデータについては、(N-34)で詳しく報告します。このメカニズムのもとでは、「第一の要件」は誰しも共通であって、「第二の要件」こそが「アルツハイマー型認知症」を発病するかしないかを決定づける条件となります。言い換えると、認知症の大多数90%以上を占める「アルツハイマー型認知症」は、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続という、第二の人生での「生活習慣」と密接な関係がある病気なのです。「原因も分からないし治せない病気」と言われて放置されたままになっている「アルツハイマー型認知症」という病気は、廃用症候群に属する単なる生活習慣病」あるというのが私たちの見解です。

第一の要件と第二の要件の「相乗効果」として、放物線を描くように「加速度的に機能が低下していく」ことに専門家は注意を向ける必要があると思います。高齢になればなるほど、「アルツハイマー型認知症」を発病する人の割合が増えていきます。実態がそうであるとはいえ、どんな年齢の高齢者であろうと、年をとっているだけ(第一の要件の充足だけ)では、「アルツハイマー型認知症」を発病しないのです。他方で、「アルツハイマー型認知症」を発病する人たちは高齢者に限られていて、年齢の若い人たちがナイナイ尽くしの「単調な生活」を送っていても(第二の要件の充足だけ)、発病することはないのです。

(ここで、コーヒー・ブレイク) (注1)30歳代から50歳代までの若年で発病する認知症で「アルツハイマー型認知症」とされるものの多くは、発病の原因が全く異なり別の病気である、遺伝子の異常が原因で発病する「若年性アルツハイマー病」です。この「若年性アルツハイマー病」は、第二の要件とは無関係の病気であるので、念のため注意を喚起しておきます。なお、「アルツハイマー型認知症」は、加齢による脳の老化が第一の要件なので、50歳代で「アルツハイマー型認知症」を発病する人は、皆無とは言いませんが極めてまれなのです。

(注2)更に、働き盛りの50歳代で「アルツハイマー型認知症」になる人が増えているなどとテレビで放映されることがありますが、認知症ではなくて認知症と紛らわしい病気である「側頭葉性健忘症」や「感覚性失語症」や「緩徐進行性失行」とまちがえている場合が相当あるので、注意が必要です。これらは、若年性の認知症と誤診されるケースが多いのです。重度の「記憶障害」の症状や記憶障害と誤診されやすい「感覚性失語」による症状、或いは「緩徐進行性失行」の症状があっても、前頭葉」の機能レベルが正常な場合は、認知症ではないので、念のため注意を喚起しておきます。なお、前頭葉の機能レベルは、神経心理機能テストで容易に確認できます。CTやMRIでは、確認することはできません。

       

世の中でどんなに権威があるとされていようと、「前頭葉」を含む脳の機能が廃用性の機能低下を起こしそのことが進行していることの「副産物」に過ぎない「脳の委縮」に焦点を当てていたり、同様に廃用性の機能低下の副産物の関係にあって老人班の生成や神経原線維変化をもたらすだけの原因関係であるに過ぎない「アミロイドベータ」や「タウ蛋白」に目を付けている限り、「アルツハイマー型認知症」を発病させている「真犯人」にたどり着くことはないのです。私たちの見解は、権威には乏しくても、他に例のない実績と大量の脳機能データとその解析に裏打ちされています。近い将来、私たちの見解が正しいことが認められる日が来ると確信しています。ブログとしては毎回文章が長く、内容もやや専門的なところがありますが、専門家たちへの問題提起とお年寄りの皆さんに少しでも詳しい内容を知らせたいとの思いがさせているので、我慢して読んでください。

 注)本著作物(このブログA-30に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

      エイジングライフ研究所のHP(ここをクリックしてください)

 

   

 

 

 

 

 

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