&1 『アルツハイマー型認知症(以下、「AD型認知症」と略記する)』を発病することとなる『キッカケ』
(1) 日々、「仕事」の遂行と言う特定の「テーマ」がある「第一の人生」を自分なりに頑張って生きてきて、『第二の人生』に入っていきます。何事も起きてこなければ、『自分なりに追及する特定の「テーマ」が有り、「交遊や趣味や地域活動」等で、自分なりの「楽しみや喜びや、時には、生き甲斐を覚える機会」が有って、脳は「正常な老化のカーブ」を描きながら、毎日が過ぎて行く筈なのです。そうした平穏で安定した日々を過ごしている『高齢者』が、知らず知らずのうちに、脳の老化を加速させていき、『AD型認知症』を発病することにはならないのです。
〇 この点がとても重要なポイントなのです。
(2)「加齢による脳の正常老化」という「AD型認知症」の発病の(第一の要件)は、『第二の人生』を送っている「高齢者」達の全員に共通のものなのですが、発病の(第二の要件)となる廃用性の異常な機能低下の進行を惹き起こす発病の加重要因である『ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣(自分なりに追及する特定の「テーマ」が無く、生き甲斐なく、趣味なく、交遊なく、運動する機会も無く、地域活動に参画する機会も無く、目標となるものも無い単調な暮らし方/生き方)のことを言います)」の継続』という条件は、「AD型認知症」を発病する『高齢者だけに特有な要因』なのです。
(3)私たちの「二段階方式」を活用するときは、「AD型認知症」を発病した本当の意味での発病の早期の段階段階である「小ボケ」及び「中ボケ」レベルの高齢者達の全員を対象として、発病の前後の期間数年間について、どのような『脳の使い方』をしてきたのか、言い換えると、どのような「生活習慣」の下で毎日を過ごしてきたのかという「脳の使い方としての意味での(生活歴)」を、本人とその家族から、必ず聞き取ることが様式化されています。なお、「AD型認知症」を発病する加重要因となる『ナイナイ尽くしの単調な生活習慣の継続』が、開始される「キッカケ」となった①「生活状況」の発生時期及び ②単調な生活習慣が継続した期間については、本人の現在の脳の機能レベル及びMMSEの下位項目のデータ並びに「脳の老化のスピード差」の指標から、明確に特定されるので、それを基礎としての『生活歴』の聞き取りを行う訳なのです。この場合、脳の機能レベルが「中ボケ」だと、現在の被験者の生活状況(「中ボケ」レベルの生活の自立度)に対する認識さえ出来ないので、(家族からの聞き取りが不可欠)となることに、注意が必要です。されるため
(4)「意識」が覚醒した/目的歴な世界に於ける(脳全体の司令塔の役割)を担っている『前頭葉』 機能は、(正常な老化のカーブを描きながら)、自分なりに追及する特定の「テーマ」と、テーマを追求し/実行して行く上での/それなりの「目標」が有る「生活習慣」を送る中で、自分なりの楽しみや/喜びや/時には生き甲斐が得られる日々日が有り、静かに毎日が過ぎて行くのです。そんな『第二の人生』を過ごしている「高齢者」が、(脳の老化を速める原因となる)ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」が開始されることとなる為には、当の本人なりに「心が折れてしまい、何事に対しても意欲を喪失することとなる「キッカケ」となる「生活状況」の発生とその継続と言う生活状況に、必ず、遭遇することになるのです。
※「AD型認知症」を発病した/極めて多数例に上る『高齢者』を対象とする「生活歴」の聞き取りの結果から、(脳の老化を加速させる原因となった)『ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」が始まる』には、発病した高齢者の全員について、「キッカケ」となる「生活状況」の発生が必ず存在することが確認されたのです。但し、或る「生活状況」の発生が、『ナイナイ尽くしの単調な「生活習慣」が始まる「キッカケ」となるか/ならないか』については、遭遇した「生活状況」に対する「当の本人の/受け止め方次第」だということに、注意が必要なのです。
&2 ナイナイ尽くしの単調な生活習慣が開始されることとなる『キッカケ』の類型
Ⅰ. 脳の老化を速める『ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」が始まる「キッカケ」となる「生活状況」の発生とは、どんなことを言うのか。
要約すると、次の2点に集約されます(「第二の人生」を送っている「高齢者」なら、誰にでも/何時でも起きて来そうなものばかりなのです)。分かりやすくするために、ここでは典型的な事例をとりあえず(3例ずつ)挙げておきます。
(1) 「第二の人生」生きる上での「意欲」を支えてきた「自分なりに核となっていた生活習慣」が、継続出来なくなってしまうこと
○ 趣味も遊びも交友もなく、「仕事一筋」の「第一の人生」を送ってきた人にとっての「定年退職」
○ 趣味だけが生き甲斐の人が、その「趣味を中止」せざるを得なくなる「状況の発生」
○ 親や兄弟、子や孫、友人、ペットなど、大事な人や動物との「別離」
(2) 生きる「意欲」を喪失させてしまうような「問題や状況」が発生し/継続すること
○ 自身の重い病気や、大怪我など、肉体的精神的に「困難な状況」の発生と継続
○ 子供の失業や借金問題、孫の不登校など、他人には話せない家庭内の「重大な問題」
○ 夫(妻)が重度の認知症や重い病気を患い、「介護に追われるだけ」の毎日
(1)同じような「生活状況」が発生しても、状況の発生に対する/個人ひとりひとりの受け止め方が異なるので、「問題状況」発生後の「生活習慣」(日々の「脳の使い方」)は、それぞれに違うのです。或る人は、「生活状況」の発生が「キッカケ」となって、ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」が始まるのに対し、或る人は「生活状況」の発生があっても「キッカケ」とはならないで、日々の生活をそれなりに楽しんで行くことが出来るのです(このことは、以下の例示のように、具体的に考えると理解しやすいと思います)。
(2)「定年退職」で仕事を取り上げられて/日々継続してすることが何もなくなり、3年もたつと見る影もなく衰えボケてしまう人もいれば(この段階では、未だ「小ボケ」)、「定年退職」で自由な時間がいっぱいできたのをきっかけに、自分なりに/趣味や遊びや人づきあいを楽しんで、生き生きと生活していく人もいます。
或いは、世間でよく言われるように、「夫を亡くしたおばあさん」は半年もたつと楽しげに生活をエンジョイするようになることが多いのに対し、同じように「妻を亡くしたおじいさん」の多くは次第に元気をなくしていきます。
(3)上述の「生活状況」が発生しても/従来どおりに、日々の生活をそれなりに楽しめて元気を失わない人と、「生活状況」の発生を契機に/日々の生活を楽しめなくなり、元気をなくしていく人との違いを生じさせる「理由」を理解する為には、「生活状況」が発生した(前後数年間の)その人の「生活習慣」(「脳の使い方」としての日々の暮らし方)を、その人の目線に沿って/具体的にチェックしてみる必要があります。前者と後者とを分ける「キー・ポイント」は、『発生した「生活状況」を、当の本人がどのように「受け止めたのか」にある』からです。どのような「受け止め方」が、それなりに「生き甲斐や目標」があって/自分なりに日々の生活を楽しめる「暮らし方」から、ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」へと変化させることになるのかを理解することが、指導する「生活習慣の改善」の内容を組み立てる上で、(極めて大切な注意点)となるのです。
&3 まとめ
Ⅰ.「AD型認知症」を発病することになるかならないか、それは「生活状況」の発生に対する「本人の受け止め方」次第ということになるのです。
(1)人生の大きな出来ごとの発生や生活環境の大きな変化という「生活状況」の発生に対して;
① 「大きな障害」と受け止めて/負けて/心が折れてしまい、その為に何事に対しても、『意欲』をなくしてしまって、「目標」となるものがなくなり、「前頭葉」機能を使う場面が極端に減った生日々の暮らし方(生活習慣)に変わってしまった(「キッカケ」になった人);又は
② 「大きな障害」と受け止めず/負けないで、そのため「意欲」を失わず、「目標」となるものがあるので、「前頭葉」を使う場面がそれなりにある生活が従来通り継続している(「キッカケ」にはならなかった人)のです。
これまでの説明で理解していただけていると思いますが、「AD型認知症」の発病を回避するには、ナイナイ尽くしの「単調な生活の継続」という第二の要件の充足を回避しなければならないのです。
第二の要件の充足を回避するには、上述した事例に見るような「生活状況」が発生した時、その「生活状況」に本人が負けない/心が折れないことが必要不可欠となるのです。
「AD型認知症」の発病を左右する直接の原因は、脳の委縮でも、アミロイドβの蓄積でも/タウ蛋白の沈着でもないのです。その時遭遇した「生活状況」を「キッカケ」として、ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」に入っていったことが、発病の引き金(発病の原因)となるのです。
「第二の人生」を送っている『高齢者』は、このことを深く心に留めておいて欲しいのです。「生活状況」の発生に遭遇した時は、その状況に対して/自分が取るべき脳の使い方(「生活習慣」)に十分注意して欲しいのです。ナイナイ尽くしの「単調な生活習慣」が始まる「キッカケ」とならないよう(心が折れてしまわないよう/意欲を喪失してしまわないよう)是非とも頑張って欲しいのです。本人の頑張り、踏ん張りが第一なのですが、「家族からの支え」も必要なことは言うまでもありません。
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