認知症の早期診断 介護並びに回復と予防のシステム

アルツハイマー型認知症は、廃用症候群に属する老化・廃用型の生活習慣病なので、発病を予防でき、早期治療により治せるのです

アルツハイマー型認知症の治療ー小ボケからの回復(A-85)

2013-05-11 | アルツハイマー型認知症の治療方法

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                             

○「アルツハイマー型認知症」発病のメカニズム

脳の司令塔の「前頭葉」(前頭前野のことを言うものとする。以下、同じ)の働きには加齢とともに老化していく性質があります。正常な老化の場合でも、高齢者と呼ばれる年代の65歳頃になると誰でも、「前頭葉」の働き具合が20歳の頃に比べて半分程度にまで衰えてきています(加齢による「前頭葉」の「正常老化」)。そして、加齢による「前頭葉」の「正常老化」の進行は、70歳代、80歳代、90歳代と年をとるにつれて、直線的ではあるが緩やかに「低空飛行」の状態に入っていくのが特徴なのです(「第一の要件」)。

正常な老化の過程とはいえ、加齢による老化により「前頭葉」の機能が低空飛行状態に入ってきている60歳を超えた高齢者と呼ばれる年齢の「お年寄り」「第一の要件」)が、脳を積極的には使わない生活、生き甲斐や目標もなく、趣味や遊びや人付きあいもなく、運動もしない、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を日々続けていると(「第二の要件」)、出番が少ないために使われる機会が極端に減った「前頭葉」が廃用性の機能低下を起こしてきて、第一の要件と第二の要件とが重なり合うことの相乗効果により「前頭葉」の老化が加速度的に進行していくのです。「前頭葉」の働きが加速度的な速さで衰えていき、「異常なレベル」に衰えてきたところに、「アルツハイマー型認知症」(晩発型アルツハイマー病)の発病が待っているのです。 

       

 脳全体の司令塔で、置かれている状況を判断したり、状況判断に基づいて何をするのかの「テーマ」を思いついたり、「テーマ」を実行するための「計画」を立てたり、そのやり方を工夫したり、「テーマ」の実行の仕方や予見される実行結果に対する洞察や推理やシミュレーションをしたり、状況の変化に応じて機転を利かせて対応を変更したり、或いは感情の吐露の仕方や程度や態様について、状況の評価に基づく必要な抑制をしたり、実行結果の体験に感動したりする等、各種の高度な働きを担当しているのが「前頭葉」なのです。私達が意識的に何かをする世界、思考や行為や行動をする場面をコントロールしているのが「前頭葉」なのです。廃用性の異常な機能低下を直接の原因として、「前頭葉」の働きが正常なレベルで機能できなくなった段階で「社会生活」に支障が出てくるようになります。すなわち、失語や失行や失認等の重い症状が全く認められない、極めて早期のこの段階で、「アルツハイマー型認知症」が始まるのです

(コーヒー・ブレイク) 米国精神医学会が定める「アルツハイマー型認知症」の診断基準である「DSM-4」の改訂版として「DSM-5」が今月中に公開されると聞いているのですが、「DSM-4」の規定で第二の要件に規定されていた「失語や失行や失認」等の末期段階の重い症状の取扱いを変更できているのかどうか(削除しているのか否か)が、回復可能な早期の段階を見つけることに直接関係するので、期待しているのです。但し、肝心の「前頭葉」に目が向けられていなければ、期待は失望に変わってしまうのですが。

本題に戻ります。自分なりの生き甲斐や目標がある生活を過ごすことで、日々使ってやることが脳の機能を正常なレベルに保つ上で不可欠の条件となるので、使われる場面が極端に減少するような生活は、極めて危険な生活ということになるのです。「前頭葉」を含むこうした脳全体のメカニズムからすると、これといった生き甲斐もなく、楽しんだり熱中したりできる趣味もなく、親しく交友する友達もなく、散歩程度の運動もせず、達成しようと心に決めた目標もない生活、ナイナイ尽くしの「単調な生活」が来る日も来る日も繰り返される毎日を生きているということは、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の出番が極端に少ない毎日を過ごしていることになるのです。

そうした脳の使い方が毎日繰り返されているだけの「単調な生活」の下では、「前頭葉」の根幹をなす機能(基礎的な機能)である「意欲」、「注意の集中力」及び「注意の分配力」という「三本柱」の機能の出番が極端に少ないということなのです。この「三本柱」の機能には、加齢と共に働きが衰えてくるという「正常老化の性質」が備わっているのです。そのため、60歳を過ぎた「高齢者」と呼ばれる年齢のお年寄りが、ナイナイ尽くしの「単調な生活」を日々継続していると、お年寄りなら誰でも経験があるあの体験、「膝」の筋肉の衰えと同じようなことが、「脳」の機能にも起きてくるのです。

例えば足腰が痛いとか痺れがあるとか、何かの拍子に、出不精を決め込んで外に出ていかないで部屋にこもったままの生活をしていると、膝の筋肉があれよあれよという間に衰えていくのと同じように、「三本柱」の機能を使う機会が極端に少ない生活が継続されていると、廃用性の機能低下が起きてきて、「前頭葉」を含む脳の機能が加速度的に衰えてくるのです。脳の機能が加速度的に衰えていく結果として、異常なレベルに衰えた脳の機能レベルの直接のアウトプットとしての「アルツハイマー型認知症」の症状が現れてくることになるのです。

 

世間で認知症の専門家達から原因不明と言われている「アルツハイマー型認知症」は、上述したように、「加齢とともに脳の老化が進む」(加齢に伴う正常老化)という(「第一の要件」)「ナイナイ尽くしの単調な生活の継続」(廃用性の機能低下)という(「第二の要件」)の二つの条件の「相乗効果」により、脳の老化が「加速度的に進んでいく」ことによって発病するというのが私達の考えなのです(「廃用性の機能低下」のメカニズム)。

このメカニズムのもとでは、「第一の要件」は誰しも共通であって、「第二の要件」こそが「アルツハイマー型認知症」を発病するかしないかを決定づける条件となります。更に「第二の要件」こそは、発病を「予防」する生活習慣を構築する上で考慮すべき「テーマ」並びにその実行にかかわる程度及び態様を考える際の重要な視点ともなるのです。認知症の大多数90%以上を占める「アルツハイマー型認知症」は、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続という、第二の人生での「生活習慣」と密接な関係がある病気、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」であるというのが、極めて多数の脳機能データの解析による私達の結論なのです。

○  「アルツハイマー型認知症」の症状と脳の機能レベルとの関係

「アルツハイマー型認知症」は、「前頭葉」を含む脳の機能レベル自体が「認知症の症状」としてそのまま現れてくるのが特徴なのです。世間では「アルツハイマー型認知症」の原因が分からないでいるせいか、認知症の症状を区分けることをしていません。私達が開発した「二段階方式」と呼称する神経心理機能テストに基づいた極めて多数の脳機能データの解析を根拠として、「前頭葉」を含む脳の機能レベルが直接「認知症」の症状として現れてくると考えている私達は、3つの段階に区分される脳の機能レベルに応じて、症状も「軽度認知症」(小ボケ)の症状、「中等度認知症」(中ボケ)の症状、「重度認知症」(大ボケ)の症状と呼称する3つの段階に区分しています。

米国精神医学会が定める診断規定である「DSM-4」は、「アルツハイマー型認知症」であると診断するための第一の要件を「記憶の障害」としています。そのため医療機関で受診すると、専門の医師は、第一の要件に規定されている「記憶の障害」の症状があるかどうかを先づ確かめようとするのです。次いで、第二の要件に規定されている「失語や失行や失認」などの症状が出ているかどうかを確認しようとするのです。私達の脳機能データによれば、「失語や失行や失認」などの症状は末期段階の「重度認知症」の段階にならないと発現して来ないとても重い症状なのです。第一の要件とされる記憶の障害についての程度や態様についての規定はないのですが、両者は同じ人に発現している診断時の症状ということになるので、「記憶の障害」自体も極めて重い記憶の障害の症状ということになります。それがために、「ついさっき食事をとったことさえも思い出せない」ような症状が記憶障害の基準例として取り上げられているのです。

「アルツハイマー型認知症」としての「認知症の症状」が現れてくる最初の段階である「軽度認知症」(小ボケ)の段階で認められるそれらの症状は、「DSM-4」が言うようなレベルの「記憶障害」の症状とは全く関係が無いのです。「意欲や注意の集中力や注意の分配力」など、「前頭葉」の機能の根幹(基礎)をなしていて、「前頭葉」の各種の高度な機能の「認知度及び発揮度」を左右している「三本柱の機能」が異常なレベルに衰えていることが、症状として現れてくるだけなのです。つまり、「小ボケ」の段階では、「三本柱」の機能障害の症状が「認知症の症状」として現れてくるということなのです。勿論この段階では、「DSM-4」で第二の要件として規定されている失語や失行や失認などの重い症状は、そのカケラさえも認められないのです。

「アルツハイマー型認知症」の初期(最初)の段階であり、私達の区分で言う「軽度認知症」(小ボケ)は、左脳と右脳と運動の脳は正常レベルなのですが、脳全体の司令塔である「前頭葉」の働きだけが異常なレベルに衰えてきているのです。そのため、「前頭葉」の機能のうち最も重要な「三本柱」の機能である「意欲」、「注意集中力」及び「注意分配力」が的確に発揮されなくなります。この「三本柱」の機能の衰え具合の相乗効果としての働き具合いが、いろいろな認知機能の対象となる情報や思考の処理にかかわる「認知度」及び「発揮度」を左右しているのです。その結果、小ボケの段階では、この「三本柱」の機能が異常なレベルに衰えてきていることの機能障害を示す症状が「小ボケの症状」として特徴的に現れてくるのです。

「三本柱」の機能が異常なレベルに衰えた影響が、発想や企画や計画や洞察や判断や機転や感動や抑制といった「前頭葉」の各種機能の「認知度」及び「発揮度」に影響するために、対象となる情報や思考の認知及び記銘やその保持や想起並びに処理の面でも、機能の発揮が不的確で不十分なものとなるのです。そのため、的確な状況の判断、発想、計画、創意、工夫、機転といった機能、或いは的確な見通しや意思決定などが要求される、「社会生活」の面で、程度や態様を含む種々の支障が出てくるようになります。その結果、「社会生活」面での種々のトラブルが生じてくるようになるのです。勿論、この段階では、「家庭生活」の面にも「セルフケア」の面にも何の支障も起きてはきません。それぞれの段階で必要とされる「脳の機能のレベル」が異なるからなのです。

○ 「小ボケ」レベルでの「中核的な症状」の特徴を挙げると、次の5つの要素を中核とする種々の支障が、「社会生活」のいろいろな面で現れてくるのです。

● 自分の置かれている状況を的確に判断できなくなります。

● 発想が湧いてこなくて、見通しも立たないので、この一日或いは一週間、何をどうするのかという「テーマの発想と計画」が出来なくなります。

● 何かをしようとする「意欲」が出てこなくなり、毎日をボンヤリと過ごして、居眠りばかりするようになります。

● 何事をするにつけても人を頼るようになり、指示してもらわないと動けない「指示待ち人」になります。

● その人らしい「生活態度」が消えていき、「こんな人ではなかったのに」と周りから言われるようになります。

○ 「小ボケ」(指示待ち人)の段階で現れてくる認知症の症状 

「前頭葉」の機能だけが異常なレベルであって、「左脳も右脳も運動の脳も」未だ正常な機能レベルにある「小ボケ」の段階で発現してくる「小ボケ」の症状は、「前頭葉」の根幹(基礎)をなす働きである「三本柱」の機能が異常なレベルに機能低下したことのアウト・プットそのものなのです。以下に列記するのは、「軽度認知症」(小ボケ)の段階に見られる特有の症状です(4つ以上に該当していると、「小ボケ」のレベルであることが疑われます)。

□ 複数のことに注意が分配できなくて、3つの用事が同時にさばけない

□ 機転がきかなくて、創意工夫ができない

□ 発想が乏しくて、画一的な行動が目立つ

□何事をするにも億劫で面倒がり、何かをやってみようという意欲が見られない

□ 同じ食材を買ってくることが多く、料理の献立の単調さが目立つ

□ 一日や一週間の計画が自分で立てられず、なにも思いつかない様子

□ 朝は遅くまで起きてこないのに、気がつくと居眠りしている

□ これまでなら感動していたことに対して感動しない

□ 問いかけに対する反応が遅く、生き生きした笑顔がほとんど見られない

□ ぼんやりしていることが多く、自分から何もしないが指示されるとできる

□ 根気が続かず中途半端なことを繰り返し、やりかけの家事が目立つ

□ 目の光がどんよりしていて、顔つきが無表情

□ 反応が遅く動作がもたもたしていて、階段をトントンと降りられない

□ 歩くとき前屈みの姿勢で、小股でトボトボと歩く

□ 料理の手際が悪くなり、家族数に関係なく多すぎる量の料理を作る

□ 自分に自信がなくなり、何かにつけ人を頼ろうとする

□ 髪の手入れや、おしゃれに無関心

□ 同じ内容を繰り返して話し、そのことに本人が気づかない

□ 会話の最中唐突に、一方的に言いたいことを言い相手の話しを聞かない

□ 思い込みや思い違いが多く、指摘しても訂正や変更ができない

□ これまでなら楽しんでいた趣味や外出や旅行を嫌がる

 

○  「小ボケ」の治療は、脳を活性化させる「テーマ」の実行を生活習慣化すること(脳のリハビリ):

「軽度認知症」(小ボケ)は、「前頭葉」の三本柱の機能である、意欲、注意の集中力及び注意の分配力の働きが異常なレベルに衰えているだけなので、その機能を正常なレベルに引き戻してやれば脳全体の機能が正常なレベルに回復するのです(認知症が治る)。どうやって「前頭葉」の機能を正常なレベルに回復させるのか、それは、「三本柱」の機能の出番が多い「テーマ」を実行する生活を中核とする日々の過ごし方を考え、そうした「テーマ」の実行を「生活習慣化」することにより、「三本柱」の機能を正常レベルに回復させるのです。

「アルツハイマー型認知症」も、早期発見、早期治療が大切なのです。早く見つける程、回復する可能性が高いのです。標語的な表現を借りて言えば、「小ボケで見つければ、簡単に治せます(回復容易)」、「中ボケで見つければ、手間はかかり大変だけど、家族の協力があれば未だ治せます(回復可能)」、「大ボケで見つけていたのでは、見つけても手遅れ、治らないのです(回復困難)」。世間では、「DSM-4」の規定に準拠した診断をするので、言い換えると末期の段階である「大ボケ」の症状を物指しとして、「アルツハイマー型認知症」を見つけようとするので、せっかく見つけても治らない(治すことができない)のです。

○  今回は、「小ボケ」からの回復方法についての基本的な考え方を説明します。

「アルツハイマー型認知症」の最初の段階、「軽度認知症」(小ボケ)の症状が出てきているお年寄りの症状を治す(「前頭葉」の働きを正常なレベルに引き戻す)には、「前頭葉」の出番が多い生活に変えて、「前頭葉」の働きを活発にしてやることが必要不可欠、唯一無二の方法なのです。効く薬はないし、薬は効かないのです。「アルツハイマー型認知症」は、ナイナイ尽くしの「単調な生活」の継続を第二の要件とする、廃用症候群に属する単なる「生活習慣病」なので、「アルツハイマー型認知症」を治す薬を開発することは、最近流行りの「ips細胞」に頼ろうとも、不可能なことなのです。

ところで、脳を使うとか、脳を活性化させる方法というとみなさんは、すぐに読書や計算、つまり、「左脳」を使うことだと考えていませんか。お年寄りと言われる年齢の高齢者にとって、「前頭葉」の働きを活発にするのに最も効果的な方法は、「右脳」をしっかり使う生活、趣味や遊びや人づきあいをしっかり楽しむ機会をできるだけ多く日々の生活の中に取り込むこと、「生活習慣化」することなのです。趣味や遊びや人づきあいなどを楽しむことで、自分なりの目標や喜びや生き甲斐があって、取り組む意欲が湧いてくるような「テーマ」を日々の生活に取り込んで暮らすようにするのです。

趣味や遊びや人づきあいといった「右脳」中心の生活或いは、運動や散歩や体操などの「運動の脳」を使う生活習慣が、「前頭葉」の出番を増やし、働きを活性化させることになり、「前頭葉」の元気を取り戻させせることになって、正常なレベルに機能が回復してくる(「アルツハイマー型認知症」が治る)ことになるのです。

やるのが楽しくて、「前頭葉」の三本柱の機能である「意欲や注意の集中力や注意の分配力」の出番が多くて、時間があっという間に経って、またやりたくなるような、趣味や遊びや人づきあいを楽しむ生活とその仕方を工夫するのが大切なのです。周りが助けて、本人なりに毎日を楽しめる生活習慣を組み立てるのです。過去の生活習慣にさかのぼって、どんなことに熱中していたのか、どんなことなら意欲を持って取り組めていたのかを調べてあげることも必要です。

 趣味も遊びも人づきあいも苦手と言う人には、「運動の脳」からの刺激が意外と効果的なのです。一日一時間の速足での散歩が目標(5000歩が目安)です。その場合も、散歩をするのが楽しくなるような工夫が大切です。散歩するのに安全な場所を選び、散歩してみたくなるような場所を探し、家族や友人が談笑しながら一緒に歩いてあげると効果が一層大きくなります。

 

○ 「小ボケ」の脳リハビリに対する家族の心構え

「小ボケ」は、よほどその気で注意して聞いていないと、日常会話のレベルであれば普通に話せるので、おかしいとは気がつかないのです。家族であるがゆえにむしろ、普通に見ようとする心理も働くのです。

ところが一旦家庭の外に出ると、その場の状況の変化についていけなくなるのが、「小ボケ」の特徴なのです。このことを家族は忘れないでいて欲しいのです。「セルフケア」の面や「家庭生活」の面では、なんの支障も起きてこないのですが、家庭の一歩外、他人と交わり或いは協同しながら何かの「テーマ」を実行しようとする生活の場である「社会生活」の面では、支障が出てくるのが「軽度認知症」(小ボケ)なのです。

上述のように、「小ボケ」は、脳全体の司令塔の役割を担っている「前頭葉」の働きだけが異常なレベルに衰えてきている(もはや正常なレベルにはない)のです。「前頭葉」の三本柱の機能である意欲、注意の集中力及び注意の分配力の働きが異常なレベルに衰えていて、そのことが「前頭葉」全体のいろいろな機能の働き具合に現れてくるのです。「前頭葉」の働きが異常なレベルに衰えてきていることの直接のアウトプットが、認知症の症状として、思考や思考の仕方や、思考の深さや、状況の判断、或いは、頭では理解ができていても行動につながらない言動など、その程度や態様に症状として現れてくるのです。こうしたことを家族や周りの関係者が十分に理解して、やさしく言葉かけをして、本人を後押ししてあげることが必要であり、とても大切なことなのです。

○ 「小ボケ」は、気がつくと居眠りばかりしているという特徴を示します。居眠りをさせない(何か具体的な「テーマ」をやらせる)ように、家族や周りが気をつけて欲しいのです。例えば、以下に例示するような対応を心がけて欲しいのです。

● 声かけをしてくれる人を探す:

家族。離れて生活しているなら、曜日を決めた電話、関心を呼びそうなテーマの手紙も次善の策として有効。

近所の人に頼む、あるいはボランティアを探す。

本人の興味が湧いてきそうな趣味や遊びの集いへ参加させる。

 一日や一週間の日程を組んで、その中にテーマの実行や日程や目標を盛り込む。

● 本人の生活に変化をつけさせる工夫が必要:

散歩(できれば、速歩での散歩)を生活習慣化する。速歩での散歩は、「前頭葉」の三本柱の一角をなす「意欲」という機能を強化してくれる効果があるので、第一番に考えて欲しいテーマなのです。衰えている「意欲」の機能が正常なレベルに回復することで他の脳機能が回復するための第一歩となるのです。

何かを考えて何かの行動をするには、一定の機能レベルにある「意欲」が不可欠なのです。その肝心の「意欲」の機能が異常なレベルに衰えてきているので、家にこもっていると、何もしないで居眠りばかりすることになるのです。どこかに連れ出して、何かをやらせて、その中で関心や興味が動かされるもの、やる「意欲」を引き出すことにつながりそうな体験をさせて欲しいのです。誰かのために何かを探して、買いに行くのでもいいのです。テレビの番組で今流行りの「散歩」、住み慣れているはずの町や村の中を散歩して、新発見を楽しむのでもいいのです。

 できるだけたくさんの人達との「交流の機会」を増やすことが、大原則:

友人であれ、単なる他人であれ、人と交わることは、自分と相手とが関係する人的な状況を作り出すことになります。その人的な環境と状況の中で、話をすることであれ、何かをすることであれ、「共通のテーマ」が発生することになるわけです。共通のテーマを実行していく過程で、相手の話を聞いたり、話の内容を理解したり、相手の表情を読んだり、自分なりの考えを持ったり、自分の考えをまとめたり、自分の考えを相手に伝えたりする必要が生じてくることになります。そうした状況に対応する過程では、「前頭葉」の三本柱である意欲、注意の集中力や注意の分配力の機能の出番が要求されることになるのです。それなりに対応していく中で、「三本柱」の機能を使う場面があればあるほど、「前頭葉」の各種機能の回復が期待できるのです。

● 生活自体の中に、「楽しみ」を見つけ出させることが大事なのです:

本人が、趣味や遊びに挑戦する機会(右脳や運動の脳を使うことを主とする)を工夫するのです。本人が過去に興味を持って取り組んでいたもの、熱中していたものなどがあれば特に有効です。

● 自信を取り戻させることが大切です。

本人のレベルを考えて、それなりのレベルで出来る可能性があることをやってもらうのです。それなりのレベルでできたときは、そのことをきちんと評価して、努力や結果を褒めてあげることがとても大切なことなのです。家事や、畑仕事など、「昔取った杵柄」を探して、自信を取り戻す材料に使うのです。

注)本著作物(このブログA-85に記載され表現された内容)に係る著作権は、(有)エイジングライフ研究所に帰属しています。

 エイジングライフ研究所のHPここを「クリック」してください。

脳機能からみた認知症の初期の見わけ方(IEでないとうまく表示されません)

   http://blog.goo.ne.jp/quantum_pianist

 http://blog.goo.ne.jp/kuru0214/e/d4801838dd9872301e0d491cd8900f1a

 
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