kintyre's Diary 新館

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映画『鍵泥棒のメソッド』を観て

2012-10-04 22:49:13 | 映画・邦画

12-79.鍵泥棒のメソッド
■配給:クロックワークス
■製作年・国:2012年、日本
■上映時間:128分
■観賞日:10月1日、吉祥寺バウスシアター
■料金:1,000円

 

□監督・脚本:内田けんじ
◆堺雅人(桜井武史)
◆香川照之(コンドウ/山崎信一郎)
◆広末涼子(水嶋香苗)
◆荒川良々(工藤純一)
◆森口瑤子(井上綾子)
【この映画について】
『アフタースクール』の内田けんじが監督を担当した、さまざまな要素が詰め込まれた予測不能の娯楽作。ひょんなことから人生が逆転してしまった2人の男性を巻き込んだ物語の成り行きを、笑いとサスペンスを交えて描き切る。
情けない主人公を演じるのは『ジェネラル・ルージュの凱旋』の堺雅人。そして『劔岳 点の記』などの香川照之が、記憶をなくす前と後でまったくの別人に変身する男を怪演する。彼らが真剣勝負で挑む人生を懸けた戦いに胸が躍る。(この項、シネマトゥデイより転載しました)
【ストーリー&感想】(ネタバレあり)
銭湯に入ってきた金持ちそうな男が転倒。その場に居合わせた貧乏役者の桜井が様子を見ていると、男は頭を強打した影響で記憶を失っていた。
桜井はちょっとした出来心を起こし、男のロッカーの鍵と自分の鍵をすり替える。案の定、自分を桜井だと思い込む男。しかし男の正体は誰も顔を見たことのない伝説の殺し屋・コンドウで、コンドウに成り代わった桜井のもとに大金が絡む危険な仕事の依頼が舞い込み、桜井はやむなく引き受けてしまう。一方、自分は桜井だと思い込んでいるコンドウは一流の役者となることを目指して真面目に努力する。
そんなひたむきな姿に胸を打たれた女性編集長の香苗は彼に求婚。三者三様の事情が複雑に絡み合う……。

予告編にもあるように冒頭で香川扮するコンドウが豪快に銭湯で転ぶストップモーションがかかるシーンですが、あんなに派手に転倒したら記憶喪失どころか打ちどころが悪かったら大変なことになっていたと思うのですが、一人だけ冷静にロッカーのカギをすりかえる人物がいて、そいつが桜井だった。これが物語の全てのスタートで、桜井もほんの遊び心というか出来心で鍵をすり替えたのだが、まさか相手が「殺し屋」(実際は便利屋)稼業の男とは予想外だったに違いない。
そしてこの話にはコンドウ、桜井、そして広末演じる雑誌編集長役の香苗らの人生模様が描かれている。香苗は病床の父に何とか花嫁姿を見せたい一心で(妹は既婚者)交際相手も居ないのに編集部内で「結婚宣言」をして同僚らを唖然とさせるのには笑えた。でも、広末が婚活に夢中になる編集長役とは、ミスマッチかなとも思っていたが意外に上手くこなしていたのは流石だ。

この3者に今度は殺しを依頼したやくざ工藤とその手下達が桜井を勝手にコンドウと思いこんでいて、桜井も出来心からしたことが何時の間にか引くに引けなくなり、一方のコンドウは香苗の手を借りながら何とか記憶を取り戻そうと懸命になるが、桜井の本職である売れない役者になりきろうと戸惑いながらも努力する。
コンドウの記憶が最終的には蘇り、彼の計画通り見事に工藤らを嵌めて工藤らは警察に逮捕され、そうなると父が亡くなった香苗の結婚願望にも心境の変化が現れるが、ラストシーンは中々良かった。そのラスト、香苗とコンドウがお互いの車を降りて見つめ合いから抱き合ってエンドロールへと突入。エンドロールだからと席を同時に立った人はこの後の展開を見逃したことになる。そのシーンとは、桜井が安アパートの一室に戻り、綺麗好きなコンドウが去った後の部屋に猫が一匹侵入し、猫を追いかけて飼い主と思しき若い女性が登場し、猫を抱いていた桜井をみてその女性が胸キュンして本当の終わりを迎える。

このラストの流れがある意味一番印象的だった。

この映画は登場人物が少ないことからも、俳優一人一人の演技力が試される(脚本の良さもだけど)ところだがこのキャストにはそのような心配も無用だった。香川照之の素晴らしさは、売れない俳優と便利屋(殺し屋)を巧に使い分けており、記憶が戻る過程での演技も自然で唸らされるばかりだ。
堺雅人は終始頼りなさそうな個性で突っ走り、広末は前述のように彼女のイメージとはことなるキャラになりきっていたし、工藤を演じた荒川良々のどこかトボケタ外見には似合わないがやくざの演技っぷりも良かった。



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